ルジャンドル多項式の計算
低次のルジャンドル多項式が
P0(x)=1,P1(x)=x,P2(x)=23x2−21
になることを3通りの方法で確認してみましょう。漸化式・ロドリゲスの公式・直交性の理解が深まります。
「1.漸化式」による計算
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P0(x)=1,P1(x)=x は定義。
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漸化式で n=1 とすると
2P2(x)=3xP1(x)−P0(x)=3x2−1
より P2(x)=23x2−21
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ちなみに漸化式で n=2 とすると
3P3(x)=5xP2(x)−2P1(x)=215x3−29x
より P3(x)=25x3−23x
「2.ロドリゲスの公式」による計算
P0(x)=11×1=1
P1(x)=21(x2−1)′=x
P2(x)=4⋅2!1{(x2−1)2)}′′=81(x4−2x2+1)′′=21(3x2−1)
「4.直交性」による計算の概略
P0(x)
は0次多項式,つまり定数である。
∫−11P02dx=2
を満たす正の定数
P0
を求めると,P0=1
となる。
P1(x)=Ax+B
とおく。
∫−11(Ax+B)⋅1dx=0,∫−11(Ax+B)2dx=32
を満たす
A,B
を求める。一つ目の式から
B=0
が分かり,二つ目の式から
A2=1
が分かる。よって,P1(x)=x
P2(x)=Ax2+Bx+C
とおく。まず,∫−11P2(x)⋅xdx=0
から
B=0
が分かる。そして,∫−11P2(x)⋅1dx=0
と
∫−11P22(x)dx=52
から
A
と
C
が求まる。
なお,計算の途中で偶関数と奇関数の性質を用いると楽。
大学入試でも(直交性などという言葉は出てこないが)このような計算をさせる問題はときどき出題されます!
なお,直交性については,直交多項式の意味と4つの有名な例,三角関数の積の積分と直交性もどうぞ。
この記事のように,高校では絶対習わない内容であっても意欲のある高校生に理解できる記事は,マニアック分野に分類することがあります。