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三角形の成立条件とその証明

更新日時 2021/03/07

三角形の成立条件(存在条件):三辺の長さが a,b,ca,\:b,\:c である三角形が存在する必要十分条件は,

a+b>ca+b > c かつ b+c>ab+c > a かつ c+a>bc+a > b

三角形の成立条件とその証明を詳しく解説します。

目次
  • 三角形の成立条件について

  • 三角形の成立条件の証明(必要性)

  • 三角形の成立条件の証明(十分性)

  • 2つの円が交わることの厳密な証明

三角形の成立条件について

  • 三角形の成立条件に登場する不等式を三角不等式といいます。三角不等式は様々な「長さ」に拡張されています。→いろいろな三角不等式(絶対値,複素数,ベクトル)

  • 三本の不等式を aa について解くことで,条件を bc<a<b+c|b-c| <a <b+c と変形することもできます。こちらを三角形の成立条件として表記している本もあります。こちらの方が簡潔ですが,対称性が失われて扱いにくいことが多いため冒頭の三本の不等式を覚えておくことをおすすめします。

  • ちなみに,冒頭の条件と同値な条件 bc<a<b+c|b-c| <a <b+c より「三角不等式が成立するなら a>0a > 0であることが分かります。同様に b>0,c>0b > 0,\: c > 0 であることも分かります。つまり,三角不等式を仮定すれば各変数が正であるという条件は自然に出てくるのです。

・三角形の成立条件(存在条件とも言う)は 「三角形が存在するかどうか」を判定する条件です。三角形の決定条件とは意味が異なるので注意して下さい。→三角形の決定条件と自由度

三角形の成立条件の証明(必要性)

「三角形が成立する→三角不等式が成立する」を証明します。 寄り道した方が距離が長くなるという直感に従うと自明ですが,一応きちんと証明しておきます。

証明

三角形の成立条件の証明

三辺の長さが a,b,ca,\:b,\:c であるような三角形 ABCABC が存在したとする。 BC=a,CA=b,AB=cBC=a,\:CA=b,\:AB=c とおく。

AA から BCBC に下ろした垂線の足を HH とおくと,三平方の定理より,

c2=BH2+AH2>BH2,b2=AH2+CH2>CH2c^2=BH^2+AH^2 > BH^2,\\b^2=AH^2+CH^2 > CH^2

よって,c>BH,b>CHc > BH,\: b > CH を得る。

HH が辺 BCBC 上にあるとき

a=CH+BHa=CH+BH より,a<b+ca <b+c

・そうでないとき

a<BH+CHa <BH+CH より,a<b+ca <b+c

対称性より残り二本の三角不等式も成立する。

三角形の成立条件の証明(十分性)

「三角不等式が成立する→三角形が成立する」を証明します。2つの円の位置関係を利用して三角形を構成します。

証明

三角形の成立条件の証明2

まず,長さ aa の線分 BCBC を書く。

次に,BB を中心とした半径 cc の円 O1O_1CC を中心とした半径 bb の円 O2O_2 を書く。

三角不等式が成立するとき,bc<a<b+c|b-c| <a <b+c なので,円 O1O_1O2O_2 は2点で交わる。(注)

その交点の 11 つを AA とおく。 AA は直線 BCBC 上にない点であり,AB=c,BC=a,CA=bAB=c,\:BC=a,\:CA=b を満たす。よって,三辺の長さが a,b,ca,\:b,\:c である三角形 ABCABC が構成できた。

(注)の部分は直感的に明らかですが,座標を使ってきちんと証明しておきます。けっこうきれいです。

2つの円が交わることの厳密な証明

証明

B(0,0),C(a,0)B(0,0),\:C(a,0) となる直交座標で考える。

O1:x2+y2=c2O2:(xa)2+y2=b2O_1:x^2+y^2=c^2\\ O_2:(x-a)^2+y^2=b^2

である。これらを連立させて解いたときに解が二つあることを証明すればよい。

まず,yy を消去すると,x=a2b2+c22ax=\dfrac{a^2-b^2+c^2}{2a} を得る。

これを O1O_1 の式に代入して,

y2=c2(a2b2+c22a)2y^2=c^2-(\dfrac{a^2-b^2+c^2}{2a})^2 となる。この右辺が正なら,解が二つあることが言える。

実際右辺を計算(通分して因数分解)すると,

14a2(a+b+c)(a+b+c)(ab+c)(a+bc)\dfrac{1}{4a^2}(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c) となり,三角不等式が成立するなら正である。

なお,最後の因数分解はヘロンの公式を導出したときの計算と全く同じです!

最後の因数分解にけっこう感動しました。

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