【解答・解説】東大理系数学2025 第4問

東京大学理系数学2025年 第4問

この問いでは,00 以上の整数の2乗になる数を平方数と呼ぶ。aa を正の整数とし,fa(x)=x2+xaf_a (x) = x^2+x-a とおく。

  1. nn を正の整数とする。fa(n)f_a (n) が平方数ならば,nan \leqq a であることを示せ。
  2. fa(n)f_a (n) が平方数となる正の整数 nn の個数を NaN_a とおく。次の条件 (i),(ii) が同値であることを示せ。
    • (i) Na=1N_a = 1 である。
    • (ii) 4a+14a+1 は素数である。

この記事では東京大学理系数学第4問を解説します。

多項式に絡んだ整数問題は2024年理系第6問に続き,2年連続の出題となりました。ぞれぞれ全く異なるアプローチが必要で,総合力が問われます。第4問にしては難しいかもしれません。

解答

(1)

(1)

n>an > a であると仮定する。

このとき na>0n-a > 0 である。n2n^2 の次の平方数は n2+2n+1n^2+2n+1 である。一方, 0<na<n<2n+1 0 < n-a < n < 2n+1 であるため, n2<fa(n)<(n+1)2 n^2 < f_a (n) < (n+1)^2 である。よって,n>an > a であれば fa(n)f_a (n) は平方数ではない。対偶を取ることで題意を得る。

隣り合う平方数の差を見る議論は2019年理系数学第4問でも見られるように,難関大学を受験する上では抑えておきたいテクニックです。

(2)

文字式が出る整数問題で「素数」という単語が出てきたら,因数分解を試みましょう。

(2)

(1) より ana \geqq n である。

n2+na=m2n^2+n-a = m^2 とおく。(mm は正の整数)

このとき次の式が成立する。 4n2+4n4m2+1=4a+1 4n^2+4n-4m^2+1 = 4a+1 左辺を因数分解すると (2n2m+1)(2n+2m+1)=4a+1 () (2n-2m+1)(2n+2m+1) = 4a+1 \ \cdots (\ast) を得る。

また,fa(a)=a2f_a (a) = a^2 は平方数であるため,Na1N_a \geqq 1 である。

  • (ii) \Rightarrow (i)

4a+14a+1 は素数であるため, (2n2m+1,2n+2m+1)=(±1,±(4a+1)) (2n-2m+1,2n+2m+1)=(\pm 1, \pm (4a+1)) (複合同順)である。

2n2m+1<2n+2m+12n-2m+1 < 2n+2m+12n+2m+1>02n+2m+1 > 0 から 2n2m+1=12n-2m+1 = 12n+2m+1=4a+12n+2m+1 = 4a+1 となる。

方程式を解いて n=m=an=m = a と一位に定まる。よって Na=1N_a = 1 である。

  • (i) \Rightarrow (ii)

対偶を取り,4a+14a+1 が素数ではない仮定の下で議論をする。

4a+14a+1 が合成数であることと,()(\ast) より {2n2m+1=p2n+2m+1=qpq=4a+1 \begin{cases} 2n-2m+1 = p\\ 2n+2m+1 = q\\ pq = 4a+1 \end{cases} を満たす 11 ではない整数 p,qp,q が存在する。

上の方程式を解くと n=p+q24,m=p+q4n = \dfrac{p+q-2}{4}, m = \dfrac{p+q}{4} を得る。

このとき nn が整数であることを示せば,n=an = a と合わせて Na2N_a \geqq 2 となり,対偶が従う。

さて,p,qp,q44 で割った余りをそれぞれ p,qp',q' とする。pqpq は奇数であるため,p,qp,q どちらも素数であるため (p,q)=(1,1),(1,3),(3,1),(3,3) (p',q') = (1,1),(1,3),(3,1),(3,3) のいずれかである。pq=4a+1pq = 4a+1 より,pqp'q'44 で割った余りは 11 である。これを満たすものは (p,q)=(1,1),(3,3)(p',q') = (1,1),(3,3) である。

どちらの場合も p+qp+q44 で割った余りは 22 となり,p+q+2p+q+244 の倍数である。こうして nn は整数であることが分かった。

以上より題意が示される。

大変すばらしい問題でした。