射影空間のハウスドルフ性・コンパクト性~商位相空間
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に次のように同値関係 を定める。
に対して
この同値関係による商 を射影空間 と定義する。
この記事では射影空間の位相空間的性質を調べていきます。
ここでの議論は多様体の議論でも関連してきます。
射影空間の位相構造
射影空間の位相構造
射影空間はコンパクトかつハウスドルフな位相空間である。
商写像と商位相
商写像と商位相
位相空間 と 上の同値関係 があるとする。
商集合 への自然な写像 を とする。これを商写像という。
ここで と定義すると, は を開集合系とする位相空間になる。これを商位相空間という。
また,このとき は連続写像になる。
射影空間の場合
射影空間は上記の方法によって商位相空間になる。
例として の開集合の例を見てましょう。
と定義すると, となり の開集合である。
よって は開集合になる。
との関係
との関係
は を に取り換えて定義しても良い。
商位相空間の普遍性
上の原理の証明には,商位相空間に関する次の定理が必要になります。
を自然な商写像とする。 を位相空間として,写像 を取る。
このとき, は連続 は連続 である。
使いやすい系
上の定理を使うことで,商位相空間から連続関数を簡単に作ることができます。
を自然な商写像とする。
を位相空間として,連続関数 が存在するとき, から連続関数 が得られる。
原理の証明
を 次元球面 とする。
※
に対して と同値関係を定義し,商空間 を定義する。
と は同相である。つまり,射影空間を考える際は,球面上で考えてもよい。
自然な写像を とおく。
-
から への写像
包含写像 を考えると,定理により が得られる。
ここに を合成することで が得られる。 -
から への写像
を と定義するとこれは連続関数である。
1 と同様にして を得る。
1,2 で得られた写像は互いに逆写像であるため,同相が得られた。
を用いた の性質の証明
を用いた の性質の証明
以下,商 を で書くことにします。
コンパクト性
射影空間はコンパクトである。
と被覆を取る。
ここで とおく。これは被覆 を与える。
ここで はコンパクトであったため,有限個の が得られて となる。
こうして を得る。
一般に位相空間 がコンパクトであれば,商位相空間 もコンパクトであることを示すことができます。
ハウスドルフ性
射影空間はハウスドルフである。
→ ハウスドルフ空間
を となるように取る。
となるもので が存在し, を満たす。
はハウスドルフであるため, の開近傍 があって, となる。(複号は任意)
ここで , とおくと, である。
とすると, は の開近傍であって, となる。
こうしてハウスドルフ性が示された。
一般論
商位相空間がハウスドルフになる分かりやすい条件があります。
位相空間 について, は開写像であるとする。(開集合 に対して は開)
このとき,次は同値である。
- が の閉集合である。
- はハウスドルフ空間である。
2点 を取る。 とする。このとき であるため,( は補集合)となる。
は開集合になるため,ある開集合 であって というものが存在する。このとき ( は の開集合) と表される。
は の開近傍であり, となる。こうして はハウスドルフであることがわかる。
逆にたどればよい。
商位相はいろいろ条件を追加しなければ大変です。ハウスドルフ性がいい例です。