最小二乗法の行列表現(一変数,多変数,多項式)
主張1:行列 と列ベクトル が与えられたときに を最小にする を求める問題は非常に重要である。
主張2: が正則のとき上記の問題の解は唯一つである:
この記事では,主張1(最小二乗法の行列による定式化)について解説します。主張2の証明には行列の公式がいくつか必要なのでいつか別記事で。→正規方程式の導出と計算例
用語,記号
用語,記号
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ベクトル に対して はベクトルの大きさ(成分の二乗和のルート)を表します。ノルムと呼ばれます。
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は正方行列とは限りません。応用上 が縦長行列の場合が多いです(後述の例参照)。
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は の転置行列です。→転置行列の意味・重要な7つの性質と証明
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は入力(説明変数)により定まる行列, は目的変数, はパラメータであり,それらを と書くことも多いです。つまり, を最小化する問題と書かれることもあります。
最小二乗法の行列による定式化
最小二乗法の行列による定式化
いろいろな問題が「 の最小化」という形で定式化できます! まずは一番簡単な単回帰,直線モデルの場合です。
データ を直線モデル で説明したい(求めたいのは と )。最小二乗法の考え方に基づき, を最小化したい。
これは,,,
とおくと の最小化問題として書ける。
多変数の場合
多変数の場合
説明変数の次元が増えても同様に定式化することができます。
データ を線形モデル で説明したい。最小二乗法の考え方に基づき, を最小化したい。
これは,,,
とおくと の最小化問題として書ける。
最小二乗法による多項式近似
最小二乗法による多項式近似
直線フィッティングの考え方を拡張した,最もデータを説明する 次多項式を求める問題も同じ形で定式化することができます。
データ を 次多項式モデル で説明したい。最小二乗法の考え方に基づき, を最小化したい。
これは,,,
とおくと の最小化問題として書ける。
なお,多項式の次数 はデータの数 に比べてはるかに小さく取ることが多いです。このとき は縦長行列になります。
主張2を使うことで上記の問題は全て解けることになります!
例3が好きです。
Tag:数学的モデリングまとめ(回帰分析)