第4問
k k k を正の定数,f ( x ) = x 3 − k x f(x)=x^3-kx f ( x ) = x 3 − k x とする。いま,曲線 y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) 上に点 A ( a , f ( a ) ) A(a,f(a)) A ( a , f ( a )) ( a > 0 ) (a>0) ( a > 0 ) をとり,点 A A A における y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) の接線 l l l をひいたところ,l l l は y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) の法線になった。
以下の問いに答えよ。
(1) y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) と l l l の共有点のうち,点 A A A でない点を点 B B B とする。点 B B B の x x x 座標を a a a を用いて表せ。
(2) 条件を満たす点 A A A の取り方が存在するような k k k の条件を求めよ。
(3) a a a を k k k を用いて表せ。
(4) k k k が (2) の条件を満たしながら動くとき,y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) と l l l で囲まれた部分の面積の最小値を求めよ。
第4問は微積分の問題です。問題設定の状況把握や条件の処理,また計算の処理能力を問う問題です。
(1)は直交する2直線の傾きの積が − 1 -1 − 1 になることを利用します。
第4問(1)
f ′ ( x ) = 3 x 2 − k f'(x)=3x^2-k f ′ ( x ) = 3 x 2 − k であるため,点 A ( a , f ( a ) ) A(a,f(a)) A ( a , f ( a )) における y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) の接線 l l l の方程式は,
l : y = ( 3 a 2 − k ) ( x − a ) + ( a 3 − k a ) = ( 3 a 2 − k ) x − 2 a 3
l: y=(3a^2-k)(x-a)+(a^3-ka)=(3a^2-k)x-2a^3
l : y = ( 3 a 2 − k ) ( x − a ) + ( a 3 − ka ) = ( 3 a 2 − k ) x − 2 a 3
となる。
y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) と l l l の共有点は
x 3 − k x = ( 3 a 2 − k ) x − 2 a 3
x^3-kx=(3a^2-k)x-2a^3
x 3 − k x = ( 3 a 2 − k ) x − 2 a 3
により求められる。これを整理すると,
x 3 − 3 a 2 x + 2 a 3 = 0 ( x − a ) 2 ( x + 2 a ) = 0
x^3 - 3a^2 x +2a^3 = 0\\
(x-a)^2(x+2a)=0
x 3 − 3 a 2 x + 2 a 3 = 0 ( x − a ) 2 ( x + 2 a ) = 0
であるので,点 B B B の x x x 座標は − 2 a -2a − 2 a となる。
次の問題は本来四次方程式であるものを二次方程式として考える問題です。与えられている a a a や k k k が正であることに注意しましょう。
第4問(2)
点 B B B における接線の傾きは f ′ ( − 2 a ) = 12 a 2 − k f'(-2a)=12a^2-k f ′ ( − 2 a ) = 12 a 2 − k であり,これと接線 l l l が直交するためには,a a a が
( 12 a 2 − k ) ( 3 a 2 − k ) = − 1
(12a^2-k)(3a^2-k)=-1
( 12 a 2 − k ) ( 3 a 2 − k ) = − 1
すなわち,
36 a 4 − 15 k a 2 + k 2 + 1 = 0
36a^4-15ka^2+k^2+1=0
36 a 4 − 15 k a 2 + k 2 + 1 = 0
を満たす必要がある。a > 0 a>0 a > 0 であるため,上の方程式が正の実数解を持つ k k k を求めればよい。
