入試数学コンテスト第4回第6問解答解説

更新日時 2021/12/10
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  • 第6問[関数方程式]

第6問[関数方程式]

※第6問は問題文に不備があり、大会開催中は問題の掲載を中止していました。以下に掲載している問題文、および解答・解説はそれらの不備を訂正し、掲載されるべき内容へ更新されています。

第6問

(1) 非負整数で定義され非負整数値を取る関数 ff であって,任意の非負整数m,nm,nに対して,ある整数 kk があり mn+f(n)nf(m)+1 \dfrac{mn + f(n)}{nf(m) +1} が常に kk となるものを全て求めよ。

(2) 非負整数で定義され非負整数値を取る関数 ff であって,任意の非負整数m,nm,nに対して mn+f(n)nf(m)+1 \dfrac{mn + f(n)}{nf(m) +1} が整数となるものを全て求めよ。

第6問は関数方程式の問題でした。数学オリンピック風の問題です。

m=1,n=1m=1,n=1 を代入することがカギになります。

第6問 (1)

与式に m=1,n=1m=1,n=1 を代入すると 1+f(1)f(1)+1 \dfrac{1+f(1)}{f(1)+1} であり,これは 11 であるため,k=1k=1 がわかる。与式に m=1m=1 を代入すると n+f(n)nf(1)+1=1 \dfrac{n+f(n)}{nf(1)+1} = 1 である。こうして f(n)=(f(1)1)n+1f(n) = (f(1)-1) n +1 である。一方 n=1n=1 を代入すると m+f(1)f(m)+1=1 \dfrac{m+f(1)}{f(m)+1} = 1 である。こうして f(m)=m+f(1)1f(m) = m + f(1)-1 である。上記2つを比較すると,f(1)1=1f(1)-1=1 である。こうして f(n)=n+1f(n) = n + 1 となる。

第2問はより広い場合で議論をします。00 のときを考えることは難しいので,まずは正整数のケースだけを考えてみましょう。

m=1m=1 のときと n=1n=1 のときから,不等式を導きます。そこから f(1)f(1) を具体的に求め,そこから一般の f(n)f(n) を求めます。

第6問 (2)

条件を満たす関数 ff について,任意の正整数m,nm,nに対し mn+f(n)nf(m)+1 \dfrac{mn + f(n)}{nf(m) +1} が整数になる。

与式に m=1m=1 を代入すると n+f(n)nf(1)+1\dfrac{n + f(n)}{nf(1)+1} が整数だとわかる。ゆえに n+f(n)nf(1)+11n+f(n)nf(1)+1f(n)(f(1)1)n+1\begin{aligned} \dfrac{n + f(n)}{nf(1)+1} &\geq 1\\ n + f(n) &\geq n f(1) +1\\ f(n)&\geq (f(1)-1)n+1 \end{aligned} が得られる。

与式に n=1n=1 を代入し,簡単のため mmnn に置き換えると n+f(1)f(n)+1\dfrac{n + f(1)}{f(n) + 1} が整数だとわかる。ゆえに n+f(1)f(n)+11n+f(1)f(n)+1n+f(1)1f(n)\begin{aligned} \dfrac{n+f(1)}{f(n)+1} &\geq 1\\ n + f(1) &\geq f(n)+1\\ n +f(1)-1&\geq f(n) \end{aligned} が得られる。

以下3つのパターンに分けて考察する。

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(a) f(1)=0f(1) = 0 のとき

pp を素数とする。与式に m=p,n=1m=p,n=1 を代入すると p+f(1)f(p)+1=pf(p)+1Z \dfrac{p+f(1)}{f(p)+1} = \dfrac{p}{f(p)+1} \in \mathbb{Z} となる。このとき f(p)+1=1,pf(p)+1 = 1,p である。f(p)=p1f(p) = p-1 と仮定する。与式に m=n=pm=n=p を代入すると p2+f(p)pf(p)+1=1+2p2p2p+1Z \dfrac{p^2+f(p)}{pf(p)+1} = 1 + \dfrac{2p-2}{p^2-p+1} \in \mathbb{Z} となる。よって 2p2p2p+1Z \dfrac{2p-2}{p^2-p+1} \in \mathbb{Z} である。しかし p2p+1(2p2)=p23p+3=(p32)2+34>0\begin{aligned} &p^2-p+1 - (2p-2)\\ &= p^2 -3p+3\\ &= \left( p-\dfrac{3}{2} \right)^2 +\dfrac{3}{4} >0 \end{aligned} より 2p2p2p+1<1\dfrac{2p-2}{p^2-p+1} <1 が従い,2p2p2p+1Z\dfrac{2p-2}{p^2-p+1} \notin \mathbb{Z} である。これは矛盾である。

よって f(p)+1=1f(p) +1=1 である。すなわち f(p)=0f(p)=0 である。

次に与式に n=pn=p を代入すると mppf(m)+1 \dfrac{mp}{pf(m)+1} が整数になる。分母は pp で割って1あまる整数であるため mpf(m)+1 \dfrac{m}{pf(m)+1} が整数になる。この整数を ll とおくと f(m)=1p(ml1) f(m) = \dfrac{1}{p} \left( \dfrac{m}{l}-1 \right) となる。今 pp を十分大きく取ると f(m)<1f(m) < 1 となる。ff は非負整数値を取るため f(m)=0f(m) = 0 となる。mm は任意である。

