入試数学コンテスト第1回第1問解答解説

更新日時 2021/10/30
目次
  • 第1問[三角関数]

第1問[三角関数]

第1問

a,ba,b は実数とする。 θ\theta の方程式 cos2θ+asinθ+b1=0\cos^2 \theta + a \sin \theta + b - 1 = 0 に関して,

(1) a=1a=1 のとき, 0θπ0 \leqq \theta \leqq \pi の範囲に相異なる4つの解を持つような bb の値の範囲を求めよ。

(2) 0θ32π0 \leqq \theta \leqq \dfrac{3}{2}\pi の範囲に相異なる解を少なくとも2つ持つような a,ba,b に対し, abab の取りうる値の範囲を求めよ。

第1問は三角関数からの出題です。

まずは(1)です。これは(2)へとつながる誘導として出されている問題です。落ち着いて解答を進めましょう。

第1問(1)

a=1a=1 の時, 与式は cos2θ+sinθ+b1=0    sin2θ+sinθ+b=0 \cos^2\theta + \sin \theta + b-1 = 0 \\ \iff -\sin^2 \theta + \sin \theta + b = 0

である。

sinθ=k  (0θπ)\sin \theta = k \; (0 \leqq \theta \leqq \pi) と置くと, 方程式は k2k=b(1)k^2 - k = b \tag{1} と変形される。

この時, θ\theta の方程式 sinθ=k\sin \theta = k について, 解の個数は

  1. 0k<10 \leqq k \lt 1 のとき, 異なる2つの解を持つ。
  2. k=1k = 1 のとき, ただ1つの解( θ=π2\theta = \dfrac{\pi}{2} )を持つ。
  3. k<0,1<kk \lt 0,1 \lt k のとき, 解なし。

である。

方程式(1)は kk の二次方程式であるから, その解は高々2つである。

方程式(1)が 0k<10 \leqq k < 1 の範囲に異なる2つの解を持てば, それぞれの kk に対して2つの相異なる θ\theta が対応し, かつ kk の値が異なることから4つの θ\theta は互いに相異なる。

それ以外の場合は 解 θ\theta の数は3つ以下である。

以上から, 題意のための必要十分条件は「方程式(1)が 0k<10 \leqq k < 1 の範囲に異なる2つの解を持つ」ことである

二次関数 y=k2k  (0k<1)y = k^2 - k \; (0 \leqq k < 1) と直線 y=by = b の交点の数が(異なる)2つになるような bb の値の範囲を考えればよく, これを満たす bb の値の範囲は

14<b<0-\dfrac{1}{4} < b < 0

である。

次に(2)です。

(1)を解く過程で, k=sinθk = \sin \theta と置換して対応する θ\theta の個数を考えたり, 解の配置を考えたりしましたが, その手法を活用して(2)に取り組んでいきましょう。

第1問(2)

与式は cos2θ+asinθ+b1=0    sin2θasinθb=0 \cos^2\theta + a\sin \theta + b-1 = 0 \\ \iff \sin^2 \theta - a\sin \theta - b = 0 である。

(1)と同様に sinθ=k  (0θ32π)\sin \theta = k \; (0 \leqq \theta \leqq \dfrac{3}{2}\pi) と置くと, 方程式は k2akb=0k^2 - ak - b= 0 と変形される。

この時, θ\theta の方程式 sinθ=k\sin \theta = k について, 解の個数は

  1. 0k<10 \leqq k \lt 1 のとき, 異なる2つの解を持つ。
  2. 1k<0,k=1-1 \leqq k < 0,k = 1 のとき, ただ1つの解を持つ。
  3. k<1,1<kk \lt -1,1 < k のとき, 解なし。

である。

(1)と同様に, 0θ32π0 \leqq \theta \leqq \dfrac{3}{2}\pi のとき, ある θ\theta を取りうる kk の値はただ一つに定まることに注意する。

題意のための必要十分条件は, kk の方程式 k2akb=0k^2-ak-b=0

  • 条件1. 0k<10 \leqq k \lt 1 の範囲に少なくとも1つ解を持つ。

  • 条件2. 1k<0-1 \leqq k \lt 0 の範囲に異なる2つの解を持つ。

  • 条件3. 1k<0-1 \leqq k \lt 0 の範囲に1つの解をもち, かつ k=1k=1 も解である。

のいずれかの条件を満たすことである。

f(k)=k2akbf(k) = k^2-ak-b とおき, それぞれの場合について考える。

  • 条件1のとき

f(0)f(1)<0f(0)f(1) \lt 0 のとき, すなわち b(a+b1)<0b(a+b-1) < 0 のとき, 常に題意を満たす。

{b<0b>a+1または{b>0b<a+1(A) \begin{cases} b < 0 \\ b > -a + 1 \end{cases} \, \text{または} \, \begin{cases} b > 0 \\ b < -a + 1 \end{cases} \tag{\text{A}}

f(0)=0f(0) = 0 のとき, すなわち b=0b=0 のとき, 常に題意を満たす。

b=0(B) b = 0 \tag{\text{B}}

f(1)=0f(1) = 0 のとき, すなわち a+b1=0a+b-1=0 のとき,

f(k)=(k1)(k+1a)f(k) = (k-1)(k+1-a) となるので f(k)=0f(k) = 0 のもう一つの解は k=a1k = a-1 である。

