Hlawka's Inequality とその証明
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任意の複素数 に対して, が成立する。
Hlawka’s Inequality(フラカの不等式)について紹介します。
Hlawka’s Identity
Hlawka’s Identity
Hlawka’s Inequality を証明する前に,関連する恒等式である Hlawka’s Identity(フラカの恒等式)を紹介します。
任意の複素数 に対して, が成立する。
実際,両辺をそれぞれ展開すると,一致することが簡単に確認できます。
また,Hlawka’s Identity で として整理すると, あるいは となり,中線定理(を複素数平面で表現したもの)と一致します。
Hlawka’s Inequality の証明
Hlawka’s Inequality の証明
両辺2乗して,三角不等式を使います。Hlawka’s Identity を知っていると見通しが良いです。
のときは不等式は成立する。そうでないとき,両辺は正なので2乗しても大小関係は変わらない。
左辺の2乗は,
である。一方で右辺の2乗は,
となる。Hlawka’s Identity より,それぞれの1行目が打ち消し合う。さらに, より,示したい不等式は,
となる。
これは,以下の3つの三角不等式を足し上げることで導かれる:
※ という式はたまに使うので覚えておくとよいでしょう。
集合の要素数についての等式との関係
集合の要素数についての等式との関係
三角不等式
と,集合の要素数についての公式から導かれる不等式:
はなんとなく似ています。
Hlawka’s Inequality:
と,集合の要素数についての公式から導かれる不等式:
はなんとなく似ています。
※「または」と「かつ」を交換した等式:
の方が,より Hlawka’s Identity に似ていると感じる方もいるでしょう。
(包除原理の2通りの証明の記事末参照)
Hlawka’s Inequality の一般化
Hlawka’s Inequality の一般化
内積空間 とその任意の元 に対して,
(ただし, は内積により誘導されるノルム)
参考文献:
[2]CONVEX FUNCTIONS AND THEIR APPLICATIONS P101
基本的には3変数で対称な不等式が好きですが,こういう違うタイプの不等式も楽しいです。