ベータ関数の基本的な性質~ガンマ関数との関係・広義積分の収束

定理

ベータ関数とは,p,q>0p,q > 0 に対して B(p,q)=01xp1(1x)q1dx B(p,q) = \int_0^1 x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx と定義される(広義)積分である。

この記事ではベータ関数の基本的な性質とその証明をまとめています。

重要な性質

整数値

p,qp,q が整数の場合は具体的に計算できます。

定理

m,nm,n は非負整数とする。このとき B(m+1,n+1)=m!n!(m+n+1)! B(m+1,n+1) = \dfrac{m!n!}{(m+n+1)!} となる。

証明

B(m+1,n+1)=01xm(1x)ndx B(m+1,n+1) = \int_0^1 x^m(1-x)^ndx とおく。

部分積分により,

01xm(1x)ndx=[xm+1m+1(1x)n]01+01xm+1m+1n(1x)n1dx=nm+1I(m+1,n1)=nm+1n1m+2I(m+2,n2)==m!n!(m+n)!I(m+n,0)=m!n!(m+n)!01xm+ndx=m!n!(m+n+1)!\begin{aligned} &\int_0^1 x^m(1-x)^ndx\\ &=\left[\dfrac{x^{m+1}}{m+1} (1-x)^n\right]^1_0 + \int_{0}^{1}\dfrac{x^{m+1}}{m+1}n(1-x)^{n-1}dx\\ &=\dfrac{n}{m+1}I(m+1, n-1)\\ &=\dfrac{n}{m+1}\dfrac{n-1}{m+2}I(m+2, n-2)\\ &=\cdots \\ &=\dfrac{m!n!}{(m+n)!}I(m+n, 0)\\ &=\dfrac{m!n!}{(m+n)!}\displaystyle\int_{0}^{1}x^{m+n}dx\\ &=\dfrac{m!n!}{(m+n+1)!} \end{aligned}

ガンマ関数との関係

ガンマ関数とは Γ(p)=0xp1exdx \Gamma (p) = \int_0^{\infty} x^{p-1}e^{-x}dx と定義される関数でした。

整数 nn に対して Γ(n)=(n1)! \Gamma (n) = (n-1)! が成立します。

前に述べたベータ関数の整数値と比べると,次の性質が成り立ちそうです。

ベータ関数とガンマ関数の関係

B(p,q)=Γ(p)Γ(q)Γ(p+q) \mathrm{B} (p,q)=\dfrac{\Gamma(p)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}

実際に証明しましょう。証明には重積分の変数変換の知識が必要です。

証明

Γ(p)Γ(q)=0xp1exdx0yq1eydy=00xp1yq1exydxdy\begin{aligned} &\Gamma (p) \Gamma (q)\\ &= \int_0^{\infty} x^{p-1}e^{-x}dx \int_0^{\infty} y^{q-1}e^{-y}dy\\ &= \int_0^{\infty} \int_0^{\infty} x^{p-1}y^{q-1}e^{-x-y}dxdy \end{aligned}

ここで x=uvx = uvy=u(1v)y = u(1-v) と置換する。

ヤコビアンは detJ=(vu1vu)=u |\det J| = \left|\begin{pmatrix} v & u\\ 1-v & -u \end{pmatrix}\right| = u となる。

積分区間を求める。

x+y=ux+y = u より 0u<0 \leqq u < \infty である。

また,v=xx+yv = \dfrac{x}{x+y} となる。x,yx,y は非負であるため 0v10 \leqq v \leqq 1 である。

※ 実際,00 から 11 の間の値を連続的に取ることも証明できる。

こうして Γ(p)Γ(q)=00up+q2vp1(1v)q1eu×ududv=0up+q1eudu01vp1(1v)q1dv=Γ(p+q)B(p,q)\begin{aligned} &\Gamma (p) \Gamma (q)\\ &= \int_0^{\infty} \int_0^{\infty} u^{p+q-2} v^{p-1} (1-v)^{q-1} e^{-u} \times ududv\\ &= \int_0^{\infty} u^{p+q-1} e^{-u} du \int_0^{1} v^{p-1} (1-v)^{q-1} dv\\ &= \Gamma (p+q) \mathrm{B} (p,q) \end{aligned} と計算される。