したがって 0a1<1    1a<20 \leqq a-1 \lt 1 \iff 1 \leqq a < 2 のとき題意を満たす。

{b=a+11a<2(C) \begin{cases} b = -a + 1 \\ 1 \leqq a < 2 \end{cases} \tag{\text{C}}

{判別式D=a2+4b00<a2<1f(0)>0f(1)>0 \begin{cases} \text{判別式} \quad D = a^2 + 4b \geqq 0 \\ \text{軸} \quad 0 \lt \dfrac{a}{2} < 1 \\ f(0) > 0\\ f(1) > 0 \end{cases}

のとき, すなわち

{b14a20<a<2b<0b<a+1(D) \begin{cases} b \geqq -\dfrac{1}{4}a^2\\ 0 \lt a \lt 2\\ b \lt 0\\ b \lt -a + 1 \end{cases} \tag{\text{D}}

のとき題意を満たす。

  • 条件2のとき

{判別式D=a2+4b>01<a2<0f(1)0f(0)>0 \begin{cases} \text{判別式} \quad D = a^2 + 4b > 0 \\ \text{軸} \quad -1 \lt \dfrac{a}{2} < 0 \\ f(-1) \geqq 0\\ f(0) > 0 \end{cases}

のとき, すなわち

{b>14a22<a<0ba+1b<0(E) \begin{cases} b \gt -\dfrac{1}{4}a^2\\ -2 \lt a \lt 0\\ b \leqq a + 1\\ b \lt 0 \end{cases} \tag{\text{E}}

のとき題意を満たす。

  • 条件3のとき

k=1k = 1 を解に持つので, f(1)=0f(1) = 0 すなわち b=a+1b = -a + 1 である。

この時 f(k)=(k1)(k+1a)f(k) = (k-1)(k+1-a) となるので, 1a1<0    0a<1-1 \leqq a-1 \lt 0 \iff 0 \leqq a \lt 1 のとき題意を満たす。

{b=a+10a<1(F) \begin{cases} b = -a + 1 \\ 0 \leqq a < 1 \end{cases} \tag{\text{F}}

以上、(A)〜(F)\text{(A)〜(F)} をまとめて abab 平面に図示すると下図を得る(境界線は赤線部のみ含む)。

領域を示す図

続いて abab の範囲について議論を行う。

  1. ab=0ab = 0 のとき

b=0b=0 が上図の領域内に含まれるため ab=0ab = 0 は取ることができる。

  1. ab0ab \neq 0 のとき

ab=t  (t0)ab = t \; (t \neq 0) と置くと, b=tab = \dfrac{t}{a}abab 平面上で反比例のグラフになる。

ab=tab = t という値を取る     \iff b=tab = \dfrac{t}{a} が上図の領域と共有点を持つ」

と言い換えることができる。

まず t<0t < 0 の場合を考える。

t<0t < 0 のときに反比例のグラフは第二象限と第四象限に存在するが, 図を見れば任意の t  (<0)t \; (< 0) に対して反比例のグラフと上図の領域が交点を持つことがわかる。

次に t>0t > 0 の場合を考える。

t>0t > 0 のときに反比例のグラフは第一象限と第三象限に存在する。

0<t<20 < t < 2 のとき, 図を見れば任意の tt に対して反比例のグラフと以下の領域が交点を持つことがわかる。

{b>14a22<a<0ba+1b<0 \begin{cases} b \gt -\dfrac{1}{4}a^2\\ -2 \lt a \lt 0\\ b \leqq a + 1\\ b \lt 0 \end{cases}

逆に t2t \geqq 2 のとき, 反比例のグラフと上図の領域は共有点を持たない。

反比例を追加した領域

以上より abab の取りうる値の範囲は

ab<2 ab < 2

である。

(2)の問題はさまざまな場合を抜け漏れなく分類して領域を求めた後でさらに abab のとることのできる範囲も考えなければならず, 非常に集中力が求められる問題でした。

しかし一つ一つの要素は難しいものではないので着実に一つずつステップをこなしていく必要があります。

間違えていた人は自分がどこで躓いていたのかしっかりと確認して復習しておきましょう。

配点 25点

(1)

[5点] 14<b<0 \dfrac{-1}{4} < b < 0 14<b<0 \dfrac{1}{-4} < b < 0

[4点] 14b<0 \dfrac{-1}{4} \leqq b < 0 14b<0 \dfrac{1}{-4} \leqq b < 0 14<b0 \dfrac{-1}{4} < b \leqq 0 14<b0 \dfrac{1}{-4} < b \leqq 0

[3点] 14b0 \dfrac{-1}{4} \leqq b \leqq 0 14b0 \dfrac{1}{-4} \leqq b \leqq 0

(2)

[20点] ab<2 ab < 2

[15点] ab2 ab \leqq 2

平均点 (1) (2)
X 6.3 3.4 2.8
Y 7.8 2.8 5.0
Z 11.8 3.9 7.9