第4問
関数 f(x),g(x) を以下のように定める。
{f(x)=2(ex−e−x)g(x)=2(ex+e−x)
(1) {g(2)}2,{f(2)}2+16 の値をそれぞれ求めよ。
(2) f(x) の逆関数 f−1(x) を求めよ。
(3) ∫03x2+16dx を計算せよ。
第4問は数3の積分分野からの出題です。(1),(2)自体は全く難しい問題ではないので,すらすらと解けて欲しいところです。(3)では,出題者が(1),(2)をなぜ用意したのか,その意図を読み取り,誘導に乗ることが必要です。
まずは(1)です。これは本当に単純な計算問題ですから,ぜひ点数をとって欲しいところです。なぜこんな計算をさせるのか考えながら,計算を進めましょう。
第4問(1)
{g(2)}2{f(2)}2+16=4(e4+e−4)+8=4(e4+e−4)+8
次に,(2)です。これは(1)とは独立しており,逆関数を求める問題になっています。これも単問で見ればなんら難しいことはありません。y=f(x) とおいて,x に関して解いていきます。
第4問(2)
y=2(ex−e−x)
とおく。両辺に ex をかけて変形すると,
2(ex)2−yex−2=0
ex>0 より,
ex∴x=4y+y2+16=log∣∣4y+y2+16∣∣
これより
f−1(x)=log∣∣4x+x2+16∣∣
最後に(3)です。(1)の問題における +16 は明らかに意味ありげですね。(3)にも同じく +16 が現れています。また,(1)で計算した二つの値は,同じ値になっています。(1)で計算したのは x=2 を代入した値でしたが,これは x=2 である必要はなさそうです。どんな x に対しても,
{g(x)}2={f(x)}2+16
が成立することは,簡単にわかりますね。また,2乗になっていることから,x=f(t) と置換してみると,分母のルートが消えてくれそうです。
また,置換積分をするわけですから,当然 dtdx についても計算しなければなりません。実際に計算してみると,
dtdx=g(t)
となることがわかります。ということは,g(t) で分子分母を約分できてしまうということです!
このからくりに気づいてしまえばあとは簡単です。ほとんど答えを言ってしまいましたが,もう一度まとめてみます。
第4問(3)
x=f(t)
で置換することを考える。
dtdx=2(et+e−t)=g(t)
であることから,
∫x2+16dx=∫{f(t)}2+16g(t)dt=∫g(t)g(t)dt(∵{g(x)}2={f(x)}2+16)=∫dt=t+C
ただし,C は積分定数である。ここで(2)の結果より,
t=log∣∣4x+x2+16∣∣
であるから,
∫x2+16dx=log∣∣4x+x2+16∣∣+C
よって,
∫03x2+16dx=[log∣∣4y+y2+16∣∣]03=log2
この積分を自力で解くのは高校生にはなかなか難しいですが,きれいな誘導がついています。入試本番でも,誘導が丁寧についていることが少なくないため,出題者の意図を汲み取り,解法にたどり着く練習となるような問題を出題してみました。よく復習しましょう。
ちなみにこの問題は,双曲線関数という関数が背景にある問題です。この機会に勉強しておくと良いかもしれません。→双曲線関数にまつわる重要な公式まとめ
配点 25点
(1)
[3点]
{g(2)}2=4(e4+e−4)+8{f(2)}2+16=4(e4+e−4)+8
(2)
[5点]
f−1(x)=log∣∣4x+x2+16∣∣
f−1(x)=log∣∣4x2+16+x∣∣
f−1(x)=log∣∣4x+16+x2∣∣
f−1(x)=log∣∣416+x2+x∣∣
(3)
[17点]
log2