京大文系数学2026 第3問~フロベニウスの硬貨交換問題

京大文系数学2026 第3問

pp は 33 より大きい素数とする。

  1. 2p2p 以上の整数 NN は,00 以上の整数 mm と 00 以上の整数 nn を用いて N=3m+pk N = 3 m + pk と表すことができることを示せ。

  2. 00 以上の整数 mm と 00 以上の整数 nn を用いて N=3m+pk N = 3 m + pk と表すことができないような0以上の整数 Nの個数を求めよ。

この記事では京大文系数学2026 第3問およびその背景について解説します。

解答

(1)

NN が 33 の倍数なら考えることはありません。それ以外の場合,どうなっているのか調べてみましょう。

p=5p = 5 の場合,2p+12p+1 は 11=6+5=3⋅2+5⋅1 11 = 6+5 = 3 \cdot 2 + 5 \cdot 1 と表されますね。今回は (2p+1)−p(2p+1) - p が3の倍数になったことがポイントです。

N≡p (mod 3)N \equiv p \ (\mathrm{mod} \ 3) であれば N−p=3⋅(正の整数)N - p = 3 \cdot (\text{正の整数}) と表されるのでOKというワケです。

今,NN も pp も 33 の倍数ではないときを考えています。そのため,N≡p (mod 3)N \equiv p \ (\mathrm{mod} \ 3) ではない場合,代わりに N≡2p (mod 3)N \equiv 2p \ (\mathrm{mod} \ 3) になります。特に今回 N≧2pN \geqq 2p であるため N−2p>0N - 2p > 0 となり,確実に N−2p=3⋅(正の整数)N - 2p = 3 \cdot (\text{正の整数}) と表されます。

33 で割った余りは 00,11,22 という3択です。今回,余りが 00 の場合は自明であるため考える必要がなく,本質的に議論は2択に絞られ,シンプルな論証が可能になります。

(1)

以下,p≡1 (mod 3)p \equiv 1 \ (\mathrm{mod}\ 3) の場合を考える。このとき,ある正整数 qq が存在して p=3q+1p = 3q + 1 と表される。

  1. N≡0 (mod 3)N \equiv 0 \ (\mathrm{mod}\ 3) の場合
    ある正整数 mm があって N=3m+p⋅0N = 3m + p \cdot 0 と表されるため,この場合,命題は従う。

  2. N≡1 (mod 3)N \equiv 1 \ (\mathrm{mod}\ 3) の場合
    ある正整数 MM が存在して N=3M+1N = 3M + 1 と表される。このとき N−p=3(M−q)N - p = 3(M-q) である。今,N≧2pN \geqq 2p であるため,M−q>0M-q > 0 である。
    以上の議論より NN は N=3(M−q)+p⋅1 N = 3(M-q) + p \cdot 1 と表され,この場合,命題は従う。

  3. N≡2 (mod 3)N \equiv 2 \ (\mathrm{mod}\ 3) の場合
    ある正整数 MM が存在して N=3M+2N = 3M + 2 と表される。このとき N−2p=3(M−2q)N - 2p = 3(M-2q) である。今,N≧2pN \geqq 2p であるため,M−2q>0M-2q > 0 である。
    以上の議論より NN は N=3(M−2q)+p⋅2 N = 3(M-2q) + p \cdot 2 と表され,この場合,命題は従う。

p≡2 (mod 3)p \equiv 2 \ (\mathrm{mod}\ 3) の場合,2と3の議論をそれぞれ入れ替えることで,同様に示される。

もし 33 ではなく 55 の場合は,4通りのパターン分けが必要になっていました。

(2)

2p2p 未満の数のなかには,どれくらい「書けない」数が出てくるのでしょうか?

p=11p = 11 で考えてみると 1,2,4,5,7,8,10,13,16,19 1,2,4,5,7,8,10,13,16,19 の 1010 個となります。

p=13p = 13 で考えてみると 1,2,4,5,7,8,10,11,14,17,20,23 1,2,4,5,7,8,10,11,14,17,20,23 の 1212 個となります。

他にも実験してみると p−1p-1 個であることが予想されます。これをどのように論証するのが良いでしょうか?

