第1問(1)
a=1 の時, 与式は
cos2θ+sinθ+b−1=0⟺−sin2θ+sinθ+b=0
である。
sinθ=k(0≦θ≦π) と置くと, 方程式は
k2−k=b(1)
と変形される。
この時, θ の方程式 sinθ=k について, 解の個数は
- 0≦k<1 のとき, 異なる2つの解を持つ。
- k=1 のとき, ただ1つの解( θ=2π )を持つ。
- k<0,1<k のとき, 解なし。
である。
方程式(1)は k の二次方程式であるから, その解は高々2つである。
方程式(1)が 0≦k<1 の範囲に異なる2つの解を持てば, それぞれの k に対して2つの相異なる θ が対応し, かつ k の値が異なることから4つの θ は互いに相異なる。
それ以外の場合は 解 θ の数は3つ以下である。
以上から, 題意のための必要十分条件は「方程式(1)が 0≦k<1 の範囲に異なる2つの解を持つ」ことである
二次関数 y=k2−k(0≦k<1) と直線 y=b の交点の数が(異なる)2つになるような b の値の範囲を考えればよく, これを満たす b の値の範囲は
−41<b<0
である。
第1問(2)
与式は
cos2θ+asinθ+b−1=0⟺sin2θ−asinθ−b=0
である。
(1)と同様に sinθ=k(0≦θ≦23π) と置くと, 方程式は
k2−ak−b=0
と変形される。
この時, θ の方程式 sinθ=k について, 解の個数は
- 0≦k<1 のとき, 異なる2つの解を持つ。
- −1≦k<0,k=1 のとき, ただ1つの解を持つ。
- k<−1,1<k のとき, 解なし。
である。
(1)と同様に, 0≦θ≦23π のとき, ある θ を取りうる k の値はただ一つに定まることに注意する。
題意のための必要十分条件は, k の方程式 k2−ak−b=0 が
-
条件1. 0≦k<1 の範囲に少なくとも1つ解を持つ。
-
条件2. −1≦k<0 の範囲に異なる2つの解を持つ。
-
条件3. −1≦k<0 の範囲に1つの解をもち, かつ k=1 も解である。
のいずれかの条件を満たすことである。
f(k)=k2−ak−b とおき, それぞれの場合について考える。
① f(0)f(1)<0 のとき, すなわち b(a+b−1)<0 のとき, 常に題意を満たす。
{b<0b>−a+1または{b>0b<−a+1(A)
② f(0)=0 のとき, すなわち b=0 のとき, 常に題意を満たす。
b=0(B)
③ f(1)=0 のとき, すなわち a+b−1=0 のとき,
f(k)=(k−1)(k+1−a) となるので f(k)=0 のもう一つの解は k=a−1 である。
したがって 0≦a−1<1⟺1≦a<2 のとき題意を満たす。
{b=−a+11≦a<2(C)
④
⎩⎨⎧判別式D=a2+4b≧0軸0<2a<1f(0)>0f(1)>0
のとき, すなわち
⎩⎨⎧b≧−41a20<a<2b<0b<−a+1(D)
のとき題意を満たす。
⎩⎨⎧判別式D=a2+4b>0軸−1<2a<0f(−1)≧0f(0)>0
のとき, すなわち
⎩⎨⎧b>−41a2−2<a<0b≦a+1b<0(E)
のとき題意を満たす。
k=1 を解に持つので, f(1)=0 すなわち b=−a+1 である。
この時 f(k)=(k−1)(k+1−a) となるので, −1≦a−1<0⟺0≦a<1 のとき題意を満たす。
{b=−a+10≦a<1(F)
以上、(A)〜(F) をまとめて ab 平面に図示すると下図を得る(境界線は赤線部のみ含む)。
続いて ab の範囲について議論を行う。
- ab=0 のとき
b=0 が上図の領域内に含まれるため ab=0 は取ることができる。
- ab=0 のとき
ab=t(t=0) と置くと, b=at は ab 平面上で反比例のグラフになる。
「ab=t という値を取る ⟺ b=at が上図の領域と共有点を持つ」
と言い換えることができる。
まず t<0 の場合を考える。
t<0 のときに反比例のグラフは第二象限と第四象限に存在するが, 図を見れば任意の t(<0) に対して反比例のグラフと上図の領域が交点を持つことがわかる。
次に t>0 の場合を考える。
t>0 のときに反比例のグラフは第一象限と第三象限に存在する。
0<t<2 のとき, 図を見れば任意の t に対して反比例のグラフと以下の領域が交点を持つことがわかる。
⎩⎨⎧b>−41a2−2<a<0b≦a+1b<0
逆に t≧2 のとき, 反比例のグラフと上図の領域は共有点を持たない。
以上より ab の取りうる値の範囲は
ab<2
である。