一様分布の平均,分散,特性関数など

一様分布について紹介します。

一様分布とは「どの値になる確率も同じである」ような分布のことです。

一様分布の確率密度

一様分布の意味

  • 一様分布とは「どの値になる確率も同じである」ような分布です。

  • 「完全にランダムな分布」とも言えます。

  • 確率変数のとりうる値が連続的な場合は連続型一様分布,とびとびの場合は離散型一様分布と言うこともあります。以下では,連続型一様分布を考えます。

確率密度関数

とりうる値が axba\leqq x\leqq b である状況を考えましょう。

全確率は1なので,確率密度関数の下側の面積は 11 です。 →確率密度関数の意味と具体例

一様分布の確率密度

よって,確率密度関数は以下のようになります。

一様分布の確率密度関数

区間 [a,b][a,b] 上の一様分布の確率密度関数は

f(x)={1ba(axb)0(Otherwise)f(x)=\begin{cases}\dfrac{1}{b-a}&(a\leq x\leq b)\\0&(\mathrm{Otherwise})\end{cases}

値が特定の区間に入る確率はその区間の幅に比例します。

22 以上 66 以下の実数をランダムで発生させるとき,その値は区間 [2,6][2,6] 上の一様分布に従う。乱数値が 44 以上 55 以下となる確率は 5462=14\dfrac{5-4}{6-2}=\dfrac{1}{4} である。

他にも例としてはビュフォンの針の問題と確率の導出があります。

このように,乱数を扱う場面で一様分布が必要になります。

一様分布の平均(期待値)と分散

区間 [a,b][a,b] 上の一様分布の平均(期待値)は a+b2\dfrac{a+b}{2},分散は (ba)212\dfrac{(b-a)^2}{12}

平均は区間の中央になり,妥当ですが,分散に 112\dfrac{1}{12} が登場するのはおもしろいです。

分散の導出には,V[X]=E[X2]E[X]2V[X]=E[X^2]-E[X]^2 という公式を使います。分散の意味と2通りの求め方・計算例

証明

平均は, E[X]=abxf(x)dx=abxbadx=1ba[x22]ab=1ba(b2a22)=a+b2\begin{aligned}E[X]&=\displaystyle\int_a^bxf(x)dx\\ &=\displaystyle\int_a^b\dfrac{x}{b-a}dx\\ &=\dfrac{1}{b-a}\left[\dfrac{x^2}{2}\right]_a^b\\ &=\dfrac{1}{b-a}\left(\dfrac{b^2-a^2}{2}\right)\\ &=\dfrac{a+b}{2}\end{aligned}

分散は,

V[X]=abx2f(x)dx(a+b2)2=1ba(b3a33)a2+2ab+b24=a2+ab+b23a2+2ab+b24=a22ab+b212=(ab)212\begin{aligned}V[X]&=\displaystyle\int_a^bx^2f(x)dx-\left(\dfrac{a+b}{2}\right)^2\\ &=\dfrac{1}{b-a}\left(\dfrac{b^3-a^3}{3}\right)-\dfrac{a^2+2ab+b^2}{4}\\ &=\dfrac{a^2+ab+b^2}{3}-\dfrac{a^2+2ab+b^2}{4}\\ &=\dfrac{a^2-2ab+b^2}{12}\\ &=\dfrac{(a-b)^2}{12}\end{aligned}

一様分布のモーメント母関数

次はモーメント母関数です。定義に従って計算するのみです。

区間 [a,b][a,b] 上の一様分布のモーメント母関数は E[etX]=etbetat(ba)E[e^{tX}]=\dfrac{e^{tb}-e^{ta}}{t(b-a)}

証明

モーメント母関数の定義より, E[etX]=abetxf(x)dx=1ba[etxt]ab=etbetat(ba)\begin{aligned}E[e^{tX}]&=\displaystyle\int_a^be^{tx}f(x)dx\\ &=\dfrac{1}{b-a}\left[\dfrac{e^{tx}}{t}\right]_a^b\\ &=\dfrac{e^{tb}-e^{ta}}{t(b-a)}\end{aligned}

注意: t=0t=0 の場合,モーメント母関数の値は 11 ですが,上式の t0t\to 0 の極限と考えれば一致します。以下の特性関数についても同様です。。

一様分布の特性関数

次は特性関数。モーメント母関数とほとんど同じですがこちらはsinc関数が登場します。

区間 [a,b][a,b] 上の一様分布の特性関数は, ϕX(t)=ei(b+a)t2sinc((ba)t2)\phi_X(t)=e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\mathrm{sinc}(\frac{(b-a)t}{2}) ただし,sinc(x)=sinxx\mathrm{sinc}(x)=\dfrac{\sin x}{x}

注:sinc関数については→sinx/xについて覚えておくべき2つのことをどうぞ。

証明

特性関数の定義より,

ϕX(t)=abeitxf(x)dx=eitbeitait(ba)\phi_X(t)=\displaystyle\int_a^be^{itx}f(x)dx =\dfrac{e^{itb}-e^{ita}}{it(b-a)}

ここで終わりでもよいが,複素指数関数に関するオイラーの公式を使って変形していく:

ϕX(t)=ei(b+a)t2ei(ba)t2ei(ba)t2i(ba)t=ei(b+a)t22isin(ba)t2i(ba)t=ei(b+a)t2sinc((ba)t2)\begin{aligned}\phi_X(t)&=e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\dfrac{e^{\frac{i(b-a)t}{2}}-e^{-\frac{i(b-a)t}{2}}}{i(b-a)t}\\ &=e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\dfrac{2i\sin\frac{(b-a)t}{2}}{i(b-a)t}\\ &=e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\mathrm{sinc}(\frac{(b-a)t}{2})\end{aligned}

矩形関数のFourier変換はsinc関数!

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