第5問
非負整数 n に対して,
In=∫011+x+x2xndx
と定める。
(1) I0+I1+I2 の値を求めよ。
(2) I0 の値を求めよ。
(3) k=0∑∞(3k+11−3k+21) の値を求めよ。
第5問は積分と無限級数の問題です。まずは簡単な計算からいきましょう。(1) を解く上で I0,I1,I2 を計算する必要はないです。
第5問 (1)
I0+I1+I2=∫01x2+x+1x0dx+∫01x2+x+1x1dx+∫01x2+x+1x2dx=∫01x2+x+11+x+x2dx=∫01dx=1
次の問題は実際に I0 を計算する問題です。オーソドックスな置換積分をすることになります。
第5問 (2)
I0=∫011+x+x21dx=34∫01(32x+31)2+11dx⋯(∗)
ここで 32x+31=tanθ とおく。x:0→1 は θ:6π→3π となる。また 32dx=cos2θdθ である。こうして次の式に変形される。
(∗)=34∫6π3πtan2θ+1123cos2θdθ=34∫6π3πtan2θ+1123(tan2θ+1)dθ=34∫6π3π23dθ=323(3π−6π)=93π.
この ∫x2+a2dx のタイプの積分は 逆三角関数 に関係します。tanθ による置換をすることはこういう背景があるのですね。
同様に ∫a2−x2dx のタイプの積分は sinθ による置換が基本なのは sin の逆関数(arcsin)の微積分と関わりがあるからです。
さて,最後の問題は無限級数を計算させる問題です。うまくこれまでの計算を活用したいですね。ポイントは In+In+1+In+2=n+11 という式となります。
第5問 (3)
In+In+1+In+2=∫011+x+x2xn+xn+1+xn+2dx=∫01xndx=n+11
である。これを用いると
k=0∑m(3k+11−3k+21)=k=0∑m{(I3k+I3k+1+I3k+2)−(I3k+1+I3k+2+I3k+3)}=k=0∑m(I3k−I3k+3)=(I0−I3)+(I3−I6)+⋯+(I3m−3−I3m)+(I3m−I3m+3)=I0−I3m+3
となる。
ここで,0≦1+x+x2xn≦xn である。0 から 1 で積分することで,0≤In≦n+11 が成立する。
n→∞limn+11=0 であることと,はさみうちの原理から n→∞limIn=0 となる。
よって,
k=0∑∞(3k+11−3k+21)=m→∞lim(I0−I3m+3)=93π
である。
部分分数分解を用いた級数計算に近いものがあります。(1項目)−(n項目) の形で (n項目)→0(n→∞) という形に帰着するテクニックは覚えておいて損はありません。