入試数学コンテスト第5回第3問解答解説

更新日時 2022/02/21
目次
  • 第3問 [領域]

第3問 [領域]

第3問

実数 a,ba,b に対して (a+cosαcosβ)2+(bsinαsinβ)2  (0α,βπ) (a + \cos \alpha - \cos \beta)^2 + (b - \sin \alpha - \sin \beta)^2 \; (0 \leqq \alpha , \beta \leqq \pi) の最小値を f(a,b)f(a,b) とおく。

(1) f(0,0)f(0,0) を求めよ。

(2) f(a,b)=0f(a,b) = 0 となる (a,b)(a,b)abab 平面に図示したとき,その領域の面積を求めよ。

(3) f(a,b)4f(a,b) \leqq 4 となる (a,b)(a,b)abab 平面に図示したとき,その図形の周長を求めよ。

第3問は領域の問題でした。

まずは三角関数を丁寧に計算する解法を紹介します。

第3問 (1)

(cosαcosβ)2+(sinα+sinβ)2=cos2α2cosαcosβ+cos2β+sin2α+2sinαsinβ+sin2β=22(cosαcosβsinαsinβ)=22cos(αβ)\begin{aligned} & (\cos \alpha - \cos \beta)^2 + (\sin \alpha + \sin \beta)^2\\ &= \cos^2 \alpha -2 \cos \alpha \cos \beta + \cos^2 \beta + \sin^2 \alpha + 2 \sin \alpha \sin \beta + \sin^2 \beta\\ &= 2 - 2 (\cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta)\\ &= 2-2\cos (\alpha - \beta) \end{aligned} である。0α,βπ0 \leqq \alpha , \beta \leqq \pi であることから παβπ-\pi \leqq \alpha - \beta \leqq \pi である。よって 1cos(αβ)1-1 \leqq \cos (\alpha - \beta) \leqq 1 が従う。

こうして 22cos(αβ)22=02 - 2 \cos (\alpha - \beta) \geqq 2 - 2 = 0 である。したがって f(0,0)=0f(0,0) = 0 である。

次の解法は最大最小を求めるときのテクニックの1つです。今回の場合は f(0,0)f(0,0) が必ず 00 以上であることがわかりますから,後は実際に 00 を取るような α,β\alpha , \beta を与えると良いというわけです。

第3問 (1) 別解

f(0,0)f(0,0)(cosαcosβ)2+(sinα+sinβ)2(\cos \alpha - \cos \beta)^2 + (\sin \alpha + \sin \beta)^2 の最小値である。まず (cosαcosβ)2+(sinα+sinβ)20(\cos \alpha - \cos \beta)^2 + (\sin \alpha + \sin \beta)^2 \geqq 0 である。

今,α=0,β=0\alpha = 0, \beta = 0 とすると,cosαcosβ=11=0\cos \alpha - \cos \beta = 1-1 =0sinα+sinβ=0+0=0\sin \alpha + \sin \beta = 0+0 =0 であるため,(cosαcosβ)2+(sinα+sinβ)2(\cos \alpha - \cos \beta)^2 + (\sin \alpha + \sin \beta)^200 を取る。

こうして f(0,0)=0f(0,0) = 0 となる。

与えられた式は (a,b)(a,b)(cosα+cosβ,sinα+sinβ)(-\cos \alpha + \cos \beta , \sin \alpha + \sin \beta) の距離を表していることを踏まえると見通しが良くなります。

この視点を持つと,(1) は (cosα+cosβ,sinα+sinβ)(-\cos \alpha + \cos \beta , \sin \alpha + \sin \beta)(0,0)(0,0) を取りうることを調べる問題だとわかります。

次の問題も距離を意識するとわかりやすいです。

第3問 (2)

(a+cosαcosβ)2+(bsinαsinβ)2(a + \cos \alpha - \cos \beta)^2 + (b - \sin \alpha - \sin \beta)^2xyxy 平面上で2点 (a,b)(a,b)(cosα+cosβ,sinα+sinβ)(- \cos \alpha + \cos \beta , \sin \alpha + \sin \beta) の距離の2乗である。

よって f(a,b)=0f(a,b) = 0 となる (a,b)(a,b) 領域は,α,β\alpha , \beta を任意に動かしたとき,(cosα+cosβ,sinα+sinβ)(- \cos \alpha + \cos \beta , \sin \alpha + \sin \beta) の動く領域である。

παπ,πβπ- \pi \leqq \alpha \leqq \pi , -\pi \leqq \beta \leqq \pi より (cosα,sinα),(cosβ,sinβ)(-\cos \alpha , \sin \alpha) , (\cos \beta , \sin \beta) はそれぞれ半径 11 の円の上半分を動く。

中心が,原点を中心をする半径 11 の円の上半分となる半径 11 の円の上半分を動かして得られる軌跡,すなわち,(xcosβ)2+(ysinβ)2=1(x - \cos \beta)^2 + (y - \sin \beta)^2 = 1 の上半分について β\beta を動かして得られる軌跡として次の図を得る。

pic01

こうして求める面積は 4π12π122=π4\pi \cdot \dfrac{1}{2} - \pi \cdot \dfrac{1}{2} \cdot 2 = \pi

やはり (3) も距離のイメージで解くべきでしょう。要は (2) で得られた領域を「拡張」することになります。

第3問(3)

(cosα+cosβ,sinα+sinβ)(- \cos \alpha + \cos \beta , \sin \alpha + \sin \beta) との距離が2以下になる (a,b)(a,b) を考えればよいため,(2) で求めた図形を中心をする半径2の円の動く領域がを求めればよい。

b0b \geqq 0 のとき

a2+b2=4a^2 + b^2 = 4 の円周上を中心とすることで,原点を中心とする半径 4 の円盤の上半分が求める領域だとわかる。

b0b \leqq 0 のとき

(2) で求めた領域のうち b=0b = 0 上にある部分は (2,0),(0,0),(2,0)(-2,0),(0,0),(2,0) の3点である。この3点を中心とする半径2の円を考えればよく,求める領域は b0b \leqq 0 かつ以下 (a2)2+b24a2+b24(a+2)2+b24 (a-2)^2 + b^2 \leqq 4\\ a^2 + b^2 \leqq 4\\ (a+2)^2 + b^2 \leqq 4 のいずれかを満たす部分である。

3つの円の交点を求める。(a2)2+b2=4(a-2)^2 + b^2 = 4a2+b2=4a^2 + b^2 = 4 の交点は (1,±3)(1 , \pm \sqrt{3})(a+2)2+b2=4(a+2)^2 + b^2 = 4a2+b2=4a^2 + b^2 = 4 の交点は (1,±3)(-1 , \pm \sqrt{3})(a2)2+b2=4(a-2)^2 + b^2 = 4(a+2)2+b2=4(a+2)^2 + b^2 = 4 の交点は (0,0)(0,0) となる。こうして求める領域は b0b \leqq 0 かつ {(a+2)2+b24(2a1)a2+b24(1a1)(a2)2+b24(1a2)\begin{cases} (a+2)^2 + b^2 \leqq 4 &(-2 \leqq a \leqq -1)\\ a^2+b^2 \leqq 4 &(-1 \leqq a \leqq 1)\\ (a-2)^2 + b^2 \leqq 4 &(1 \leqq a \leqq 2) \end{cases} である。

図示すると以下のようになる。

pic02

こうして外周は 4π+2(23π+13π+23π)=223π 4 \cdot \pi + 2 \cdot \left(\dfrac{2}{3} \pi + \dfrac{1}{3} \pi + \dfrac{2}{3} \pi\right) = \dfrac{22}{3} \pi となる。