【解答・解説】東大理系数学2026 第6問

東大理系数学2026 第6問

nn を正の整数とする。nn の正の約数のうち,33 で割って 11 余るものの個数を f(n)f(n),33 で割って 22 余るものの個数を g(n)g(n) とする。

  1. f(2800), g(2800)f(2800),\ g(2800) を求めよ。
  2. f(n)≧g(n)f(n) \geqq g(n) を示せ。
  3. g(n)=15g(n)=15 であるとき, f(n)f(n) がとりうる値を求めよ。

この記事では東大理系数学2026 第6問を解説します。非常に難しいものの,たいへん興味深い問題です。一緒に味わいましょう。

解答・解説

正整数 nn に対して nn の約数の個数を d(n)d(n) で表す。

(1)

約数を考えるときはまず素因数分解です。

素因数ごとに 33 で割った余りを考えることで計算を進めましょう。 今回は 28002800 が 33 で割り切れないため,f(2800)+g(2800)=d(2800)f(2800) + g(2800) = d(2800) です。そのため ff と gg の片方だけ計算すればOKです。

(1)

2800=24⋅52⋅72800 = 2^4 \cdot 5^2 \cdot 7 である。よって約数の個数は 5×3×2=305 \times 3 \times 2 = 30 個である。

2, 52, \ 5 は 33 で割って 22 余り,77 は 33 で割って 11 余る。

33 で割って 22 余る数同士を掛けた数を再び 33 で割ると余りは 11 である。 よって,28002800 の約数のうち 33 で割って 11 余る数を素因数分解すると次の2パターンになる。

  • 2, 52, \ 5 の指数がどちらも偶数,77 の指数は自由
  • 2, 52, \ 5 の指数がどちらも奇数,77 の指数は自由

それぞれ数えると

  • 2, 52,\ 5 の指数がどちらも偶数:22 の指数としてあり得るのは 0, 2, 40, \ 2,\ 4,55 の指数としてあり得るのは 0, 20, \ 2 であるため,3×2×2=123 \times 2 \times 2 = 12 通り.
  • 2, 52,\ 5 の指数がどちらも奇数:22 の指数としてあり得るのは 1, 31, \ 3,55 の指数としてあり得るのは 11 であるため,2×1×2=42 \times 1 \times 2 = 4 通り.

よって,f(2800)=16f(2800) = 16 である。

28002800 は3の倍数ではないため,すべての約数は 33 で割って 11 余るか 22 余るかのどちらかになる。ゆえに g(2800)=30−f(2800)=14g(2800) = 30- f(2800) = 14 である。

(2)

非常に難しいです。

まず 3で割って2余る素因数の指数をすべて足したとき,偶数であれば3で割ったとき1余る ことを押さえておきましょう。

例を考えてみましょう。23⋅522^3 \cdot 5^2 の約数を並べてみます。 12122235121⋅5122⋅5123⋅515221⋅5222⋅5223⋅52 \begin{array}{cccc} 1 & 2^1 & 2^2 & 2^3\\ 5^1 & 2^1 \cdot 5^1 & 2^2 \cdot 5^1 & 2^3 \cdot 5^1\\ 5^2 & 2^1 \cdot 5^2 & 2^2 \cdot 5^2 & 2^3 \cdot 5^2\\ \end{array}

このうち 33 で割って 22 余るものだけを取り出すとこのようになります。 21235122⋅5121⋅5223⋅52 \begin{array}{cccc} & 2^1 & & 2^3\\ 5^1 & & 2^2 \cdot 5^1 &\\ & 2^1 \cdot 5^2 & & 2^3 \cdot 5^2\\ \end{array} この表から全体を右にずらす(これ以上右にいけない場合は一周させる)と,33 で割って 22 余る数は,33 で割って 11 余る数になります。しかも同じ数に移る数はありませんので,33 で割って 22 余る数に対応する 33 で割って 11 余る数が必ず1つ存在することが分かり,g(n)≦f(n)g(n) \leqq f(n) であることが分かります。

