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複素数型のフーリエ級数展開とその導出

更新日時 2021/03/07

フーリエ級数展開には

実三角関数 sinnx,cosnx\sin nx,\cos nx で展開する表現と

複素指数関数 einxe^{inx} で展開する表現がある。

今回のメインは複素数型のフーリエ級数展開です。

目次
  • 実三角関数によるフーリエ展開

  • 複素指数関数によるフーリエ展開

  • 実数型と複素数型の関係

  • 実数型から複素型の導出

実三角関数によるフーリエ展開

まずは実三角関数によるフーリエ級数展開の復習です。詳しくはフーリエ級数展開の公式と意味をどうぞ。

なお,この記事を通じて f(x)f(x) は周期 TT の「まともな」実数値関数とします。

実三角関数型のフーリエ級数展開:

f(x)=a02+n=1(ancos2πnxT+bnsin2πnxT)f(x)=\dfrac{a_0}{2}+\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(a_n\cos \dfrac{2\pi n x}{T}+b_n\sin \dfrac{2\pi nx}{T}\right)

ただしフーリエ係数は,

an=2T0Tf(x)cos2πnxTdxa_n=\dfrac{2}{T}\int_0^{T}f(x)\cos\dfrac{2\pi nx}{T}dx

bn=2T0Tf(x)sin2πnxTdxb_n=\dfrac{2}{T}\int_0^{T}f(x)\sin\dfrac{2\pi nx}{T}dx

特徴など

  • 実三角関数の実数倍の和で関数を表現する。
  • 実数の世界のみの議論なので分かりやすい,導入にはよい。

複素指数関数によるフーリエ展開

次に,複素数型です。 exe^xexp(x)\exp (x) と書きます。

複素指数関数型のフーリエ級数展開:

f(x)=n=cnexp(2πinxT)f(x)=\displaystyle\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_n\exp\left({\dfrac{2\pi inx}{T}}\right)

ただしフーリエ係数は,

cn=1T0Tf(x)exp(2πinxT)dxc_n=\dfrac{1}{T}\int_0^Tf(x)\exp\left(-\dfrac{2\pi inx}{T}\right)dx

注:複素関数 g(x)g(x) の実数での積分は定義していませんが,

g(x)dx=Reg(x)dx+iImg(x)dx\displaystyle\int g(x)dx=\displaystyle\int \mathrm{Re}\:g(x)dx+i\int \mathrm{Im}\:g(x)dx と理解してください。 cnc_n は一般に複素数になります。

特徴など

  • 複素指数関数の複素数倍の和で関数を表現する。
  • cos\cos 側と sin\sin 側に分けて考える必要がないので計算が楽,美しい。

実数型と複素数型の関係

実三角関数と複素指数関数の間には eix=cosx+isinxe^{ix}=\cos x+i\sin x→複素指数関数とオイラーの公式)という関係があります。

上の関係式を使うだけで実数型と複素数型のフーリエ展開は片方からもう片方が導出できます。つまり,実数型と複素数型は 同じことの異なる表現に過ぎないというわけです。

実数型から複素型の導出

実際に実数型のフーリエ展開から複素数型のフーリエ展開を導出してみます。

(導出)

複素指数関数と実三角関数の関係から cosθ=eiθ+eiθ2\cos\theta=\dfrac{e^{i\theta}+e^{-i\theta}}{2}sinθ=eiθeiθ2i\sin\theta=\dfrac{e^{i\theta}-e^{-i\theta}}{2i} である。これらを実数型のフーリエ展開の式に代入すると,

f(x)=a02+12n=1{an(exp(2πinxT)+exp(2πinxT))bni(exp(2πinxT)exp(2πinxT))}f(x)\\=\dfrac{a_0}{2}+\dfrac{1}{2}\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left\{a_n\left(\exp (\frac{2\pi inx}{T})+\exp(\frac{-2\pi inx}{T})\right) \\\dfrac{b_n}{i}\left(\exp (\frac{2\pi inx}{T})-\exp(\frac{-2\pi inx}{T})\right)\right\}

ここで,e+e^{+} 側と ee^{-} 側に分けると上式は,

a02+n=1(anibn2)expr(2πinxTight)+n=1(an+ibn2)exp(2πinxT)=n=cnexp(2πinxT)\dfrac{a_0}{2}+\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{a_n-ib_n}{2}\right)\exp\\r(\dfrac{2\pi inx}{T}ight)\\+\displaystyle\sum_{n=-\infty}^{-1}\left(\frac{a_{-n}+ib_{-n}}{2}\right)\exp\left(\dfrac{2\pi inx}{T}\right)\\ =\displaystyle\sum_{n=-\infty}^{\infty}c_n\exp\left({\dfrac{2\pi inx}{T}}\right)

となる。ただし,複素フーリエ係数 cnc_n は,

n=0n=0 のとき,

c0=a02=1T0Tf(x)e0dxc_0=\dfrac{a_0}{2}=\dfrac{1}{T}\int_0^{T}f(x)e^{0}dx

n>0n > 0 のとき,

cn=anibn2=1T0Tf(x)cos2πnxTif(x)sin2πnxTdx=1T0Tf(x)exp(2πinxT)dxc_n=\dfrac{a_n-ib_n}{2}\\ =\dfrac{1}{T}\int_0^Tf(x)\cos\dfrac{2\pi nx}{T}-if(x)\sin\dfrac{2\pi nx}{T}dx\\ =\dfrac{1}{T}\int_0^Tf(x)\exp\left(-\dfrac{2\pi inx}{T}\right)dx

n<0n <0 のときも同様に,

cn=1T0Tf(x)exp(2πinxT)dxc_n=\dfrac{1}{T}\int_0^Tf(x)\exp\left(-\dfrac{2\pi inx}{T}\right)dx

なお,cnc_ncnc_{-n} が互いに共役な複素数であることも分かります。

あえて複素数を使うことで表現がきれいになるというパターンですね。

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