ユークリッドの互除法と約数の考察~京大理系後期1989
2つの奇数 に対して,, とおく。次の1,2を証明せよ。
- と の最大公約数は, と の最大公約数を として,,, のいずれかである。
- , がともに平方数であることはない。
この記事ではユークリッドの互除法を用いた入試問題を解説します。
解答
解答
1番
, とおく。( は互いに素な奇数の整数)
より は を公約数に持つ。
と の最大公約数を求める。
より である。よって と の最大公約数は の約数である。特に は互いに素であるため, の約数である。
よって, の最大公約数は の約数である。
さて, は奇数であるため は偶数である。よって の最大公約数は偶数である。ここで は奇数であるため, の最大公約数として は不適である。。
以上より,最大公約数の候補は である。
ユークリッドの互除法の類型 を用いています。
偶奇に注目して を除外することもポイントです。
2番
がどちらも平方数であると仮定する。
このとき の最大公約数もまた平方数となる。
1番より最大公約数は ( は奇数)のいずれかであった。このうち は で奇数回しか割ることができないため,平方数にならない。よって の最大公約数は である。
こうして は で割り切れる平方数となるため,,( は整数)とおくことができる。
に代入すると 辺々を で割ることで を得る。
今, の偶奇が異なるとすると は奇数である。一方右辺の は偶数であるため矛盾する。ゆえに の偶奇は一致するとしてよい。
-
がどちらも偶数の場合
このとき, の最大公約数は で割り切れることになる。これは1の結果と矛盾する。 -
がどちらも奇数の場合
を で割った余りはどちらも になる。ゆえに左辺の は の倍数である。
一方, は奇数であることから,右辺の は で割り切ることができず矛盾する。
こうして の偶奇がどちらの場合も矛盾が生じるため,最初の過程は誤りである。
こうして が両方平方数になることはない。
2つの平方数の最大公約数が平方数になることに気付けると良いですね。これは素因数の指数を調べることで証明できます。
また での議論によって矛盾を導くテクニックにも注目です。
整数問題で登場するテクニックがたくさん出てくるおもしろい問題でした。