ルジャンドル記号とオイラーの規準

n2≡a(modp)n^2\equiv a\pmod{p} となる整数 nn が存在するとき,aa を pp の平方剰余と言います。平方剰余の基礎は平方剰余と基本的な問題を参照して下さい。このページでは,平方剰余に関する発展的な話題を扱います。

ルジャンドル記号と具体例

aa が pp の平方剰余か否かを簡潔に表すためにルジャンドル記号 (ap)\left(\dfrac{a}{p}\right) というものが用いられます。

ルジャンドル記号

aa が pp の平方剰余であるとき,

(ap)=1\left(\dfrac{a}{p}\right)=1 と定義します。

また,aa が pp の平方剰余でないとき,

(ap)=−1\left(\dfrac{a}{p}\right)=-1 と定義します。

例

32≡2(mod7)3^2\equiv 2\pmod{7} より (27)=1\left(\dfrac{2}{7}\right)=1

33 で割って 22 余る平方数は存在しないので (23)=−1\left(\dfrac{2}{3}\right)= -1

数学的に新しいことは何もありませんが,ルジャンドル記号を導入することで様々な議論・定理を簡潔に表現できます。

オイラーの規準と具体例

平方剰余かどうかを判定するための定理の1つに,オイラーの規準と呼ばれるものがあります。

オイラーの規準

pp を奇素数,aa を pp と互いに素な 00 でない整数とするとき

(ap)≡ap−12(modp)\left(\dfrac{a}{p}\right)\equiv a^{\frac{p-1}{2}}\pmod{p}

例

(27)≡23≡1(mod7)\left(\dfrac{2}{7}\right)\equiv 2^3\equiv 1 \pmod{7} より 22 が 77 の平方剰余であることが分かる。

(23)≡21≡−1(mod3)\left(\dfrac{2}{3}\right)\equiv 2^1\equiv -1\pmod{3} より 22 は 33 の平方非剰余であることが分かる。

「pp が奇素数,aa と pp が互いに素」という制約はありますが,オイラーの規準を用いれば平方剰余かどうかを簡単な計算で判定できます。

数学オリンピックなどの整数問題では,整数に具体的な値を代入して実験するのが大事であり,その際にそれなりに大きい pp に対して平方剰余か素早く判定できると便利な場合があります。

オイラーの規準の証明

必要となる知識はフェルマーの小定理と原始根の存在定理です。

以下 mod p\mathrm{mod}\:p の表記を省略します。

証明

・ (ap)=1\left(\dfrac{a}{p}\right)=1 のとき

ルジャンドル記号の定義より,n2≡an^2\equiv a となる自然数 nn が存在する。

このとき,aa と pp は互いに素なので nn と pp も互いに素である。

よってフェルマーの小定理より ap−12≡np−1≡1a^{\frac{p-1}{2}}\equiv n^{p-1}\equiv 1

・逆に ap−12≡1a^{\frac{p-1}{2}}\equiv 1 のとき

pp に対する原始根を rr とおくと,a≡rka\equiv r^k となる自然数 kk が存在する。このとき rk2(p−1)≡1r^{\frac{k}{2}(p-1)}\equiv 1

k2(p−1)\dfrac{k}{2}(p-1) は p−1p-1 の倍数なので(→注)kk は偶数であり,a≡rk=(rk2)2a\equiv r^k=(r^\frac{k}{2})^{2}

となり aa が pp の平方剰余であることが分かる。

注:rr の位数が p−1p-1 であることが分かります,きちんと証明すると以下の通り:

mm を p−1p-1 で割った商を AA 余りを BB とおくと,

rm=rA(p−1)rB≡rBr^m=r^{A(p-1)}r^B\equiv r^B

より rm≡1r^m\equiv 1 なら rB≡1r^B\equiv 1 である。ここで 0<B≤p−20 <B \leq p-2 だと原始根の定義に矛盾するので B=0B=0 となり mm は p−1p-1 の倍数。

平方剰余の第一補充法則

特によく使うのがオイラーの規準で a=−1a=-1 とした場合です:

(−1p)=(−1)p−12\left(\dfrac{-1}{p}\right)=(-1)^{\frac{p-1}{2}}

これを平方剰余の第一補充法則と言います。

これより,奇素数 pp に対して,

pp が 44 で割って 11 余る素数 ⇔ −1-1 が pp の平方剰余

ということが分かります。

この定理のおもしろい応用例としてフェルマーの二平方和定理があります。

原始根はいろいろな定理の証明に使えるので,もっと有名になると嬉しいです。