微分を用いて証明します。うまいこと新たな F を作り,その F の評価を通して元の不等式を示します。
(1)
証明
x を固定する。
F(y)=x(xk−yk)−(xn−yn)
とおく。
F′(y)=nyn−1−kxyk−1
k<n より k≦n−1 である。また,x<y より
nyn−1>ny×yn−2>kxyk−1
であるため F′(y)>0 である。
よって F(y) は y>x で単調増加である。
ゆえに y>x で F(y)>F(x)=0 である。つまり
x(xk−yk)−(xn−yn)>0
である。これを整理することで
xn−ynxk−yk<x1
である。(x<y より xn−yn<0 であることに注意)
左辺は正であるため
∣∣xn−ynxk−yk∣∣<x1
が従う。
(2)
証明のステップ
- 十分大きい x について f(x)≒(定数) xn であるため,(1) と同じような不等式があるはずである。とくに条件を強く取りなおして
∣∣f(x)−f(y)g(x)−g(y)∣∣<1
という不等式を証明する。
- f(x)=N,f(y)=N+1 とすれば ∣g(x)−g(y)∣<1 という不等式になる。仮定より g(x),g(y) は整数値になるため,g(x)=g(y) が得られる。これを元に背理法を用いて証明をする。
ステップ1
多項式関数の極の数はその次数より小さい。ゆえに x を十分大きくとると f(x),g(x) は単調増加もしくは単調減少する。
f を −f に取り換えた場合,
∣∣−f(x)−{−f(y)}g(x)−g(y)∣∣=∣∣−{f(x)−f(y)}g(x)−g(y)∣∣=∣∣f(x)−f(y)g(x)−g(y)∣∣
であるため,f(x),g(x) は十分大きな x で単調増加するとしてよい。このことは f(x),g(x) の最高次係数が正であることと同値である。
G(y)={g(x)−g(y)}−{f(x)−f(y)}
とおく。
G′(y)=g′(y)−f′(y)
である。さて k<n より G′(y) の最高次は n−1 次でその係数は −na(f(x) の最高次係数を a とおいた)である。
前述した通り,a>0 であるため −na<0 である。よって G′(y) は十分大きい y について負である。
x を十分大きく取りなおすことで y>x で G′(y)<0 とできる。
よって y>x で G(y)>G(x)=0 である。
こうして
{g(x)−g(y)}−{f(x)−f(y)}>0
である。
f,g は
f(x)−f(y),g(x)−g(y)<0
であるため
0≦f(x)−f(y)g(x)−g(y)<1
は従う。
ステップ2
以下 g(x) が k 次の多項式関数(k>0)ではないと仮定して矛盾を導く。
N を十分大きい整数とする。
前の設定から f(x) は十分大きい x で単調に増加する。また多項式関数であるため,x→∞limf(x)=∞ である。よって
f(x)=N を満たす実数 xN が存在する。
同様に f(xN+1)=N+1,f(xN+2)=N+2,⋯ となるように xN+1<xN+2<⋯ を定める。
仮定より g(xN),g(xN+1),⋯ は整数になる。
不等式の左辺に x=xN,y=xN+1 を代入すると
f(xN)−f(xN+1)g(xN)−g(xN+1)=N+1−Ng(xN)−g(xN+1)=g(xN)−g(xN+1)
となる。
よって,
0≦∣g(xN)−g(xN+1)∣<1
を得る。 さて,g(xN),g(xN+1) は整数であるため g(xN)−g(xN+1)=0 である。
こうして
g(xN)=g(xN+1)=⋯
となる。
よって,g(xN)=c とおくと,g(x)=c の解が無限にあることとなる。
今 g(x)=c は k 次方程式であるため解は高々 k 個であるため矛盾する。
よって g(x) は定数関数である。