最大値と最小値の分布(一般論と例)
以上 以下の数字をランダムに独立に 個生成する。このとき,小さい方から 番目の数の期待値は となる。
最大値や最小値など「小さい方から 番目」が従う確率分布の公式について考えます。最後に公式を一様分布に適用することで,上記の性質を確認します。
最大値が従う分布
最大値が従う分布
確率変数 が互いに独立に同一の分布(累積分布関数が )に従うとします。このとき, の最大値や最小値が従う分布について考えてみます。
まず「最大値の分布」の累積分布関数は になります。
「最大値が 以下の確率」
=「 が全て 以下になる確率」
最小値が従う分布
最小値が従う分布
「最小値の分布」の累積分布関数は になります。
「最小値が 以下の確率」
=「少なくとも1つは 以下になる確率」
=1-「全部 より大きい確率」
順序統計量が従う分布
順序統計量が従う分布
「 のうち,小さい方から 番目」が従う分布の 累積分布関数は,
最小値の分布( の場合),最大値の分布( の場合)の一般化です。
小さい方から 番目が 以下である確率
=「 個のうちちょうど 個が 以下である確率」を から まで足し上げたもの
と考える。
累積分布関数はシグマが入っていて少し複雑ですが,実は微分するときれいになります。
「 のうち,小さい方から 番目」が従う分布の 確率密度関数は,
※もとの分布の確率密度関数 の存在は仮定します。
上記の累積分布関数を地道に微分すると,
となるが,(第1項で を にすると第2項と一致するので)うまく打ち消し合って,第1項の の項のみが残る。
一様分布の場合の例
一様分布の場合の例
区間 上の一様分布に,上記の結果を適用してみます。
累積分布関数は なので「 のうち,小さい方から 番目」が従う分布の 確率密度関数は,
となります(ただし, は正規化定数)。
これは,パラメータが であるベータ分布です。そこで,ベータ分布の期待値の公式を使うと「小さい方から 番目」の期待値が
になることが分かります。
一般論(確率密度関数の導出で項が打ち消し合うところ)も具体例(乱数の期待値が等間隔に並ぶところ)もきれいです。