入試数学コンテスト第1回第2問解答解説

第2問[場合の数]

第2問

動点Pは最初,三次元座標空間上の (0,0,0)(0,0,0) にあるとする。以下の操作A,B,Cを何度か行って移動することを考える。

(1)

操作A:xx座標を +1+1 する。ただし,xx+1+1 したことによって xx22 を超えてしまった場合,xx22 に戻す。

操作B:yy 座標を +1+1 する。ただし,yy+1+1 したことによって yy22 を超えてしまった場合,yy22 に戻す。

操作C:zz 座標を +1+1 する。ただし,zz+1+1 したことによって zz22 を超えてしまった場合,zz22 に戻す。

8回目の操作で,点Pがはじめて (2,2,2)(2,2,2) に辿り着くような操作の並べ方は何通りあるか求めよ。

(2) 操作A:xx 座標を +1+1 する。ただし,xx+1+1 したことによって xx33 を超えてしまった場合,xx33 に戻す。

操作B:yy 座標を +1+1 する。ただし,yy+1+1 したことによって yy33 を超えてしまった場合,yy33 に戻す。

操作C:zz 座標を +1+1 する。ただし,zz+1+1 したことによって zz33 を超えてしまった場合,zz33 に戻す。

15回目の操作で,点Pがはじめて (3,3,3)(3,3,3) に辿り着くような操作の並べ方は何通りあるか求めよ。

第2問は数Aの場合の数からの出題です。(1),(2)ともに計算量は少し大きくなりますが,しっかりと抜け漏れなく場合分けをすることによって答えを導き出すことが可能です。

まずは(1)です。(2)の前に誘導としてこの問題が置かれていることを念頭に置きつつ,問題の構造を掴みながら解いていきましょう。

第2問(1)

この問題では,8回目の操作で操作A・操作B・操作Cを行った場合の三つの場合に分けて考えることができ,また条件の対称性からどれか一つの場合の数を求めることができれば良いことがわかる。

今回は8回目に操作Aを行ったものとして考える。この時、1~7回目までの操作で操作Aは n1n7)n(1\leq n\leq 7) 回目に1度だけ起こっており、残りの6回では操作Bまたは操作Cが行われていることになる。

操作B・操作Cはそれぞれ最低でも2回は行われていなければならないので、

  1. 操作Bが2回行われる
  2. 操作Bが3回行われる
  3. 操作Bが4回行われる

以上のいずれかであることがわかる

1の時,6回のうち操作Bが行われる2回の選び方は,

6C2=15通り{}_6\mathrm{C}_2 = 15 \text{通り}

2の時,6回のうち操作Bが行われる3回の選び方は,

6C3=20通り{}_6\mathrm{C}_3 = 20 \text{通り}

3の時,6回のうち操作Bが行われる4回の選び方は,

6C4=15通り{}_6\mathrm{C}_4 = 15 \text{通り}

以上より,操作Aが最後に行われる場合の場合の数は (15+20+15)×7=350通り(15+20+15)\times 7 = 350 \text{通り}

求める全ての場合の和は操作B・操作Cが最後に行われた時も含むので,

350×3=1050通り350 \times 3 = 1050 \text{通り}

が答えとなる。

次に,(2)です。(1)で掴んだ問題の構造を捉えつつ解答を進めていきましょう。

第2問(2)

(1)の場合と同様この問題でも,15回目の操作で操作A・操作B・操作Cを行った場合の三つの場合に分けて考えることができ,また条件の対称性からどれか一つの場合の数を求めることができれば良いことがわかる。

今回は15回目に操作Aを行ったものとして考える。この時、1~14回目までの操作で操作Aは m1m13)m(1\leq m\leq 13) 回目と nm<n14)n(m\lt n\leq 14) 回目に2度起こっており、残りの12回では操作Bまたは操作Cが行われていることになる。

操作B・操作Cはそれぞれ最低でも3回は行われていなければならないので、

  1. 操作Bが3回行われる
  2. 操作Bが4回行われる
  3. 操作Bが5回行われる
  4. 操作Bが6回行われる
  5. 操作Bが7回行われる
  6. 操作Bが8回行われる
  7. 操作Bが9回行われる

以上のいずれかであることがわかる

1の時,12回のうち操作Bが行われる3回の選び方は,

12C3=220通り{}_{12}\mathrm{C}_3 = 220 \text{通り}

2の時,12回のうち操作Bが行われる4回の選び方は,

12C4=495通り{}_{12}\mathrm{C}_4 = 495 \text{通り}

3の時,12回のうち操作Bが行われる5回の選び方は,

12C5=792通り{}_{12}\mathrm{C}_5 = 792 \text{通り}

4の時,12回のうち操作Bが行われる6回の選び方は,

12C6=924通り{}_{12}\mathrm{C}_6 = 924 \text{通り}

5の時,12回のうち操作Bが行われる7回の選び方は,

12C7=792通り{}_{12}\mathrm{C}_7 = 792 \text{通り}

6の時,12回のうち操作Bが行われる8回の選び方は,

12C8=495通り{}_{12}\mathrm{C}_8 = 495 \text{通り}

7の時,12回のうち操作Bが行われる9回の選び方は,

12C9=220通り{}_{12}\mathrm{C}_9 = 220 \text{通り}

以上より,操作Aが最後に行われる場合の場合の数は (220×2+495×2+792×2+924)×14C2=358358通り(220 \times 2+495 \times 2+792 \times 2 + 924)\times{}_{14}\mathrm{C}_2 = 358358 \text{通り}

求める全ての場合の和は操作B・操作Cが最後に行われた時も含むので,

358358×3=1075074通り358358 \times 3 = 1075074 \text{通り}

が答えとなる。

この問題は計算量がとても大きく大変ですが、しっかりと場合分けすることによって簡単に問題を解くことができます。 大きな数字になるので計算ミスをしないようにも注意しましょう。

配点 25点

(1)

[10点] 1050 1050

(2)

[15点] 1075074 1075074

平均点 (1) (2)
X 7.2 4.0 3.2
Y 11.4 5.2 6.2
Z 12.7 7.1 5.6