対称式について覚えておくべき7つの公式

更新日時 2021/10/28

対称式とは,どの2つの変数を交換しても変わらない多項式のことです。

例えば,x2+y2x^2+y^2 という式で xxyy を交換すると y2+x2y^2+x^2 になります。x2+y2=y2+x2x^2+y^2=y^2+x^2 なので多項式として変わっていません。よって x2+y2x^2+y^2 は対称式です。

対称式に関する重要な7つの公式と例題を解説します。

目次
  • 2変数の対称式に関する基本公式と例題

  • n乗の和を基本対称式で表す

  • 引き算も対称式で表せる場合がある

  • 三変数の対称式を基本対称式で表す

  • 対称式の基本定理

2変数の対称式に関する基本公式と例題

公式1

x2+y2=(x+y)22xyx^2+y^2=(x+y)^2-2xy

例題1

x+y=5x+y=5xy=4xy=4 のとき,x2+y2x^2+y^2 の値を求めよ。

解答

公式1を使うと,

x2+y2=(x+y)22xy=522×4=17x^2+y^2\\ =(x+y)^2-2xy\\ =5^2-2\times 4\\ =17

補足:このように xxyy の対称式は x+yx+yxyxy の多項式で表せます! x+yx+yxyxy のことを基本対称式と言います。

公式2

x3+y3=(x+y)33xy(x+y)x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)

例題2

x+1x=4x+\dfrac{1}{x}=4 のとき,x3+1x3x^3+\dfrac{1}{x^3} の値を求めよ。

解答

y=1xy=\dfrac{1}{x} として公式2を使うと,

x3+1x3=(x+1x)33(x+1x)=433×4=52x^3+\dfrac{1}{x^3}\\ =\left(x+\dfrac{1}{x}\right)^3-3\left(x+\dfrac{1}{x}\right)\\ =4^3-3\times 4\\ =52

n乗の和を基本対称式で表す

公式3

xn+yn=(x+y)(xn1+yn1)xy(xn2+yn2)x^n+y^n=(x+y)(x^{n-1}+y^{n-1})-xy(x^{n-2}+y^{n-2})

例題3

x+y=5x+y=5xy=4xy=4 のとき x4+y4x^4+y^4 の値を求めよ。

解答

公式2を使ってもよいが,公式3を使って xn+ynx^n+y^n の値を,n=1n=1 から順々に求めていく。

  • x+y=5x+y=5
  • 例題1で求めたように,x2+y2=17x^2+y^2=17
  • 公式3より,
    x3+y3=(x+y)(x2+y2)xy(x+y)=5×174×5=65x^3+y^3\\ =(x+y)(x^2+y^2)-xy(x+y)\\ =5\times 17-4\times 5\\ =65
  • 公式3より,
    x4+y4=(x+y)(x3+y3)xy(x2+y2)=5×654×17=32568=257x^4+y^4\\ =(x+y)(x^3+y^3)-xy(x^2+y^2)\\ =5\times 65-4\times 17\\ =325-68\\ =257

補足:このように,n1,n2n-1, n-2 の場合が求まれば nn の場合の xn+ynx^n+y^n が求まります。

引き算も対称式で表せる場合がある

公式4

(xy)2=(x+y)24xy(x-y)^2=(x+y)^2-4xy

xyx-y は対称式ではありませんが,公式4を使ってx+yx+yxyxy の値から xyx-y の値を計算できます。頻出です。

上の4つの公式はすべて非常に重要です。

なお,2変数の対称式についてのさらに詳しい解説は →2変数の対称式と基本対称式の4つの性質

三変数の対称式を基本対称式で表す

定理

x,y,zx,y,z の対称式は x+y+zx+y+zxy+yz+zxxy+yz+zxxyzxyz の多項式で表せる。

三変数 x,y,zx,y,z に関しての基本対称式は S=x+y+z,T=xy+yz+zx,U=xyzS=x+y+z, T=xy+yz+zx, U=xyz33 つです。全ての対称式は S,T,US, T, U で表すことができるのです。

例えば,

  • 公式5:x2+y2+z2=S22Tx^2+y^2+z^2=S^2-2T
  • 公式6:x3+y3+z3=S33ST+3Ux^3+y^3+z^3=S^3-3ST+3U

のように,すべての対称式が S,T,US,T,U の多項式で表せます。公式5は (x+y+z)2(x+y+z)^2 の展開公式を移項するだけで簡単に導出できます。公式6は因数分解公式を用いれば簡単に導出できます!→因数分解公式(3つの立方和) 具体的には,
x3+y3+z33xyz=(x+y+z)(x2+y2+z2xyyzzx)x^3+y^3+z^3-3xyz\\ =(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)
の右辺第二項に公式5を用いて整理すると導出できます。

また,xn+yn+znx^n+y^n+z^n を基本対称式で表す際に使えるのが,

  • 公式7:Kn=SKn1TKn2+UKn3K_n=SK_{n-1}-TK_{n-2}+UK_{n-3}

です。ただし, xn+yn+zn=Knx^n+y^n+z^n=K_n とおきました。

公式7は公式3の三変数バージョンです。入試レベルではほとんど必要にならない公式なので面白いなあと思うくらいで軽く流しておいてください。数学オリンピックレベルだとたまに活躍します。

対称式の基本定理

この記事では,以下の2つの定理を紹介しました。

  • xxyy の対称式は x+yx+yxyxy の多項式で表せる。
  • x,y,zx,y,z の対称式は x+y+zx+y+zxy+yz+zxxy+yz+zxxyzxyz の多項式で表せる。

より一般的な定理として,全ての対称式は基本対称式で表せるというものがあります。これを対称式の基本定理と言います。詳しくは対称式の基本定理とその証明を参照してください。

対称なものはできるだけ対称なまま変形したいですね。