【解答・解説】東大理系数学2025

※以下の解答と解説は東京大学が公表したものではなく,当サイトオリジナルのものです。問題は東京大学第2次試験問題からの引用です。

この記事では,東京大学の2025年度入学試験の理系数学について解説します。

大問分析

問題番号 分野 難易度
1 ベクトル 標準
2 極限・積分 やや難
3 三角関数 やや難
4 整数 やや難
5 場合の数
6 複素平面 やや難

近年稀に見る難しさのセットです。とんでもない。

(相対的に)第1問は何があっても落としてはならないでしょう。

第3問,第6問は解法自体はオーソドックスですが,計算ボリュームが圧倒的で最後まで走り切るのは困難かもしれません。

第2問,第4問は洒落た問題で個人的には好きですが,それはそうと難しい。第5問は構図理解を諦めた受験生が多数なのではないでしょうか?

各大問誘導誘導はありますから,そこでいかに点数を稼ぐかという戦いになってしまった受験生も多いかと思われます。

第一問 [ベクトル]

東京大学理系数学2025年 第1問

座標平面上の点 A(0,0)\mathrm{A} (0,0)B(0,1)\mathrm{B} (0,1)C(1,1)\mathrm{C} (1,1)D(1,0)\mathrm{D} (1,0) を考える。実数 0<t<10 < t < 1 に対して,線分 AB\mathrm{AB}BC\mathrm{BC}CD\mathrm{CD}t:(1t)t : (1-t) に内分する点をそれぞれ Pt\mathrm{P}_tQt\mathrm{Q}_tRt\mathrm{R}_t とし,線分 PtQt\mathrm{P}_t \mathrm{Q}_tQtRt\mathrm{Q}_t \mathrm{R}_tt:(1t)t:(1-t) に内分する点をそれぞれ St\mathrm{S}_tTt\mathrm{T}_t とする。さらに線分 StTt\mathrm{S}_t \mathrm{T}_tt:(1t)t:(1-t) に内分する点を Ut\mathrm{U}_t とする。

  1. Ut\mathrm{U}_t の座標を求めよ。
  2. tt0t10 \leqq t\leqq 1 の範囲を動くときに点 Ut\mathrm{U}_t が描く曲線と,線分 AD\mathrm{AD} で囲まれた部分の面積を求めよ。
  3. aa0<a<10 < a < 1 を満たす実数とする。tt0ta0 \leqq t \leqq a の範囲を動くときに点 Ut\mathrm{U}_t が描く曲線の長さを,aa の多項式の形で求めよ。

解答はこちら。【解答・解説】東大理系数学2025 第1問

第二問 [極限・積分]

東京大学理系数学2025年 第2問
  1. >0ⅹ>0 のとき,不等式 logxx1\log x \leqq x - 1 を示せ。

  2. 次の極限を求めよ。 limnn12log(1+x1n2)dx \lim_{n \to \infty} n \int_1^2 \log \left( \dfrac{1+x^{\frac{1}{n}}}{2} \right) dx

解答はこちら。【解答・解説】東大理系数学2025 第2問

第三問 [三角関数]

東京大学理系数学2025年 第3問

平行四辺形 ABCD\mathrm{ABCD} において,ABC=π6\angle \mathrm{ABC} = \dfrac{\pi}{6}AB=a\mathrm{AB} = aBC=b\mathrm{BC} = baba \leqq b とする。次の条件を満たす長方形 EFGH\mathrm{EFGH} を考え,その面積を SS とする。

条件:点 A\mathrm{A}B\mathrm{B}C\mathrm{C}D\mathrm{D} はそれぞれ辺 EF\mathrm{EF}FG\mathrm{FG}GH\mathrm{GH}HE\mathrm{HE} 上にある。

ただし,辺はその両端の点も含むものとする。

  1. BCG=θ\angle \mathrm{BCG} = \theta とするとき,SSa,b,θa,b, \theta を用いて表せ。
  2. SS のとりうる値の最大値を a,ba,b を用いて表せ。

解答はこちら。【解答・解説】東大理系数学2025 第3問

第四問 [整数]

東京大学理系数学2025年 第4問

この問いでは,00 以上の整数の2乗になる数を平方数と呼ぶ。aa を正の整数とし,fa(x)=x2+xaf_a (x) = x^2+x-a とおく。

  1. nn を正の整数とする。fa(n)f_a (n) が平方数ならば,nan \leqq a であることを示せ。
  2. fa(n)f_a (n) が平方数となる正の整数 nn の個数を NaN_a とおく。次の条件 (i),(ii) が同値であることを示せ。
    • (i) Na=1N_a = 1 である。
    • (ii) 4a+14a+1 は素数である。

解答はこちら。【解答・解説】東大理系数学2025 第4問

第五問 [場合の数]

東京大学理系数学2025年 第5問

nn22 以上の整数とする。11 から nn までの数字が書かれた札が各1枚ずつ合計 nn 枚あり,横一列におかれている。11 以上 (n1)(n-1) 以下の整数 ii に対して,次の操作 (Ti)(\mathrm{T}_i) を考える。

(Ti)(\mathrm{T}_i):左から ii 番目の札の数字が,左から (i+1)(i+1) 番目の札の数字よりも大きければ,これら2枚の札の位置を入れかえる。そうでなければ,札の位置をかえない。

最初の状態において札の数字は左から A1,A2,,AnA_1, A_2, \cdots , A_n であったとする。この状態から (n1)(n-1) 回の操作 (T1),(T2),,(Tn1)(\mathrm{T}_1), (\mathrm{T}_2) , \cdots , (\mathrm{T}_{n-1}) を順に行った後,続けて (n1)(n-1) 回の操作 (Tn1),,(T2),(T1)(\mathrm{T}_{n-1}), \cdots ,(\mathrm{T}_2) , (\mathrm{T}_{1}) を順に行ったところ,札の数字は左から 1,2,,n1,2, \cdots , n と小さい順に並んだ。以下の問いに答えよ。

  1. A1A_1A2A_2 のうち少なくとも一方は 22 以下であることを示せ。
  2. 最初の状態としてありうる札の数字の並び方 A1,A2,,AnA_1,A_2, \cdots , A_n の総数を cnc_n とする。nn44 以上の整数であるとき,cnc_ncn1c_{n-1}cn2c_{n-2} を用いて表せ。

解答はこちら。【解答・解説】東大理系数学2025 第5問

第六問 [複素平面]

東京大学理系数学2025年 第6問

複素数平面上の点 12\dfrac{1}{2} を中心とする半径 12\dfrac{1}{2} の円の周から原点を除いた曲線を CC とする。

  1. 曲線 CC 上の複素数 zz に対し,1z\dfrac{1}{z} の実部は 11 であることを示せ。

  2. α,β\alpha,\beta を曲線 CC 上の相異なる複素数とするとき,1α2+1β2\dfrac{1}{\alpha^2} + \dfrac{1}{\beta^2} とりうる範囲を複素数平面上に図示せよ。

  3. γ\gamma を (2) で求めた範囲に属さない複素数とするとき,1γ\dfrac{1}{\gamma} の実部がとりうる値の最大値と最小値を求め よ。

解答はこちら。【解答・解説】東大理系数学2025 第6問

第4問がお洒落すぎて驚きました。