ベルンシュタインの定理とその証明
集合 について, から への単射があり, から への単射があれば から への全単射(一対一対応)がある。
ベルンシュタインの定理について
ベルンシュタインの定理について
応用例
応用例
実際に全単射を構成しなくても,全単射の存在を証明できます!
開区間 と閉区間 の間に全単射が存在することを証明せよ。
開区間から閉区間への単射は, とすればよい。
閉区間から開区間への単射は,例えば とすればよい。
よって,ベルンシュタインの定理により全単射の存在が示された。
この例題の結果は,カントール集合の濃度が実数の濃度と同じことの証明に使います。カントール集合とその性質
ベルンシュタインの定理の証明
ベルンシュタインの定理の証明
英語版Wikipedia:Schröder–Bernstein theoremの証明を参考にしました。少し表現を緩くしています。
記述の都合上, と が共通の要素をもたない場合について証明する(このようにしても一般性を失わない)。
から への単射を , から への単射を とする。
を「 または を何回かかましてうつるものは仲間」という基準でグループ分けする(図参照)。
はともに単射なので,図において,各頂点から辺は高々2本しか出ていない。よって,1つのグループには1つのパス(長さは無限)またはサイクルが対応する。以下では, から への全単射を,各グループごとに構成する。
-
パスの片方の端点が に属するグループ(図の一番上のようなグループ) を使えばよい。
-
パスの片方の端点が に属するグループ(図の上から2番目のようなグループ) を使えばよい。
-
パスが両側に無限に続くグループ または を使えばよい。
-
サイクルに対応するグループ(図の一番下のようなグループ) または を使えばよい。
最初見たときはあまりピンとこない定理でしたが,じっくり考えてみるとなかなか味わい深いです。