逆にずらすこともできるので,この場合は f(n)=g(n)f(n) =g(n) となります。

一方,24⋅522^4 \cdot 5^2 の場合はどうでしょうか? 約数は 1212223245121⋅5122⋅5123⋅5124⋅515221⋅5222⋅5223⋅5224⋅52 \begin{array}{ccccc} 1 & 2^1 & 2^2 & 2^3 & 2^4\\ 5^1 & 2^1 \cdot 5^1 & 2^2 \cdot 5^1 & 2^3 \cdot 5^1 & 2^4 \cdot 5^1\\ 5^2 & 2^1 \cdot 5^2 & 2^2 \cdot 5^2 & 2^3 \cdot 5^2 & 2^4 \cdot 5^2\\ \end{array} で,特に 33 で割って 22 余るものは次のようになります。 21235122⋅5124⋅5121⋅5223⋅52 \begin{array}{ccccc} & 2^1 & & 2^3 &\\ 5^1 & & 2^2 \cdot 5^1 & & 2^4 \cdot 5^1\\ & 2^1 \cdot 5^2 & & 2^3 \cdot 5^2 &\\ \end{array} 同じように右にずらしても 24⋅512^4 \cdot 5^1 が 515^1 にぶつかってうまくいきませんね。

この違いは 22 の指数が奇数であったことにあります。 前回,これ以上右に行けない場合に一周させると,22 の指数が 33 から 00 に変わり,指数の偶奇が変わっていました。 今回は,22 の指数は 44 から 00 に変わります。これでは偶数→偶数のままで,33 で割った余りは変わりません。

一見すると行き詰まったように見えますが,今回は,232^3 が 242^4 に移ることで 525^2 が空席のままです。そのため,24⋅512^4 \cdot 5^1 は 11 に移ってもらうことにすると,前のとき同様に g(n)≦f(n)g(n) \leqq f(n) だと言えそうです。

それでもなお 00 は空席のままですから,n=24⋅52n = 2^4 \cdot 5^2 の場合は f(n)=g(n)+1f(n) = g(n) + 1 となります。

nn の約数のうち 33 で割って 11 余る素因数の積を n′n' とおくと,空席として 11 の他に n′n' の約数も現れます。そのため f(n)=g(n)+d(n′)f(n) = g(n) + d(n') となりますね。実際に (1) の場合を考えると n′=7n' = 7 で d(n′)=2d(n') = 2 ですから f(2800)=16=14+2=g(2800)+d(7) f(2800) = 16 = 14+2 = g(2800) + d(7) となっています。

∗∗∗ \ast\ast\ast

上の観察を議論に落とし込むためには,33 で割って 22 余る素因数が必要です。そのため,そうではないケース,つまり g(n)=0g(n) = 0 という場合を考えておきましょう。

(2) ステップ1
  • g(n)=0g(n) = 0 のとき

11 は nn の約数であって 33 で割って 11 余る数であるため,f(n)≧1f(n) \geqq 1 より f(n)>g(n)f(n) > g(n) である。

それではさきほどの観察を厳密に示します。

まずは指数が奇数である数が存在する場合を議論します。

(2) ステップ2-1
  • g(n)=N>0g(n) = N > 0 のとき

33 で割って 11 余る数同士を掛けたとき,その数を 33 で割った余りは 11 である。よって,nn の素因数には 33 で割って 22 余るものが必ず存在する。それらを p1, p2, ⋯ , pkp_1, \ p_2, \ \cdots , \ p_k とおく。

このとき素因数分解すると n=p1a1⋅p2a2⋅⋯⋅pkak⋅3A⋅(残り) n = {p_1}^{a_1} \cdot {p_2}^{a_2} \cdot \cdots \cdot {p_k}^{a_k} \cdot 3^A \cdot (\text{残り}) となるよう正整数 a1, a2, ⋯ ,aka_1, \ a_2, \ \cdots , a_k をおく。

nn の約数 mm を素因数分解すると m=p1b1⋅p2b2⋅⋯⋅pkbk⋅(残り) m = {p_1}^{b_1} \cdot {p_2}^{b_2} \cdot \cdots \cdot {p_k}^{b_k} \cdot (\text{残り}) と表されたとする。

b1+b2+⋯+bkb_1+b_2+ \cdots + b_k が偶数のとき mm を 33 で割った余りが 11 になり,b1+b2+⋯+bkb_1+b_2+ \cdots + b_k が奇数のとき mm を 33 で割った余りが 22 になる。

