約数の総和を求める二つの公式と証明
この記事では,正の整数の約数の総和を計算する公式を解説します。入試でも頻出の必須公式です。
なお,約数の個数に関しては約数の個数の公式と平方数の性質を参照して下さい。
約数の総和公式と例題
約数の総和公式と例題
正の整数 が と素因数分解されているとき, の約数の総和は,
一般形で書くと難しそうですね。例題で理解しましょう。
の約数の総和を求めよ。
と素因数分解できるので,約数の総和公式より,
ちなみに, の約数を素直に全部足すと,
となり,確かに になりました。
の約数の総和を求めよ。
と素因数分解できるので,上の公式より
例題1の くらいなら約数を列挙して足し算してもよいですが,例題2のように数が大きくなると総和公式が必須です。
の約数の総和を求めよ。
と素因数分解できるので,上の公式より
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT30でも約数の総和をもとめる問題を解説しています。
公式の証明
公式の証明
約数の総和公式を証明します。
例えば に対する約数の総和公式 を展開してみると,
となり,各項が の約数になっています。どんな場合でも 約数の総和公式の式を展開したときの各項と の約数が一対一に対応していることを確認すればOKです。
と素因数分解されるとする。
の約数は (ただし,各 に対して は を満たす整数)という形の整数だけであり,これで全ての約数を表せる。
よって 約数の総和公式の式を展開したときの各項と の約数が一対一に対応しているので成立する。
応用
応用
二つ目の公式
二つ目の公式
ここから一気にレベルが上がります。美しいですが,覚える必要はありません,興味のある方のみどうぞ。
の約数の総和は,
三角関数が登場して非常に面白いですが, 個のコサインの和を計算しないといけないので全く実用的ではありません。
の約数の総和は,
- の部分:
- の部分:
- の部分:
となり総和は になっている。
公式2の証明の概略
以下の二つを証明すれば十分です:
-
が の約数のとき
-
が の約数でないとき
1を証明する。 が整数のとき, となるので を 個足すことになるのでOK。
2を証明する。複素指数関数を使う。
に注意して三角関数の和と等比数列の公式で使ったテクニックを使うと になることが導ける。
役に立たないけどきれい!という公式もけっこう好きです。