X = a 2 X=a^2 X = a 2 とおく。X X X に関する方程式 36 X 2 − 15 k X + k 2 + 1 = 0 36X^2-15kX+k^2+1=0 36 X 2 − 15 k X + k 2 + 1 = 0 が正の実数解を持つための条件を考える。
36 X 2 − 15 k X + k 2 + 1 = 36 ( X − 5 24 k ) 2 − 9 16 k 2 + 1
36X^2 - 15kX +k^2+1 = 36\left(X-\dfrac{5}{24} k \right)^2 - \dfrac{9}{16} k^2 +1
36 X 2 − 15 k X + k 2 + 1 = 36 ( X − 24 5 k ) 2 − 16 9 k 2 + 1
である。k k k は正の定数であるため,X > 0 X>0 X > 0 における 36 X 2 − 15 k X + k 2 + 1 36X^2 - 15kX +k^2+1 36 X 2 − 15 k X + k 2 + 1 の最小値は X = 5 24 k X=\dfrac{5}{24} k X = 24 5 k のときで,− 9 16 k 2 + 1 - \dfrac{9}{16} k^2 +1 − 16 9 k 2 + 1 である。これが 0 0 0 以下になればよい。したがって
k ≧ 4 3 k \geqq \dfrac{4}{3} k ≧ 3 4
が求める k k k の範囲となる。
次の問題は単純に計算をするだけです。
第4問(3)
(2)で得られた方程式を a a a について解けばよい。
a 2 = 5 k ± 9 k 2 − 16 24
a^2=\dfrac{5k\pm \sqrt{9k^2-16}}{24}
a 2 = 24 5 k ± 9 k 2 − 16
より
a = 5 k ± 9 k 2 − 16 2 6 a=\dfrac{\sqrt{5k\pm \sqrt{9k^2-16}}}{2\sqrt{6}} a = 2 6 5 k ± 9 k 2 − 16
を得る。
最後の問題は最小値の計算になります。
まずは囲まれた面積を計算しましょう。やはり a a a を用いるのがよさそうです。囲まれた面積といえば,
放物線と直線で囲まれた面積を高速で求める1/6公式
を思い出す人もいるとおもいます。1/6公式は二次関数にまつわる面積でしたが,今回は三次関数です。そのため事情が少々変わります。実際に計算を見てみましょう。
∫ α β ( x − α ) ( x − β ) 2 d x = ∫ α β { ( x − β ) + ( β − α ) } ( x − β ) 2 d x = ∫ α β { ( x − β ) 3 + ( β − α ) ( x − β ) 2 } d x = [ 1 4 ( x − β ) 4 + 1 3 ( β − α ) ( x − β ) 3 ] α β = 1 3 ( β − α ) 4 − 1 4 ( β − α ) 4 = 1 12 ( β − α ) 4 \begin{aligned}
&\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha) (x-\beta)^2 \;dx\\
&= \int_{\alpha}^{\beta} \{(x-\beta)+(\beta - \alpha) \} (x-\beta)^2 \;dx\\
&= \int_{\alpha}^{\beta} \{ (x-\beta)^3 + (\beta -\alpha) (x-\beta)^2 \} \; dx\\
&= \left[ \dfrac{1}{4} (x-\beta)^4 +\dfrac{1}{3} (\beta - \alpha)(x-\beta)^3 \right]_{\alpha}^{\beta}\\
&= \dfrac{1}{3} (\beta - \alpha)^4 - \dfrac{1}{4} (\beta - \alpha)^4\\
&= \dfrac{1}{12} (\beta- \alpha)^4
\end{aligned} ∫ α β ( x − α ) ( x − β ) 2 d x = ∫ α β {( x − β ) + ( β − α )} ( x − β ) 2 d x = ∫ α β {( x − β ) 3 + ( β − α ) ( x − β ) 2 } d x = [ 4 1 ( x − β ) 4 + 3 1 ( β − α ) ( x − β ) 3 ] α β = 3 1 ( β − α ) 4 − 4 1 ( β − α ) 4 = 12 1 ( β − α ) 4
