一様分布の平均,分散,特性関数など

更新日時 2021/03/07

連続型一様分布の意味,平均と分散,モーメント母関数と特性関数について解説。連続型確率分布の最も簡単な例であり,いろいろな試験に頻出です。

目次
  • 一様分布の意味

  • 一様分布の平均と分散

  • モーメント母関数

  • 特性関数

一様分布の意味

一様分布はランダムな事象を表現する確率分布です。ここでは確率変数のとりうる値が連続である場合を考えます。

一様分布の確率密度 区間 [a,b][a,b] 上の一様分布の確率密度関数

f(x)={1ba(axb)0(Otherwise)f(x)=\begin{cases}\dfrac{1}{b-a}&(a\leq x\leq b)\\0&(\mathrm{Otherwise})\end{cases}

です。値が特定の区間に入る確率はその区間の幅に比例します。

22 以上 66 以下の実数をランダムで発生させるとき,その値は区間 [2,6][2,6] 上の一様分布に従う。乱数値が 44 以上 55 以下となる確率は 5462=14\dfrac{5-4}{6-2}=\dfrac{1}{4} である。

他にも例としてはビュフォンの針の問題と確率の導出など。

このように乱数を扱う場面で一様分布という道具が必要になるのです。

一様分布の平均と分散

区間 [a,b][a,b] 上の一様分布の平均は a+b2\dfrac{a+b}{2},分散は (ba)212\dfrac{(b-a)^2}{12}

平均はそりゃそうだろって感じですが,分散に 112\dfrac{1}{12} が登場するのはなかなか面白いです。

分散の導出には,V[X]=E[X2]E[X]2V[X]=E[X^2]-E[X]^2 という公式を使います。分散の意味と2通りの求め方・計算例

証明

平均は,

E[X]=abxf(x)dx=abxbadx=1ba[x22]ab=1ba(b2a22)=a+b2E[X]=\displaystyle\int_a^bxf(x)dx =\displaystyle\int_a^b\dfrac{x}{b-a}dx\\ =\dfrac{1}{b-a}\left[\dfrac{x^2}{2}\right]_a^b\\ =\dfrac{1}{b-a}\left(\dfrac{b^2-a^2}{2}\right)\\ =\dfrac{a+b}{2}

分散は,

V[X]=abx2f(x)dx(a+b2)2=1ba(b3a33)a2+2ab+b24=a2+ab+b23a2+2ab+b24=a22ab+b212=(ab)212V[X]=\displaystyle\int_a^bx^2f(x)dx-\left(\dfrac{a+b}{2}\right)^2\\ =\dfrac{1}{b-a}\left(\dfrac{b^3-a^3}{3}\right)-\dfrac{a^2+2ab+b^2}{4}\\ =\dfrac{a^2+ab+b^2}{3}-\dfrac{a^2+2ab+b^2}{4}\\ =\dfrac{a^2-2ab+b^2}{12}\\ =\dfrac{(a-b)^2}{12}

モーメント母関数

次はモーメント母関数です。定義に従って計算するのみです。

区間 [a,b][a,b] 上の一様分布のモーメント母関数は etbetat(ba)\dfrac{e^{tb}-e^{ta}}{t(b-a)}

証明

モーメント母関数の定義より,

E[etX]=abetxf(x)dx=1ba[etxt]ab=etbetat(ba)E[e^{tX}]=\displaystyle\int_a^be^{tx}f(x)dx\\ =\dfrac{1}{b-a}\left[\dfrac{e^{tx}}{t}\right]_a^b\\ =\dfrac{e^{tb}-e^{ta}}{t(b-a)}

注意: t=0t=0 の場合,モーメント母関数の値は 11 ですが,上式の t0t\to 0 の極限と考えれば一致します。以下の特性関数についても同様。

特性関数

次は特性関数。モーメント母関数とほとんど同じですがこちらはsinc関数が登場します。

区間 [a,b][a,b] 上の一様分布の特性関数は,

ϕX(t)=ei(b+a)t2sinc((ba)t2)\phi_X(t)=e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\mathrm{sinc}(\frac{(b-a)t}{2})

ただし,sinc(x)=sinxx\mathrm{sinc}(x)=\dfrac{\sin x}{x}

注:sinc関数については→sinx/xについて覚えておくべき2つのことをどうぞ。

証明

特性関数の定義より,

ϕX(t)=abeitxf(x)dx=eitbeitait(ba)\phi_X(t)=\displaystyle\int_a^be^{itx}f(x)dx\\ =\dfrac{e^{itb}-e^{ita}}{it(b-a)}

ここで終わりでもよいが,複素指数関数に関するオイラーの公式を使って変形していく:

ϕX(t)=ei(b+a)t2ei(ba)t2ei(ba)t2i(ba)t=ei(b+a)t22isin(ba)t2i(ba)t=ei(b+a)t2sinc((ba)t2)\phi_X(t)=e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\dfrac{e^{\frac{i(b-a)t}{2}}-e^{-\frac{i(b-a)t}{2}}}{i(b-a)t}\\ =e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\dfrac{2i\sin\frac{(b-a)t}{2}}{i(b-a)t}\\ =e^{\frac{i(b+a)t}{2}}\mathrm{sinc}(\frac{(b-a)t}{2})

矩形関数のFourier変換はsinc関数!

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