※第6問は問題文に不備があり、大会開催中は問題の掲載を中止していました。以下に掲載している問題文、および解答・解説はそれらの不備を訂正し、掲載されるべき内容へ更新されています。
第6問 (2)
条件を満たす関数 f について,任意の正整数m,nに対し
nf(m)+1mn+f(n)
が整数になる。
与式に m=1 を代入すると nf(1)+1n+f(n) が整数だとわかる。ゆえに
nf(1)+1n+f(n)n+f(n)f(n)≥1≥nf(1)+1≥(f(1)−1)n+1
が得られる。
与式に n=1 を代入し,簡単のため m を n に置き換えると f(n)+1n+f(1) が整数だとわかる。ゆえに
f(n)+1n+f(1)n+f(1)n+f(1)−1≥1≥f(n)+1≥f(n)
が得られる。
以下3つのパターンに分けて考察する。
(a) f(1)=0 のとき
p を素数とする。与式に m=p,n=1 を代入すると
f(p)+1p+f(1)=f(p)+1p∈Z
となる。このとき f(p)+1=1,p である。f(p)=p−1 と仮定する。与式に m=n=p を代入すると
pf(p)+1p2+f(p)=1+p2−p+12p−2∈Z
となる。よって
p2−p+12p−2∈Z
である。しかし
p2−p+1−(2p−2)=p2−3p+3=(p−23)2+43>0
より p2−p+12p−2<1 が従い,p2−p+12p−2∈/Z である。これは矛盾である。
よって f(p)+1=1 である。すなわち f(p)=0 である。
次に与式に n=p を代入すると
pf(m)+1mp
が整数になる。分母は p で割って1あまる整数であるため
pf(m)+1m
が整数になる。この整数を l とおくと
f(m)=p1(lm−1)
となる。今 p を十分大きく取ると f(m)<1 となる。f は非負整数値を取るため f(m)=0 となる。m は任意である。
こうして f(n)=0 が従う。実際これは与式を満たす。
(b) f(1)=1 のとき
m,n にそれぞれ1を代入すると
nf(1)+1n+f(n)f(m)+1m+f(1)=n+1n+f(n)=1+n+1f(n)−1∈Zn+1f(n)−1∈Z=f(m)+1m+1∈Z
が得られる。
2式目の m を n に置き換えて,これらの積を計算すると f(n)+1f(n)−1∈Z が得られる。f(n)+1f(n)−1<1 であるため,f(n)−1=0,すなわち f(n)=1 となる必要がある。n は任意である。これを与式に代入することで
n+1mn+1=m+n+11−m∈Z
が得られる。よって
n+11−m∈Z
であるが,m>2 として n を十分大きくとると,−1<n+11−m<0 が成り立つ。これは矛盾である。
© f(1)>1 のとき
n+f(1)−1≧f(n)≧(f(1)−1)n+1
であり,任意の正整数 n に対して
f(1)−2≧(f(1)−2)n
である。f(1)−2>0 であれば n≦1 が得られるが,n は任意であるため,矛盾である。よって f(1)=2 である。
このとき
f(n)−1≧nn≧f(n)−1
である。こうしてf(n)=n+1が得られる。実際これは元の式を満たす。
こうして n が正整数のとき,f(n)=0,n+1 のいずれかが成立する。
(A) 正整数 n に対して f(n)=0 のとき
与式に m=0 を代入すると
nf(0)+10=0
であり,n=0 を代入すると
10+f(0)=f(0)
である。こうして f(0) は任意の整数値を取りうる。
(B) 正整数 n に対して f(n)=n+1 のとき
与式に n=0 を代入すると
0⋅(m+1)+1f(0)=f(0)
となり,これは常に整数となる。
与式に m=0 を代入すると
nf(0)+1n+1
が成り立つ。f(0)>2 の場合,0<nf(0)+1n+1<n+2n+1<1 となり,整数値を取ることと矛盾する。f(0)=0,1 はどちらも条件を満たす。
以上をまとめると
n+1{0n+1(n=0)(n≧1){任意0(n=0)(n≧1)
となる。