Kiepertの定理とその証明
三角形 の外側(または内側)に相似な二等辺三角形 をつくる。このとき, は1点 で交わる。
垂心,フェルマー点,ナポレオン点などを包含している非常に美しい定理です。
証明
証明
以下,二等辺三角形の底角を とし,三角形 の面積を などと表します。
Kiepertの定理を証明します。チェバの定理の逆を用います。
と の交点を , と の交点を , と の交点を とおく。 を示すのが目標。
ここで,
同様に,
よって,目標の式の左辺を計算するといい感じに約分されて になる。
なお,この証明は三角形と円の幾何学という本を参照しています。この本は図形マニアにとてもオススメです。
Kiepert双曲線
Kiepert双曲線
以下,三角形 は二等辺三角形でないとします(例えば だと となることがあるのでそのような特殊ケースは除外したい)。
を動かすと,三直線の交点 も動きます。 を動かしたときに が動く軌跡は直角双曲線になることが知られており,これをkiepert hyperbola (キエペルト双曲線)と言います。
なお,軌跡が直角双曲線になることの証明については,
- 三線座標を用いた証明がThe Conics of Ludwig Kiepert:(外部PDF)にあります。
- 直交座標でも証明できると思うのですが,自分にはできませんでした(計算がゴツすぎて挫折しました)。直交座標で証明できた方はぜひ教えて下さい。
いろいろな点を含むこと
いろいろな点を含むこと
特定の の値について考えてみます。
・ :重心
は各辺の中点になります。
・ :垂心
めちゃくちゃ大きい二等辺三角形が三つあるのをイメージしてください。このとき,例えば と は(極限で)直交することが分かります。
・ :フェルマー点
マイナスのときは二等辺三角形を内側に作ると解釈してください。 のとき,フェルマー点と一致します。→三角形のフェルマー点の3通りの証明
・ :ナポレオン点
これも三角形の「中心」の一つとして有名な点です。
・ :頂点
Kiepert双曲線は三角形 の各頂点を通ることも分かります( が鋭角の場合と鈍角の場合で図が変わることに注意)。
久しぶりの図形&数学オリンピックレベルの記事です!