互いに素の意味と関連する三つの定理
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互いに素の意味と,関連する3つの定理をわかりやすく解説します。定理1,2は基本的な内容ですが,定理3は数学マニア向け(美しい!)です。
互いに素とは
互いに素とは
互いに素とは,2つの整数の共通の約数が だけである という状況を表します。
と は互いに素です。なぜなら,
- の約数は
- の約数は
で,共通の約数が だけだからです。
と は互いに素ではありません。なぜなら,両方とも の倍数であり, が共通の約数になっているためです。
ちなみに,互いに素の定義は「共通の約数が だけ」ですが,他にもいろいろな言い方があります:
- 公約数が のみ
- 最大公約数が
- 「どちらも の倍数」となる2以上の整数 は存在しない
連続する整数は互いに素
連続する整数は互いに素
互いに素に関連する定理を紹介します。
連続する2つの整数は互いに素である。
例えば,さきほどの例で見たように と は互いに素でした。このように,連続する2つの整数は互いに素になります。 と も互いに素です!
背理法で証明する。整数 と が互いに素でないと仮定する。このとき, と の両方を割り切る整数 が存在する。
の倍数どうしの差も の倍数なので, も の倍数となる。これは に矛盾。
このように,互いに素であることを証明するときは,背理法を使うとうまくいくことが多いです。
また「連続する整数は互いに素」という性質は,整数問題でときどき活躍するので覚えておきましょう。
高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~ のT177では,定理1を知っていると楽に解ける応用問題と,計算ミスを減らすコツを紹介しています。
合同式の割り算
合同式の割り算
続いて,合同式の重要な性質についてです。合同式の両辺を同じ整数 で割ってよいのは, と法 が互いに素なときだけです。→合同式の意味とよく使う6つの性質
で と が互いに素なら
のとき,
が の倍数。
ここで, の素因数分解を とする。
- は素因数 を 個以上持つ
- は と互いに素なので は素因数 を1つも持たない
以上より が素因数 を 個以上持つ
同様に に対しても, が素因数 を 個以上持つことが分かる。よって, が の倍数,つまり となる。
注: と法 が互いに素でないときは合同式の両辺を で割ってはいけません。例えば ですが,両辺を で割った式 は間違いです。
互いに素になる確率
互いに素になる確率
以上 以下の数を2つランダムに選ぶ(→注)とき,その二つの数が互いに素になる確率を とおく。このとき
注:同じ整数を2つ選ぶのもOKです。(選ぶ順番も考慮すると)全部で 通りの場合があり,それぞれ確率 で起こります。
一部厳密ではありませんが,考え方はかなり面白いです。
2つの整数 と が互いに素
→
と
のどちらかは
の倍数でない,かつ
と
のどちらかは
の倍数でない,かつ
と
のどちらかは
の倍数でない,かつ
ここで, が十分大きいとき と のどちらかは素数 の倍数でない確率は
よって, が大きいとき求める確率は(→注)
逆数を取って変形していく:
ただし,等号の理由はそれぞれ
注: や が「 の倍数である」という事象,「 の倍数である」という事象,「 の倍数である」という事象, が互いに独立であることを使いました。
「互いに素」は「最大公約数が 」と同じことですが,「最大公約数が 」と書くよりも「互いに素」と書く方が少し楽です。