こうして f(n)=0f(n) = 0 が従う。実際これは与式を満たす。

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(b) f(1)=1f(1)=1 のとき

m,nm,n にそれぞれ1を代入すると n+f(n)nf(1)+1=n+f(n)n+1=1+f(n)1n+1Zf(n)1n+1Zm+f(1)f(m)+1=m+1f(m)+1Z\begin{aligned} \dfrac{n + f(n)}{nf(1)+1} &= \dfrac{n+f(n)}{n+1}\\ &=1+\dfrac{f(n) - 1}{n+1} \in \mathbb{Z}\\ &\quad \dfrac{f(n) - 1}{n+1} \in \mathbb{Z}\\ \dfrac{m + f(1)}{f(m) + 1} &= \dfrac{m+1}{f(m)+1} \in \mathbb{Z} \end{aligned} が得られる。

2式目の mmnn に置き換えて,これらの積を計算すると f(n)1f(n)+1Z\dfrac{f(n)-1}{f(n)+1} \in \mathbb{Z} が得られる。f(n)1f(n)+1<1\dfrac{f(n)-1}{f(n)+1} < 1 であるため,f(n)1=0f(n)-1=0,すなわち f(n)=1f(n)=1 となる必要がある。nn は任意である。これを与式に代入することで mn+1n+1=m+1mn+1Z \dfrac{mn+1}{n+1} = m + \dfrac{1-m}{n+1} \in \mathbb{Z} が得られる。よって 1mn+1Z \dfrac{1-m}{n+1} \in \mathbb{Z} であるが,m>2m>2 として nn を十分大きくとると,1<1mn+1<0-1 < \dfrac{1-m}{n+1} <0 が成り立つ。これは矛盾である。

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© f(1)>1f(1) > 1 のとき

n+f(1)1f(n)(f(1)1)n+1\begin{aligned} n +f(1)-1 &\geqq f(n)\\ &\geqq (f(1)-1) n+1 \end{aligned} であり,任意の正整数 nn に対して f(1)2(f(1)2)n\begin{aligned} f(1)-2 \geqq (f(1)-2) n \end{aligned} である。f(1)2>0f(1)-2 >0 であれば n1n \leqq 1 が得られるが,nn は任意であるため,矛盾である。よって f(1)=2f(1) = 2 である。

このとき f(n)1nnf(n)1 f(n)-1\geqq n\\ n \geqq f(n) -1 である。こうしてf(n)=n+1f(n) = n+1が得られる。実際これは元の式を満たす。

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こうして nn が正整数のとき,f(n)=0,n+1f(n) = 0, n+1 のいずれかが成立する。

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(A) 正整数 nn に対して f(n)=0f(n) = 0 のとき

与式に m=0m=0 を代入すると 0nf(0)+1=0 \dfrac{0}{nf(0)+1}=0 であり,n=0n=0 を代入すると 0+f(0)1=f(0) \dfrac{0+f(0)}{1} = f(0) である。こうして f(0)f(0) は任意の整数値を取りうる。

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(B) 正整数 nn に対して f(n)=n+1f(n) = n+1 のとき

与式に n=0n=0 を代入すると f(0)0(m+1)+1=f(0) \dfrac{f(0)}{0\cdot (m+1) + 1} = f(0) となり,これは常に整数となる。 与式に m=0m=0 を代入すると n+1nf(0)+1 \dfrac{n+1}{nf(0)+1} が成り立つ。f(0)>2f(0) > 2 の場合,0<n+1nf(0)+1<n+1n+2<10< \dfrac{n+1}{nf(0)+1} < \dfrac{n+1}{n+2} < 1 となり,整数値を取ることと矛盾する。f(0)=0,1f(0)=0,1 はどちらも条件を満たす。

以上をまとめると n+1{0(n=0)n+1(n1){任意(n=0)0(n1)\begin{aligned} &n+1\\ & \begin{cases} 0 & (n=0)\\ n+1 & (n \geqq 1) \end{cases}\\ & \begin{cases} 任意 & (n=0)\\ 0 & (n \geqq 1) \end{cases} \end{aligned} となる。

この問題の議論で用いたテクニックを紹介します。

FF が整数であるとき,0<F<10 < F < 1 を満たすことを示して不適だと結論付ける手法は,特に重要なものです。

0<F<10<F<1 であることを示すときに使った手法にはどのようなものがあるでしょうか。解答を見ていただくと,(a) で f(m)=1p(ml1)f(m) = \dfrac{1}{p} \left( \dfrac{m}{l}-1 \right) という式を用いてますね。このように任意に取ることができる変数を分母に用意し,変数を十分大きく取ることで示すことができます。

この方法は円周率が無理数であることを証明するときにも使います。

配点 25点

(1) [5点]

f(n)=n+1 f(n) = n+1

(2) [20点]

f(n)=n+1,{0(n=0)n+1(n1),{任意(n=0)0(n1)\begin{aligned} f(n)= &n+1,\\ & \begin{cases} 0 & (n=0)\\ n+1 & (n \geqq 1) \end{cases} ,\\ & \begin{cases} 任意 & (n=0)\\ 0 & (n \geqq 1) \end{cases} \end{aligned}