オイラー積分

ベータ関数は第一種オイラー積分,ガンマ関数は第二種オイラー積分と呼ばれることもあります。

他の公式

ベータ関数の公式
  1. B(p,q)=B(q,p)\mathrm{B} (p,q) = \mathrm{B} (q,p)
  2. pB(p,q+1)=qB(p+1,q)p \mathrm{B} (p,q+1) = q \mathrm{B} (p+1,q)
  3. B(p,q)=B(p+1,q)+B(p,q+1)\mathrm{B} (p,q) = \mathrm{B} (p+1,q) + \mathrm{B} (p,q+1)
証明
  1. 定義式の積分について t=1st = 1-s と置換すると計算できる。

  2. 部分積分を用いる。 pB(p,q+1)=01pxp1(1x)qdx=[xp(1x)q]01+01qxp(1x)q1dx=qB(p+1,q)\begin{aligned} &p \mathrm{B} (p,q+1)\\ &= \int_0^1 px^{p-1} (1-x)^{q}dx\\ &= \Big[ x^p (1-x)^{q} \Big]_0^1 + \int_0^1 qx^p (1-x)^{q-1} dx \\ &= q\mathrm{B} (p+1,q) \end{aligned}

B(p+1,q)+B(p,q+1)=01{xp(1x)q1+xp1(1x)q}dx=01{x+(1x)}xp1(1x)q1dx=01xp1(1x)q1dx=B(p,q)\begin{aligned} &\mathrm{B} (p+1,q) + \mathrm{B} (p,q+1)\\ &= \int_0^1 \{ x^p (1-x)^{q-1} + x^{p-1} (1-x)^q \} dx\\ &= \int_0^1 \{ x + (1-x) \} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\\ &= \int_0^1 x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\\ &= \mathrm{B} (p,q) \end{aligned}

三角関数での表示

t=sin2θt = \sin^2 \theta とすると 1t=cos2θ1-t = \cos^2 \thetadt=2sinθcosθdt = 2 \sin \theta \cos \theta となるため B(p,q)=20π2sin2p1θcos2q1θdθ \mathrm{B} (p,q) = 2\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sin^{2p-1} \theta \cos^{2q-1} \theta d\theta と変形できます。

積分の収束について

p,q>1p,q > 1 の場合,xp1(1x)q1x^{p-1} (1-x)^{q-1}0x10 \le x \le 1 で有界であるため,積分の値が求まります。

一方,0<p<10 < p < 1 では x=0x = 0 で発散,0<q<10 < q < 1 では x=1x = 1 で発散します。このとき,ベータ関数が広義積分になります。

それではこの広義積分が収束することを確認しましょう。

証明

01xp1(1x)q1dx=012xp1(1x)q1dx+121xp1(1x)q1dx\begin{aligned} &\int_0^1 x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\\ &= \int_0^{\frac{1}{2}} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\\ &\quad +\int_{\frac{1}{2}}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\\ \end{aligned}

  • 1項目

0x120 \le x \le \frac{1}{2} において 0<1x10 < 1-x \le 1 であるため, 012xp1(1x)q1dx=limδ0δ12xp1(1x)q1dxlimδ0δ12xp1dx=limδ0[1pxp]δ12=limδ02pδpp\begin{aligned} &\int_0^{\frac{1}{2}} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\\ &= \lim_{\delta \to 0} \int_{\delta}^{\frac{1}{2}} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\\ & \le \lim_{\delta \to 0} \int_{\delta}^{\frac{1}{2}} x^{p-1} dx\\ &= \lim_{\delta \to 0} \Big[ \dfrac{1}{p} x^p \Big]_{\delta}^{\frac{1}{2}} \\ &= \lim_{\delta \to 0} \dfrac{2^{-p} - \delta^p}{p} \end{aligned} となる。p>1p > 1 より,limδ0δp=0\displaystyle \lim_{\delta \to 0} \delta^p = 0 であるため, limδ02pδpp=1p2p \lim_{\delta \to 0} \dfrac{2^{-p} - \delta^p}{p} = \dfrac{1}{p2^p}

広義積分可能である。

  • 2項目

x=1yx = 1-y と置換すると1項目と同様に計算できる。

応用

ベータ関数を用いることで 1/61/6 公式といった積分公式が簡単に求められます。

定理

αβ(xα)(βx)dx=16(βα)3αβ(xα)(βx)2dx=112(βα)4 \int_{\alpha}^{\beta} (x- \alpha)(\beta-x) dx = \dfrac{1}{6} (\beta - \alpha)^3\\ \int_{\alpha}^{\beta} (x- \alpha)(\beta-x)^2 dx = \dfrac{1}{12} (\beta - \alpha)^4\\

証明

適切に変数変換するとベータ関数に帰着される。

ベータ関数とガンマ関数はありますが,アルファ関数はありません。