関数のグラフの拡大・縮小の証明と例
のグラフを,原点中心に 軸方向に 倍, 軸方向に 倍すると, を に変えて を に変えた以下の関数になる:
グラフの拡大・縮小とは
グラフの拡大・縮小とは
「グラフを 軸方向に 倍」とは,グラフ上の各点 を にうつすような変換です。
のグラフを 軸方向に 倍にした関数は?
が にうつり, が にうつるような拡大。
冒頭の公式を として使うと, を に変えれば良いので, という関数になる。
ちなみに,拡大の倍率 について,
- のとき拡大
- のとき縮小
- のとき 軸に関する対称移動
を表します。 軸方向への拡大・縮小も同様です。
グラフの拡大の公式の証明
グラフの拡大の公式の証明
では,拡大したグラフを表す式が
になることを証明します。グラフの変換に関する以下の定石に従います。(→グラフの平行移動(具体例と公式の証明))
-
上の点 を「変換」した点を とおき, をそれぞれ で表す。
-
について解く。
-
に代入して の関係式を求める。
1: を原点中心に 軸方向に 倍, 軸方向に 倍拡大して になったとする:
2: について解く:
3: に代入して の関係式を求める:
よって,拡大後の点は 上にある。
この3段階の定石は応用範囲が広く非常に重要です。
グラフの拡大と平行移動による仲間
グラフの拡大と平行移動による仲間
グラフの拡大・縮小と平行移動を組み合わせることで,かなり多くのグラフを簡単に描くことができます!(平行移動に関しては,グラフの平行移動の公式の証明と例を参照してください。)
グラフが平行移動,拡大・縮小によって移り変われるときにそれらを仲間(=回転を許容しない相似)」と呼ぶことにします。
-
一次関数は全て の仲間である。
を 軸方向に 倍:
さらに, 軸方向に 平行移動:
つまり,一次関数の形は本質的に1つです。 -
二次関数は全て の仲間である。
を 軸方向に 倍:
さらに 軸方向に , 軸方向に 平行移動:
これで全ての二次関数を表せます。つまり,二次関数の形は本質的に1つです。より詳しくは,→全ての放物線が相似であることの証明 -
三次関数 と は仲間ではない。
どう頑張っても拡大と平行移動で移せません。つまり,三次関数の形は本質的に複数あります。(単調なものとでこぼこなもの) -
円は全て仲間
を 倍に拡大:
平行移動:
これで全ての円を表せます。
実は, 軸方向と 軸方向の拡大率を別々に と指定してやれば楕円も「仲間」であることが分かります。
-
一次の分数関数は全て仲間
と は仲間です(練習問題)。
つまり, をうまく拡大,平行移動することでどんな(一次の)分数関数のグラフも描くことができます!
平行移動と拡大を組み合わせることでいろいろなグラフを統一的に見ることができます,実は,回転や逆数を取る操作を入れるともっと仲間が増えます。