入試数学コンテスト第6回第5問解答解説

更新日時 2022/02/05
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  • 第5問 [無限級数・積分]

第5問 [無限級数・積分]

第5問

非負整数 nn に対して, In=01xn1+x+x2dx I_{n}=\int_{0}^{1}\frac{x^n}{1+x+x^2}dx と定める。

(1) I0+I1+I2I_{0}+I_{1}+I_{2} の値を求めよ。

(2) I0I_{0} の値を求めよ。

(3) k=0(13k+113k+2)\displaystyle \sum_{k=0}^{\infty} \left( \frac{1}{3k+1}-\frac{1}{3k+2} \right) の値を求めよ。

第5問は積分と無限級数の問題です。まずは簡単な計算からいきましょう。(1) を解く上で I0,I1,I2I_0 , I_1 ,I_2 を計算する必要はないです。

第5問 (1)

I0+I1+I2=01x0x2+x+1dx+01x1x2+x+1dx+01x2x2+x+1dx=011+x+x2x2+x+1dx=01dx=1\begin{aligned} &I_0 + I_1 + I_2\\ &= \int_0^1 \dfrac{x^0}{x^2+x+1} dx + \int_0^1 \dfrac{x^1}{x^2+x+1} dx + \int_0^1 \dfrac{x^2}{x^2+x+1} dx\\ &= \int_0^1 \dfrac{1+x+x^2}{x^2+x+1} dx\\ &= \int_0^1 dx = 1 \end{aligned}

次の問題は実際に I0I_0 を計算する問題です。オーソドックスな置換積分をすることになります。

第5問 (2)

I0=0111+x+x2dx=43011(23x+13)2+1dx    ()\begin{aligned} I_{0} &= \int_{0}^{1} \frac{1}{1+x+x^2}dx \\ &= \frac{4}{3} \int_{0}^{1}\frac{1}{\left( \frac{2}{\sqrt{3}}x+\frac{1}{\sqrt{3}} \right)^2 + 1}dx \; \cdots \; (\ast) \end{aligned}

ここで 23x+13=tanθ\dfrac{2}{\sqrt{3}}x+\dfrac{1}{\sqrt{3}} = \tan \theta とおく。x:01x : 0 \to 1θ:π6π3\theta : \dfrac{\pi}{6} \to \dfrac{\pi}{3} となる。また 23dx=dθcos2θ\dfrac{2}{\sqrt{3}} dx = \dfrac{d \theta}{\cos^2 \theta} である。こうして次の式に変形される。

()=43π6π31tan2θ+132dθcos2θ=43π6π31tan2θ+132(tan2θ+1)dθ=43π6π332dθ=233(π3π6)=39π.\begin{aligned} (\ast) &= \dfrac{4}{3} \int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{1}{\tan^2{\theta}+1} \frac{\sqrt{3}}{2}\frac{d\theta}{\cos^2{\theta}} \\ &= \dfrac{4}{3} \int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{1}{\tan^2{\theta}+1} \frac{\sqrt{3}}{2} (\tan^2 \theta +1) d \theta\\ &= \dfrac{4}{3} \int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{\sqrt{3}}{2} d \theta\\ &= \dfrac{2\sqrt{3}}{3} \left( \dfrac{\pi}{3}-\dfrac{\pi}{6} \right) \\ &= \dfrac{\sqrt{3}}{9}\pi. \end{aligned}

この dxx2+a2\int \dfrac{dx}{x^2+a^2} のタイプの積分は 逆三角関数 に関係します。tanθ\tan \theta による置換をすることはこういう背景があるのですね。

同様に dxa2x2\int \dfrac{dx}{a^2-x^2} のタイプの積分は sinθ\sin \theta による置換が基本なのは sin\sin の逆関数(arcsin\arcsin)の微積分と関わりがあるからです。

さて,最後の問題は無限級数を計算させる問題です。うまくこれまでの計算を活用したいですね。ポイントは In+In+1+In+2=1n+1I_n + I_{n+1} + I_{n+2} = \dfrac{1}{n+1} という式となります。

第5問 (3)

In+In+1+In+2=01xn+xn+1+xn+21+x+x2dx=01xndx=1n+1\begin{aligned} &I_n + I_{n+1} + I_{n+2}\\ &= \int_0^1 \dfrac{x^n + x^{n+1} + x^{n+2}}{1+x+x^2} dx\\ &= \int_0^1 x^n dx\\ &= \dfrac{1}{n+1} \end{aligned} である。これを用いると k=0m(13k+113k+2)=k=0m{(I3k+I3k+1+I3k+2)(I3k+1+I3k+2+I3k+3)}=k=0m(I3kI3k+3)=(I0I3)+(I3I6)++(I3m3I3m)+(I3mI3m+3)=I0I3m+3\begin{aligned} &\sum_{k=0}^{m} \left( \frac{1}{3k+1}-\frac{1}{3k+2} \right)\\ &= \sum_{k=0}^{m} \{(I_{3k}+I_{3k+1}+I_{3k+2})-(I_{3k+1}+I_{3k+2}+I_{3k+3})\} \\ &= \sum_{k=0}^{m} (I_{3k}-I_{3k+3}) \\ &= (I_{0}-I_{3})+(I_{3}-I_{6})+\cdots+(I_{3m-3}-I_{3m})+(I_{3m}-I_{3m+3}) \\ &= I_{0}-I_{3m+3} \end{aligned} となる。

ここで,0xn1+x+x2xn0 \leqq \dfrac{x^n}{1+x+x^2}\leqq x^n である。00 から 11 で積分することで,0In1n+10\leq I_{n} \leqq \dfrac{1}{n+1} が成立する。

limn1n+1=0\displaystyle \lim_{n \to \infty} \dfrac{1}{n+1} = 0 であることと,はさみうちの原理から limnIn=0\displaystyle \lim_{n \to \infty} I_n =0 となる。

よって, k=0(13k+113k+2)=limm(I0I3m+3)=39π\begin{aligned} &\sum_{k=0}^{\infty} \left( \frac{1}{3k+1}-\frac{1}{3k+2} \right)\\ &= \lim_{m \to \infty} (I_{0} - I_{3m+3})\\ &= \frac{\sqrt{3}}{9}\pi \end{aligned} である。

部分分数分解を用いた級数計算に近いものがあります。(1項目)(n項目)(1\text{項目}) - (n\text{項目}) の形で (n項目)0  (n)(n\text{項目}) \to 0 \; (n \to \infty) という形に帰着するテクニックは覚えておいて損はありません。