半角の公式

2倍角の公式

半角の公式は,θ2\dfrac{\theta}{2} の三角関数θ\theta の三角関数で表す公式: sin2θ2=1cosθ2cos2θ2=1+cosθ2tan2θ2=1cosθ1+cosθ\begin{aligned} \sin^2 \dfrac{\theta}{2} &= \dfrac{1-\cos \theta}{2}\\ \cos^2 \dfrac{\theta}{2} &= \dfrac{1+\cos \theta}{2}\\ \tan^2 \dfrac{\theta}{2} &= \dfrac{1-\cos \theta}{1+\cos \theta} \end{aligned}

半角の公式の意味,証明を紹介します。

倍角の公式を用いて証明をするので,理解が怪しい人は復習しておきましょう。→2倍角の公式とその証明

半角の公式の証明

どの公式も cos\cos の倍角の公式から導出できます。

sin の半角の公式

サインの半角の公式

sin2θ2=1cosθ2 \sin^2 \dfrac{\theta}{2} = \dfrac{1-\cos \theta}{2}

sin の半角の公式の証明

cos\cos の倍角の公式 cos2θ=12sin2θ\cos 2\theta = 1 - 2 \sin^2 \thetaθ\thetaθ2\dfrac{\theta}{2} に置き換えて整理すると sin2θ2=1cosθ2 \sin^2 \dfrac{\theta}{2} = \dfrac{1-\cos \theta}{2} を得る。

cos の半角の公式

コサインの半角の公式

cos2θ2=1+cosθ2 \cos^2 \dfrac{\theta}{2} = \dfrac{1+\cos \theta}{2}

sin\sin と同様に示すことができます。

cos の半角の公式の証明

cos\cos の倍角の公式 cos2θ=2cos2θ1\cos 2\theta = 2 \cos^2 \theta - 1θ\thetaθ2\dfrac{\theta}{2} に置き換えて整理すると cos2θ2=1+cosθ2 \cos^2 \dfrac{\theta}{2} = \dfrac{1+\cos \theta}{2} を得る。

tan の半角の公式

タンジェントの半角の公式

tan2θ2=1cosθ1+cosθ \tan^2 \dfrac{\theta}{2} = \dfrac{1 - \cos \theta}{1 + \cos \theta}\\

これまでの2つを組み合わせるだけです。

tan の半角の公式の証明

tan2θ2=sin2θ2cos2θ2=1cosθ1+cosθ \tan^2 \dfrac{\theta}{2} = \dfrac{\sin^2 \dfrac{\theta}{2}}{\cos^2 \dfrac{\theta}{2}} = \dfrac{1 - \cos \theta}{1 + \cos \theta}

0<θ<π20 < \theta < \dfrac{\pi}{2} の場合,図形的に証明することもできます。

証明

pic

cosθ=CAB\cos \theta = \angle \mathrm{CAB} とする。

AD\mathrm{AD}CAB\angle \mathrm{CAB} を二等分するため, AB:AC=BD:DC \mathrm{AB} : \mathrm{AC} = \mathrm{BD} : \mathrm{DC} である。ゆえに BD=ABAB+ACBC=cosθ1+cosθBC \mathrm{BD} = \dfrac{\mathrm{AB}}{\mathrm{AB} + \mathrm{AC}} \mathrm{BC} = \dfrac{\cos \theta}{1+\cos \theta} \mathrm{BC}

よって tanθ2=BDAB=cosθ1+cosθBCAB=sinθ1+cosθ\begin{aligned} \tan \dfrac{\theta}{2} &= \dfrac{\mathrm{BD}}{\mathrm{AB}}\\ &= \dfrac{\cos \theta}{1+\cos \theta} \dfrac{\mathrm{BC}}{\mathrm{AB}}\\ &= \dfrac{\sin \theta}{1 + \cos \theta} \end{aligned} である。

辺々を2乗して tan2θ2=sin2θ(1+cosθ)2=1cos2θ(1+cosθ)2=1cosθ1+cosθ\begin{aligned} \tan^2 \dfrac{\theta}{2} &= \dfrac{\sin^2 \theta}{(1+\cos \theta)^2}\\ &= \dfrac{1-\cos^2 \theta}{(1+\cos \theta)^2}\\ &= \dfrac{1-\cos \theta}{1+\cos \theta} \end{aligned} を得る。

またこの方法によってタンジェントの半角の公式の別の形 tanθ2=sinθ1+cosθ \tan \dfrac{\theta}{2} = \dfrac{\sin \theta}{1 + \cos \theta} も得られました。

計算例

半角の公式を用いて三角比を計算してみましょう。

1515^{\circ} の三角比を計算しましょう。

sin15=1cos302=234=624cos15=1+cos302=2+34=6+24\begin{aligned} \sin 15^{\circ} &= \sqrt{\dfrac{1-\cos 30^{\circ}}{2}}\\ &= \sqrt{\dfrac{2-\sqrt{3}}{4}}\\ &= \dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}\\ \cos 15^{\circ} &= \sqrt{\dfrac{1+\cos 30^{\circ}}{2}}\\ &= \sqrt{\dfrac{2+\sqrt{3}}{4}}\\ &= \dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}\\ \end{aligned}2±3\sqrt{2 \pm \sqrt{3}} の計算については 二重根号の外し方・外せないものの判定 をご覧ください。

tan15=sin301+cos30=121+32=22+3=23\begin{aligned} \tan 15^{\circ} &= \dfrac{\sin 30^{\circ}}{1 + \cos 30^{\circ}}\\ &= \dfrac{\frac{1}{2}}{1+\frac{\sqrt{3}}{2}}\\ &= \dfrac{2}{2+\sqrt{3}}\\ &=2-\sqrt{3} \end{aligned}

半角の公式の簡単な覚え方はないのですが, cos\cos の二倍角の公式さえ覚えていれば導出できます。