ミケルの定理とミケル円

ミケルの定理

ミケルの定理

3点 ABCABC と直線 BCBC 上の点 DDCACA 上の点 EEABAB 上の点 FF がある。この6点は全て異なるとする。

このとき,三つの円 Γ(AEF)\Gamma(AEF)Γ(BDF)\Gamma(BDF)Γ(CDE)\Gamma(CDE) は一点で交わる。

ただし,Γ(AEF)\Gamma(AEF) で三角形 AEFAEF の外接円を表すことにします。

ミケルの定理の証明

きちんと証明するのは場合分けがめんどうなので,Γ(BDF)\Gamma(BDF)Γ(CDE)\Gamma(CDE) の交点 PP が三角形 ABCABC の内部にある場合についてのみ証明します。

証明

BDPFBDPF は同一円周上にあるので,DPF=180B\angle DPF=180^{\circ}-\angle B

CDPECDPE は同一円周上にあるので,DPE=180C\angle DPE=180^{\circ}-\angle C

よって,

FPE=360DPFDPE=B+C=180A\angle FPE=360^{\circ}-\angle DPF-\angle DPE\\ =\angle B+\angle C\\ =180^{\circ}-\angle A

となるので AFPEAFPE も同一円周上にある。

有向角(余談)

有向角を使うことで場合分けせずに簡潔に証明できる」と,読者の方に教えていただきました!

有向角は「場合分けをせず簡潔に証明する」ための道具です。大学受験では不要ですが,数オリの本選以降では重要なテクニックです。私は高校生のころ有向角を知らず,JMO本選の図形問題で場合分けが不十分で完答できなかった悲しい記憶があります。

有向角の意味と,ミケルの定理の場合分け不要な証明は,有向角の使い方(外部サイト)がわかりやすいです。

ミケル点

ミケル点

ミケル点

図に登場する四つの三角形の外接円(Γ(ABC)\Gamma(ABC)Γ(AFE)\Gamma(AFE)Γ(DCE)\Gamma(DCE)Γ(DBF)\Gamma(DBF))は一点 MM で交わる。これをミケル点と呼ぶ。

メネラウスの定理に登場する図形(完全四辺形)です。

「4本の(一般の位置にある)直線が与えられたとき,そのうち3本の直線を選ぶと定まる三角形が4つある。これらの外接円は一点で交わる」と言うこともできます。

ミケル点の存在証明

ミケルの定理を用いて証明してみます。

証明

三角形 ABCABC  に注目する。 DD は直線 BCBC 上,EE は直線 CACA 上,FF は直線 ABAB 上にあるのでミケルの定理より,Γ(AFE)\Gamma(AFE)Γ(DCE)\Gamma(DCE)Γ(DBF)\Gamma(DBF))は一点で交わる。

同様に(例えば三角形 FDBFDB に注目することで),Γ(ABC)\Gamma(ABC) もこの点を通ることが分かる。

他にも方法はあります。考えてみてください!

そういえば昔「1枚,2枚,3マイケル」とかいう芸人がいましたね。