見比べてみましょう。pp を越えるまでは同じように 1,2,4,5,⋯1,2,4,5, \cdots と続きます。他方,pp を越えると様子が変わってきますが,よく見るとどちらも 33 個おきに登場します。この観察から pp を区切りに場合分けしてみるのがよさそうです。

(2)

(1) より 2p−12p-1 以下の整数のみ考えればよい。

  • 1≦N≦p−11 \leqq N \leqq p -1 の場合
    33 の倍数ではない整数の個数を求めればよい。

    • p≡1 (mod 3)p \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ 3) の場合
      p−1≡0 (mod 3)p-1 \equiv 0 \ (\mathrm{mod} \ 3) であるため,33 の倍数ではない整数は p−13×2 \dfrac{p-1}{3} \times 2 個存在する。
    • p≡2 (mod 3)p \equiv 2 \ (\mathrm{mod} \ 3) の場合
      p−2≡0 (mod 3)p-2 \equiv 0 \ (\mathrm{mod} \ 3) であるため,33 の倍数ではない整数は p−23×2+1 \dfrac{p-2}{3} \times 2 + 1 個存在する。
  • p+1≦N≦2p−1p+1 \leqq N \leqq 2p-1 の場合

    • p≡1 (mod 3)p \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ 3) の場合
      NN が 33 の倍数である場合は 3m3m,N≡1 (mod 3)N \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ 3) の場合は 3m+p⋅13m + p \cdot 1 と表される。よって N≡2 (mod 3)N \equiv 2 \ (\mathrm{mod} \ 3) となる NN の個数を数えればよい。
      p+1≡2 (mod 3)p+1 \equiv 2 \ (\mathrm{mod} \ 3),2p−1≡1 (mod 3)2p-1 \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ 3) であるため,N≡2 (mod 3)N \equiv 2 \ (\mathrm{mod} \ 3) となる NN は 2p−(p+1)3=p−13 \dfrac{2p- (p+1)}{3} = \dfrac{p-1}{3} 個存在する。
    • p+1≦N≦2p−1p+1 \leqq N \leqq 2p-1 の場合
      NN が 33 の倍数である場合は 3m3m,N≡2 (mod 3)N \equiv 2 \ (\mathrm{mod} \ 3) の場合は 3m+p⋅13m + p \cdot 1 と表される。よって N≡1 (mod 3)N \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ 3) となる NN の個数を数えればよい。
      p+1≡0 (mod 3)p+1 \equiv 0 \ (\mathrm{mod} \ 3),2p−1≡0 (mod 3)2p-1 \equiv 0 \ (\mathrm{mod} \ 3) であるため,N≡2 (mod 3)N \equiv 2 \ (\mathrm{mod} \ 3) となる NN は 2p−1−(p+1)3=p−23 \dfrac{2p-1 - (p+1)}{3} = \dfrac{p-2}{3} 個存在する。
  • p≡1 (mod 3)p \equiv 1 \ (\mathrm{mod} \ 3) の場合,求める個数は p−13×2+p−13=p−1 \dfrac{p-1}{3} \times 2 + \dfrac{p-1}{3} = p-1

  • p≡2 (mod 3)p \equiv 2 \ (\mathrm{mod} \ 3) の場合,求める個数は p−23×2+1+p−23=p−1 \dfrac{p-2}{3} \times 2 + 1 + \dfrac{p-2}{3} = p-1

以上より p−1p-1 個である。

背景:フロベニウスの硬貨交換問題

一般に次の事実が知られています。

正の整数 AA と BB は互いに素であるとする。

0以上の整数 m, nm,\ n を用いて Am+Bn Am + Bn と表すことができない最大の整数は AB−A−BAB- A -B であり,表すことができない正の整数の個数は (A−1)(B−1)2\dfrac{(A-1)(B-1)}{2} 個である。

このように2整数 A, BA,\ B により Am+BnAm+Bn と表される数を調べる問題のことをフロベニウスの硬貨交換問題(シルベスターの切手問題)といいます。また,最後の定理(表すことができない正の整数の個数を与える公式)をシルベスターの定理ということがあります。

詳しくは フロベニウスの硬貨交換問題 を読んでみてください。

知る人ぞ知る有名問題です。今回は 33 を固定していることで,受験問題としても見通しのよい良問になっていると思いました。