累乗平均の不等式の具体例と証明
任意の非負の実数 たちと正の実数 に対して
とおくと は単調増加である。
は たちの「 乗平均」や「 ノルム」と呼ばれる重要な量です。
累乗平均の不等式の具体例
累乗平均の不等式の具体例
一般形だと分かりにくいのでまずは で様子を見てみます:
です。
- と の場合を考えると,
- と の場合を考えると,
次に,一般の に対して と の場合を考えると, 等号成立条件はいずれも「全ての たちが等しい」です。 と の場合の大小関係(二乗平均と相加平均の不等式)がよく用いられます。
以下では累乗平均の不等式を証明します。
累乗平均の不等式の証明(片方が1ノルム)
累乗平均の不等式の証明(片方が1ノルム)
目標は,任意の に対して を示すことです。とりあえず重要そうな の場合の証明を試みます。
イェンゼンの不等式(凸関数の不等式)に慣れていれば にイェンゼンの不等式を使いたくなるところです。
まず の場合を証明する。
とおくと,
のとき は下に凸なのでイェンゼンの不等式より
すなわち,
両辺の 乗根を取ると となる。
累乗平均の不等式の証明(一般の場合)
累乗平均の不等式の証明(一般の場合)
示したい不等式は,任意の非負の実数 たちと に対して,
でした。
ここで,うまく変数変換をすると小さい方を ノルムの形にできます。つまり,さきほどの形に帰着できます!
とおいて目標の不等式の両辺を 乗すると,示すべき不等式は以下のようになる。
この両辺は たちの ノルムと ノルムの形であり,さきほどの結果から なので確かに成立する。
※ に注意
それなりに使うそれなりに有名なそれなりに美しい不等式です。