Kiepertの定理とその証明

更新日時 2021/09/09
Kiepert(キエペルト,キーペルト)の定理

キエペルトの定理

三角形 ABCABC の外側(または内側)に相似な二等辺三角形 ABF,BCD,CAEABF,BCD,CAE をつくる。このとき,AD,BE,CFAD,BE,CF は1点 XX で交わる。

垂心,フェルマー点,ナポレオン点などを包含している非常に美しい定理です。

目次
  • 証明

  • Kiepert双曲線

  • いろいろな点を含むこと

証明

以下,二等辺三角形の底角を θ\theta とし,三角形 ABCABC の面積を ABC|ABC| などと表します。

Kiepertの定理を証明します。チェバの定理の逆を用います。

証明

ADADBCBC の交点を PPBEBECACA の交点を QQCFCFABAB の交点を RR とおく。 ARRBBPPCCQQA=1\dfrac{AR}{RB}\dfrac{BP}{PC}\dfrac{CQ}{QA}=1 を示すのが目標。

ここで,

ARRB=ACFBCF=ACsin(A+θ)BCsin(B+θ)\dfrac{AR}{RB}=\dfrac{|ACF|}{|BCF|}=\dfrac{AC\sin(A+\theta)}{BC\sin(B+\theta)}

同様に,BPPC=ABsin(B+θ)ACsin(C+θ)\dfrac{BP}{PC}=\dfrac{AB\sin(B+\theta)}{AC\sin(C+\theta)}

CQQA=BCsin(C+θ)ABsin(A+θ)\dfrac{CQ}{QA}=\dfrac{BC\sin(C+\theta)}{AB\sin(A+\theta)}

よって,目標の式の左辺を計算するといい感じに約分されて 11 になる。

なお,この証明は三角形と円の幾何学という本を参照しています。この本は図形マニアに超オススメです。

Kiepert双曲線

以下,三角形 ABCABC は二等辺三角形でないとします(例えば AB=ACAB=AC だと A=DA=D となることがあるのでそのような特殊ケースは除外したい)。

θ\theta を動かすと,三直線の交点 XX も動きます。 θ\theta を動かしたときに XX が動く軌跡は直角双曲線になることが知られており,これをkiepert hyperbola (キエペルト双曲線)と言います。

なお,軌跡が直角双曲線になることの証明については,

  • 三線座標を用いた証明がThe Conics of Ludwig Kiepert:(外部PDF)にあります。
  • 直交座標でも証明できると思うのですが,自分にはできませんでした(計算がゴツすぎて挫折しました)。直交座標で証明できた方はぜひ教えて下さい。

いろいろな点を含むこと

特定の θ\theta の値について考えてみます。

θ=0\theta=0^{\circ}:重心

D,E,FD,E,F は各辺の中点になります。

θ90\theta\to 90^{\circ}:垂心

めちゃくちゃ大きい二等辺三角形が三つあるのをイメージしてください。このとき,例えば ADADBCBC は(極限で)直交することが分かります。

θ=±60\theta=\pm 60^{\circ}:フェルマー点

マイナスのときは二等辺三角形を内側に作ると解釈してください。 θ=60\theta=60^{\circ} のとき,フェルマー点と一致します。→三角形のフェルマー点の3通りの証明

θ=±30\theta=\pm 30^{\circ}:ナポレオン点

これも三角形の「中心」の一つとして有名な点です。

θ=A\theta=-A:頂点 AA

Kiepert双曲線は三角形 ABCABC の各頂点を通ることも分かります(AA が鋭角の場合と鈍角の場合で図が変わることに注意)。

久しぶりの図形&数学オリンピックレベルの記事です!