  • a1, a2, ⋯ ,aka_1, \ a_2, \ \cdots , a_k のなかに奇数が存在する場合

奇数であるものを ala_l とおく。 h(m)h(m) を h(m)={plm(al>bl)pl−blm(al=bl) h(m) = \begin{cases} p_l m &(a_l > b_l)\\ {p_l}^{-b_l} m &(a_l = b_l) \end{cases} と定める。

このとき,mm を 33 で割った余りが 22 であるとき,h(m)h(m) を 33 で割った余りは 11 である。実際に示す。

  • al>bla_l > b_l の場合:33 で割って 22 余る数同士を掛けているため,h(m)h(m) を 33 で割った余りは 11 になる。

  • al=bla_l = b_l の場合:h(m)h(m) を素因数分解すると p1b1⋅p2b2⋅⋯⋅pl−1bl−1⋅pl+1bl+1⋅⋯⋅pkbk⋅(残り) {p_1}^{b_1} \cdot {p_2}^{b_2} \cdot \cdots \cdot {p_{l-1}}^{b_{l-1}} \cdot {p_{l+1}}^{b_{l+1}} \cdot \cdots \cdot {p_k}^{b_k} \cdot (\text{残り}) となる。 前述した通り,b1+b2+⋯+bkb_1+b_2+ \cdots + b_k は奇数である。また,bl=alb_l = a_l が奇数であるため,h(m)h(m) の(33 で割って 22 余る素因数の)指数を足した b1+b2+⋯+bl−1+bl+1+⋯+bkb_1+b_2+ \cdots + b_{l-1} + b_{l+1} + \cdots + b_k は偶数になる。よって h(m)h(m) は 33 で割って 11 余る。

以上より示された。 同様の議論により,逆に mm を 33 で割った余りが 11 であるとき,h(m)h(m) を 33 で割った余りは 22 であることも分かる。

m1, m2m_1, \ m_2 は nn の約数とする。 h(m1)=h(m2)h(m_1) = h(m_2) のとき m1=m2m_1 = m_2 である。 実際,h(m1)=h(m2)h(m_1) = h(m_2) が plp_l で割り切れる場合,定義より m1=h(m1)pl, m2=h(m2)pl m_1 = \dfrac{h(m_1)}{p_l},\ m_2 = \dfrac{h(m_2)}{p_l} である。よって,m1=m2m_1 = m_2 である。 また,h(m1)=h(m2)h(m_1) = h(m_2) が plp_l で割り切れない場合,定義より m1=plalh(m1), m2=plalh(m2) m_1 = {p_l}^{a_l} h(m_1),\ m_2 = {p_l}^{a_l} h(m_2) である。よって,このときも m1=m2m_1 = m_2 である。

∗∗∗\ast\ast\ast

nn の約数のうち,33 で割ると 22 余るものを小さい順に m1, m2, ⋯ , mNm_1, \ m_2, \ \cdots , \ m_N とおくと, h(m1), h(m2), ⋯ , h(mN) h(m_1) , \ h(m_2) , \ \cdots ,\ h(m_N) は相異なる nn の約数であって,33 で割ると 11 余る数である。 この他にも 33 で割って 11 余る nn の約数は存在し得るため,f(n)≧N=g(n)f(n) \geqq N =g(n) を得る。

また,逆に考えることで g(n)≧f(n)g(n) \geqq f(n) を示すこともでき,このとき f(n)=g(n)f(n) = g(n) を得る。

最後に指数がすべて偶数のときを議論します。

(2) ステップ2-2
  • a1, a2, ⋯ ,aka_1, \ a_2, \ \cdots , a_k がすべて偶数の場合

mm は 33 で割って 22 余る nn の約数とする。

h(m)h(m) を次のように定める。

  • a1>b1a_1 > b_1 のとき h(m)=p1m h(m) = p_1 m
  • a1=b1a_1 = b_1 のとき h(m)=p1−b1plm h(m) = p_1^{-b_1} p_l m ただし,plp_l は,p1, p2, ⋯ , pkp_1, \ p_2, \ \cdots , \ p_k のうち,指数 blb_l が奇数になる最小の素数とする。なお,b1=a1b_1 = a_1 は偶数であって,b1+b2+⋯+bkb_1 + b_2 + \cdots + b_k が奇数であるため,b2, b3,⋯ , bkb_2,\ b_3, \cdots, \ b_k のなかに必ず奇数が存在する。

