Lucasの定理とその証明
更新
任意の素数 と非負整数 に対して,
ただし, は の 進数表示, は の 進数表示。
なお, のときは ですが,このページではさらに のときは とします。
具体例
具体例
具体例を通じてLucasの定理の主張を理解していきましょう。
,, としてみます。定理の左辺は,
であり, で割った余りは です。
次に定理の右辺について考えます。 と の 進数表示(→二進法と十進法の変換方法と計算例)は,
なので,
となり, で割った余りは です。
証明(前半)
証明(前半)
Lucasの定理の証明に向けて,まずは以下の補題を示します。二項定理を使うだけなので難しくはありません。
任意の非負整数 に対して
ただし, についての整数係数多項式 について の各係数が の倍数であるとき と表記します。
のときは両辺ともに となり成立。
のときに補題が成立すると仮定すると,
ここで,上式を二項定理で展開すると は全て の倍数(→注)なので, では と等しい。
つまり のときにも補題が成立する。帰納法によりOK。
注: であることから分かります。二項係数の有名公式一覧と2つの証明方針でも解説しています。
追記:
上の補題は,帰納法を使わず,以下のように証明することもできました(Twitterでご指摘いただきました)。
任意の に対して が の倍数であることを示せばよい。
において,右辺は の倍数なので左辺も の倍数。 より, が持つ素因数 の個数は 以下。よって, は の倍数。
証明(後半)
証明(後半)
(ただし,各 は 以上 以下)であることを使います。美しいです!
を展開したときの の係数を2通りの方法で考える。まず,二項定理より,これは である。
一方, の 進数表示を使うと,
さらに補題を使うと,上式は で
と等しい。
この式について, という項がどのように登場するか考えると,
1つめの因数部分から ,2つめの因数部分から ,,最後の因数部分から を取ってきたもののみなので,その係数は
となる( となる が存在する場合, という項は存在しない,これは であることと整合する)。
ルーカスの定理なのかリュカの定理なのか,読み方は両方あるっぽいです(自信ない)。