と計算できます。
実はこのような公式は一般化されます。詳しくは ベータ関数の積分公式 を読んでみてください。
積分を計算して面積を求めた後は,これまでの小問で求めた結果を活用することで,a a a の値の考察をすればよいことが分かります。
第4問(4)
y = f ( x ) y=f(x) y = f ( x ) と l l l で囲まれた部分の面積を S S S とおくと
S = ∫ − 2 a a ( x + 2 a ) ( x − a ) 2 d x = ( a − ( − 2 a ) ) 4 12 = 27 a 4 4 \begin{aligned}
S&=\int_{-2a}^{a} (x+2a)(x-a)^2 dx \\
&=\dfrac{(a-(-2a))^4}{12} \\
&=\dfrac{27a^4}{4}
\end{aligned} S = ∫ − 2 a a ( x + 2 a ) ( x − a ) 2 d x = 12 ( a − ( − 2 a ) ) 4 = 4 27 a 4
となる。
よって k ≧ 4 3 k\geqq\dfrac{4}{3} k ≧ 3 4 における a 2 a^2 a 2 の最小値を考えればよい。
(3)より a 2 = 5 k − 9 k 2 − 16 24 a^2=\dfrac{5k-\sqrt{9k^2-16}}{24} a 2 = 24 5 k − 9 k 2 − 16 の場合を考えればよい。g ( k ) = 5 k − 9 k 2 − 16 g(k)=5k-\sqrt{9k^2-16} g ( k ) = 5 k − 9 k 2 − 16 とおく。 k ≧ 4 3 k\geqq \dfrac{4}{3} k ≧ 3 4 における g ( k ) g(k) g ( k ) の最小値を求めればよい。
g ′ ( k ) = 5 − 9 k 9 k 2 − 16
g'(k) = 5 - \dfrac{9k}{\sqrt{9k^2-16}}
g ′ ( k ) = 5 − 9 k 2 − 16 9 k
である。
g ′ ( k ) = 0 5 = 9 k 9 k 2 − 16 25 ( 9 k 2 − 16 ) = 81 k 2 16 ⋅ 9 k 2 − 25 ⋅ 16 = 0 k 2 = ( 5 3 ) 2 \begin{aligned}
&g'(k)=0\\
&5 = \dfrac{9k}{\sqrt{9k^2-16}}\\
&25 (9k^2-16)= 81k^2\\
&16\cdot 9k^2 -25\cdot 16=0\\
&k^2 = \left( \dfrac{5}{3} \right)^2
\end{aligned} g ′ ( k ) = 0 5 = 9 k 2 − 16 9 k 25 ( 9 k 2 − 16 ) = 81 k 2 16 ⋅ 9 k 2 − 25 ⋅ 16 = 0 k 2 = ( 3 5 ) 2
より g ′ ( k ) = 0 g'(k)=0 g ′ ( k ) = 0 の根は k = 5 3 k=\dfrac{5}{3} k = 3 5 である。増減表は
k 4 3 ⋯ 5 3 ⋯ g ′ ( k ) − 0 + g ( k ) ↘ m i n ↗
\begin{array}{c|cccc}
k & \dfrac{4}{3} & \cdots & \dfrac{5}{3} & \cdots\\
\hline
g'(k) && - & 0 & + \\
\hline
g(k) && \searrow& \mathrm{min} &\nearrow
\end{array}
k g ′ ( k ) g ( k ) 3 4 ⋯ − ↘ 3 5 0 min ⋯ + ↗
となる。
よって,g ( k ) g(k) g ( k ) はk = 5 3 k = \dfrac{5}{3} k = 3 5 で最小値 16 3 \dfrac{16}{3} 3 16 を取ることが分かる。
以上により,求める S S S の最小値は
27 4 ( 1 24 ⋅ 16 3 ) 2 = \dfrac{27}{4}\left(\dfrac{1}{24}\cdot\dfrac{16}{3}\right)^2= 4 27 ( 24 1 ⋅ 3 16 ) 2 =
1 3 \dfrac{1}{3} 3 1
である。
根号を含む関数の微分は計算ミスが起こりやすいポイントなので注意をしましょう。また導関数の符号を間違えると増減が変わってしまいます。丁寧にチェックをしましょう。