このとき,同様に議論することで

  • h(m)h(m) を 33 で割ると 11 余る
  • h(m1)=h(m2)h(m_1) = h(m_2) の場合,m1=m2m_1 = m_2 である(ただし,m1, m2m_1, \ m_2 は 33 で割って 22 余る nn の約数)

であることが示される。ゆえに同じく議論して g(n)≦f(n)g(n) \leqq f(n) を得る。

(3)

33 で割って 11 余る素因数が関わるかどうかで場合分けをしましょう。

(3)

(2) 同様に nn の素因数のうち 33 で割って 22 余るものを p1, p2, ⋯ , pkp_1, \ p_2, \ \cdots , \ p_k とおく。

n=p1a1⋅p2a2⋅⋯⋅pkak⋅3A⋅n′ n = {p_1}^{a_1} \cdot {p_2}^{a_2} \cdot \cdots \cdot {p_k}^{a_k} \cdot 3^A \cdot n' となるよう正整数 a1, a2, ⋯ ,aka_1, \ a_2, \ \cdots , a_k をおく。 なお,ここで n′n' は p1, p2, ⋯ , pkp_1, \ p_2, \ \cdots , \ p_k 及び 33 と互いに素な正整数である。

n′n' の素因数はすべて 33 で割って 11 余ることに注意すると g(n)=g(p1a1⋅p2a2⋅⋯⋅pkak)×d(n′) g(n) = g({p_1}^{a_1} \cdot {p_2}^{a_2} \cdot \cdots \cdot {p_k}^{a_k}) \times d(n') である。

  • a1, a2, ⋯ , aka_1, \ a_2,\ \cdots , \ a_k のなかに奇数があるとき

(2) の議論から g(p1a1⋅p2a2⋅⋯⋅pkak)=f(p1a1⋅p2a2⋅⋯⋅pkak) g({p_1}^{a_1} \cdot {p_2}^{a_2} \cdot \cdots \cdot {p_k}^{a_k}) = f({p_1}^{a_1} \cdot {p_2}^{a_2} \cdot \cdots \cdot {p_k}^{a_k}) であるため,f(n)=g(n)=15f(n) = g(n) = 15 となる。

  • a1, a2, ⋯ , aka_1, \ a_2,\ \cdots , \ a_k がすべて偶数の場合

(2) の hh の定義より h(m)h(m) の p1, p2, ⋯ , pkp_1, \ p_2,\ \cdots, \ p_k の指数がどれも 00 になることはない。よって S1={h(m)∣m は 3 で割って 2 余る n の約数}S2={m∣m は 3 で割って 1 余る n の約数} S_1 = \{ h(m) \mid m \ \text{は} \ 3 \ \text{で割って} \ 2 \ \text{余る} \ n \ \text{の約数} \}\\ S_2 = \{ m \mid m \ \text{は} \ 3 \ \text{で割って} \ 1 \ \text{余る} \ n \ \text{の約数} \} とすると S1∪{m∣n′ の約数}=S2 S_1 \cup \{ m \mid n' \ \text{の約数} \} = S_2 となる。

元の個数を比較することで g(n)+d(n′)=f(n) g(n) + d(n') = f(n) となる。

d(n′)d(n') は g(n)g(n) の約数であるため,1, 3, 5, 151,\ 3,\ 5,\ 15 のいずれかである。よって f(n)=16, 18, 20, 30f(n) = 16,\ 18,\ 20, \ 30 をとり得る。

以上より,解答は 15, 16, 18, 20, 3015,\ 16,\ 18,\ 20,\ 30 である。

近年稀にみる難問でした。