入試数学コンテスト第1回第4問解答解説

更新日時 2021/10/30
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  • 第4問[積分]

第4問[積分]

第4問

関数 f(x),g(x)f(x), g(x) を以下のように定める。 {f(x)=2(exex)g(x)=2(ex+ex) \begin{cases} f(x) = 2(e^x - e^{-x})\\ g(x) = 2(e^x + e^{-x}) \end{cases}

(1) {g(2)}2,{f(2)}2+16\left\{g(2)\right\}^2, \left\{f(2)\right\}^2 + 16 の値をそれぞれ求めよ。

(2) f(x)f(x) の逆関数 f1(x)f^{-1}(x) を求めよ。

(3) 03dxx2+16\displaystyle\int_0^3 \dfrac{dx}{\sqrt{x^2 + 16}} を計算せよ。

第4問は数3の積分分野からの出題です。(1),(2)自体は全く難しい問題ではないので,すらすらと解けて欲しいところです。(3)では,出題者が(1),(2)をなぜ用意したのか,その意図を読み取り,誘導に乗ることが必要です。

まずは(1)です。これは本当に単純な計算問題ですから,ぜひ点数をとって欲しいところです。なぜこんな計算をさせるのか考えながら,計算を進めましょう。

第4問(1)

{g(2)}2=4(e4+e4)+8{f(2)}2+16=4(e4+e4)+8\begin{aligned} \left\{g(2)\right\}^2 &= 4\left(e^4 + e^{-4}\right) + 8\\ \left\{f(2)\right\}^2 + 16 &= 4\left(e^4 + e^{-4}\right) + 8 \end{aligned}

次に,(2)です。これは(1)とは独立しており,逆関数を求める問題になっています。これも単問で見ればなんら難しいことはありません。y=f(x)y = f(x) とおいて,xx に関して解いていきます。

第4問(2)

y=2(exex) y = 2(e^x - e^{-x}) とおく。両辺に exe^x をかけて変形すると, 2(ex)2yex2=0\begin{aligned} 2(e^x)^2 - ye^x - 2 = 0 \end{aligned} ex>0e^x > 0 より, ex=y+y2+164x=logy+y2+164\begin{aligned} e^x &= \dfrac{y+\sqrt{y^2 + 16}}{4}\\ \therefore x &= \log \left|\dfrac{y+\sqrt{y^2 + 16}}{4}\right| \end{aligned} これより f1(x)=logx+x2+164 f^{-1}(x) = \log \left|\dfrac{x+\sqrt{x^2 + 16}}{4}\right|

最後に(3)です。(1)の問題における +16+16 は明らかに意味ありげですね。(3)にも同じく +16+16 が現れています。また,(1)で計算した二つの値は,同じ値になっています。(1)で計算したのは x=2x = 2 を代入した値でしたが,これは x=2x = 2 である必要はなさそうです。どんな xx に対しても, {g(x)}2={f(x)}2+16 \left\{g(x)\right\}^2 = \left\{f(x)\right\}^2 + 16 が成立することは,簡単にわかりますね。また,2乗になっていることから,x=f(t)x = f(t) と置換してみると,分母のルートが消えてくれそうです。

また,置換積分をするわけですから,当然 dxdt\dfrac{dx}{dt} についても計算しなければなりません。実際に計算してみると, dxdt=g(t) \dfrac{dx}{dt} = g(t) となることがわかります。ということは,g(t)g(t) で分子分母を約分できてしまうということです!

このからくりに気づいてしまえばあとは簡単です。ほとんど答えを言ってしまいましたが,もう一度まとめてみます。

第4問(3)

x=f(t) x = f(t) で置換することを考える。 dxdt=2(et+et)=g(t) \dfrac{dx}{dt} = 2(e^t + e^{-t}) = g(t) であることから, dxx2+16=g(t){f(t)}2+16dt=g(t)g(t)dt({g(x)}2={f(x)}2+16)=dt=t+C\begin{aligned} \int \dfrac{dx}{\sqrt{x^2 + 16}} &= \int \dfrac{g(t)}{\sqrt{\left\{f(t)\right\}^2 + 16}}dt\\ &= \int \dfrac{g(t)}{g(t)}dt \quad (\because \left\{g(x)\right\}^2 = \left\{f(x)\right\}^2 + 16)\\ &= \int dt\\ &= t + C \end{aligned} ただし,CC は積分定数である。ここで(2)の結果より, t=logx+x2+164 t = \log \left|\dfrac{x+\sqrt{x^2 + 16}}{4}\right| であるから, dxx2+16=logx+x2+164+C \int \dfrac{dx}{\sqrt{x^2 + 16}} = \log \left|\dfrac{x+\sqrt{x^2 + 16}}{4}\right| + C よって, 03dxx2+16=[logy+y2+164]03=log2\begin{aligned} \int_0^3 \dfrac{dx}{\sqrt{x^2 + 16}} &= \left[\log \left|\dfrac{y+\sqrt{y^2 + 16}}{4}\right|\right]_0^3\\ &= \log 2 \end{aligned}

この積分を自力で解くのは高校生にはなかなか難しいですが,きれいな誘導がついています。入試本番でも,誘導が丁寧についていることが少なくないため,出題者の意図を汲み取り,解法にたどり着く練習となるような問題を出題してみました。よく復習しましょう。

ちなみにこの問題は,双曲線関数という関数が背景にある問題です。この機会に勉強しておくと良いかもしれません。→双曲線関数にまつわる重要な公式まとめ

配点 25点

(1)

[3点] {g(2)}2=4(e4+e4)+8{f(2)}2+16=4(e4+e4)+8 \left\{g(2) \right\}^2 = 4(e^4 + e^{-4}) + 8 \\ \left\{f(2) \right\}^2 + 16 = 4(e^4 + e^{-4}) + 8

(2)

[5点] f1(x)=logx+x2+164 f^{-1}(x) = \log \left| \dfrac{x + \sqrt{x^2 + 16}}{4} \right| f1(x)=logx2+16+x4 f^{-1}(x) = \log \left| \dfrac{\sqrt{x^2 + 16} + x}{4} \right| f1(x)=logx+16+x24 f^{-1}(x) = \log \left| \dfrac{x + \sqrt{16 + x^2 }}{4} \right| f1(x)=log16+x2+x4 f^{-1}(x) = \log \left| \dfrac{\sqrt{16 + x^2} + x}{4} \right|

(3)

[17点] log2 \log 2

平均点 (1) (2) (3)
X - - - -
Y 17.8 2.7 3.4 11.6
Z 17.7 2.7 2.7 12.3