log xのn階微分とテイラー展開
のとき,
- の 次導関数
- の でのテイラー展開
について解説します。
対数関数の 階微分
対数関数の 階微分
まずは高校数学の教科書レベルです。テイラー展開の準備として対数関数の 階微分を求めます。 階微分を求める問題→予想して帰納法という典型的なパターンです。
の 次導関数 を求めよ。
何回も微分してみると,
より,一般に となることが予想できる。
実際,これは以下のように帰納法で証明できる:
- のときOK
- のときOKと仮定すると,
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT49では,上記のような例題で計算ミスを減らすためのコツを紹介しています。
log (1+x)を考える理由
log (1+x)を考える理由
対数関数 を多項式で近似したいという状況を考えます。
は でテイラー展開(マクローリン展開)することができました(→sinとcosのn階微分とマクローリン展開,→e^xのマクローリン展開)が, は で定義されていないのでマクローリン展開できません。
そこで, を でテイラー展開することを考えます( など別の値でも展開できますが,きれいな式にはなりません)。
これは(平行移動して考えると), を で展開(マクローリン展開)するともみなせます。
対数関数のテイラー展開
対数関数のテイラー展開
というわけで, をマクローリン展開します。
の 階微分は, の 階微分を 平行移動したものです:
よって,
これをマクローリン展開の式:
に代入すると, となります。
( の係数 は となる)
等式が成立する範囲
等式が成立する範囲
は と級数展開できることがわかりました。
この級数が収束してもとの関数値と等しいこと: を証明するには,剰余項を評価する必要があります。→ テイラーの定理とテイラー展開~例と証明
頑張って評価すると, では上記の等式が正しいことが分かります。 の場合の評価のみ紹介します。
で剰余項 が に収束することを示したい。これは,以下よりわかる。
- より,
ちなみに, のときは別の議論により等式の正しさを証明することもできます。→log2に収束する交代級数の証明
収束半径
収束半径