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対数正規分布の例と平均,分散

更新日時 2021/03/07

確率変数 YY が正規分布に従うとき,eYe^Y が従う分布を対数正規分布と言う。

前半は対数正規分布の応用例(ゆるい話),後半は対数正規分布の確率密度関数と平均,分散を計算します。

目次
  • 富の分布

  • 対数正規分布の確率密度関数

  • 対数正規分布の平均,分散

富の分布

各人が持っている資産の分布は対数正規分布っぽいと言われています。これを(少し強引ですが)説明してみます。

説明

対数正規分布のグラフ

人間は最初みんな資産を CC だけ持っている。人生のとあるイベント ii によって資産は eYie^{Y_i} 倍される。ただし YiY_i は確率変数である。

イベント 11 から nn まで起こった後の資産は CeY1+Y2++YnCe^{Y_1+Y_2+\cdots +Y_n} である。

YiY_i がどのような分布に従うかは分からないが(長い時間経過したとき資産が減る人も増える人も同じくらいいるだろうということで)Y1+Y2++YnY_1+Y_2+\cdots +Y_n の期待値は 00 と考える。

よって中心極限定理より,nn がそれなりに大きければ Y=Y1+Y2++YnY=Y_1+Y_2+\cdots +Y_n は正規分布に従うと考えられる。つまり,資産 CeYCe^Y は対数正規分布に従う。

なお,対数正規分布は裾が重い分布であり「お金持ちがけっこう多い」ことを表しています。

対数正規分布の確率密度関数

対数正規分布の確率密度関数は,f(x)=12πσxexp{(logxμ)22σ2}(x>0)f(x)=\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma x}\exp\left\{-\dfrac{(\log x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right\}\:\:(x> 0)

μ\muσ(>0)\sigma\:(>0) はパラメータです。 expx=ex\exp x=e^x です。導出は確率変数の変数変換のよい練習になります。

導出

平均 μ\mu ,分散 σ2\sigma^2 の正規分布の確率密度関数は,

g(y)=12πσexp{(yμ)22σ2}g(y)=\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\exp\left\{-\dfrac{(y-\mu)^2}{2\sigma^2}\right\}

→正規分布の基礎的な知識まとめ

よって,X=eYX=e^Y についての確率密度関数 f(x)f(x) は,

f(x)=g(y)dydx=g(logx)1x=12πσxexp{(logxμ)22σ2}f(x)=g(y)\dfrac{dy}{dx}\\ =g(\log x)\dfrac{1}{x}\\ =\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma x}\exp\left\{-\dfrac{(\log x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right\}

対数正規分布の平均,分散

対数正規分布の平均は,E[X]=exp(μ+σ22)E[X]=\exp \left(\mu+\dfrac{\sigma^2}{2}\right)

分散は,V[X]=(eσ21)e2μ+σ2V[X]=(e^{\sigma^2}-1)e^{2\mu+\sigma^2}

対数正規分布の期待値は,以下の2通りの方法で計算することができます。

方法1. 対数正規分布の期待値を定義から直接計算する

つまり,0xf(x)dx\displaystyle\int_0^{\infty} xf(x)dx

方法2. YY が正規分布に従うとき,eYe^Y の期待値を計算する

つまり,eyg(y)dy\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^yg(y)dy

(どちらも置換積分により同じ計算になりますが)ここでは方法2で計算してみます。

平均の導出

eyg(y)dy=12πσexp{(yμ)22σ2+y}dy\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^yg(y)dy\\ =\displaystyle\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\int_{-\infty}^{\infty}\exp \left\{-\dfrac{(y-\mu)^2}{2\sigma^2}+y\right\}dy

ここで,exp\exp の中身を平方完成すると,

y22σ2+(μσ2+1)yμ22σ2=12σ2(yμσ2)2+μ+σ22-\dfrac{y^2}{2\sigma^2}+\left(\dfrac{\mu}{\sigma^2}+1\right)y-\dfrac{\mu^2}{2\sigma^2}\\ =-\dfrac{1}{2\sigma^2}(y-\mu-\sigma^2)^2+\mu+\dfrac{\sigma^2}{2}

となるので,yμσ2=ty-\mu-\sigma^2=t と置換すると,

E[X]=exp(μ+σ22)12πσet22σ2dtE[X]=\exp \left(\mu+\dfrac{\sigma^2}{2}\right)\cdot\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-\frac{t^2}{2\sigma^2}}dt

定積分の値はガウス積分の公式より 2πσ\sqrt{2\pi}\sigma であるので,示したい式を得る。

分散の導出(概略)

期待値と分散に関する公式: V[X]=E[X2]E[X]2V[X]=E[X^2]-E[X]^2 より,E[X2]E[X^2] を計算すればよい。 E[X2]=E[e2Y]E[X^2]=E[e^{2Y}] であり,平均の導出と同じような方法で計算でできる。

「正規分布の対数」ではなく「対数を取ると正規分布」です,ご注意下さい。

Tag:いろいろな確率分布の平均,分散,特性関数などまとめ

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