第2問
三角柱 ABC-DEF がある。三角形 ABC の三つの辺の長さはそれぞれ 2,5,34 である。(ただしどの辺がどの長さかはわかっていないとする。)また,辺 CF 上に点 P を取ったところ,三角形 AEP は ∠AEP=2π の直角二等辺三角形となった。
(1) AD⋅EF の値を求めよ。
(2)
三角形 ABC の最大辺はどれか。1,2,3のいずれかで答えよ。
1.AB2.BC3.CA
(3) ∣DA∣∣FP∣ の値を求めよ。
(4) 三角形 AEP の面積を求めよ。
第2問は図形の問題です。ベクトルがメインテーマとなっています。
第2問 (1)
AD⊥EF より,求める値は 0 となる。
ベクトルの直交性から簡単に計算できましたね。
次の問題はどの辺が最大長なのか求める問題です。もっとも大きい角の向かい側にある辺が,その三角形でもっとも長い辺になりますね。この性質を用いましょう。
ではどのように角の大きさを比較するのでしょうか。ここで
34>29=22+52
という不等式に着目すると,三角形 ABC は鈍角三角形であることがわかります。鈍角となる角がもっとも大きい角になることは明らかですね。∠AEP=90∘ であることから直観的に ∠ABC が鈍角のように思えます。
次は鈍角の判定をどのようにすればいいか考えてみましょう。鈍角 θ にたいして cosθ は負の値となります。加えて2つのベクトルの内積は,2つのベクトルの長さと成す角の cos の積になりますから,内積を計算することで鈍角を探すことができます。
また計算の過程で (1) などの直交するベクトルの内積をピックアップし,式を簡単にしていくのがよさそうです。
第2問 (2)
C,P,F はこの順に同一直線状にある。ゆえに正の実数 k を用いて FP=kFC と表すことができる。
BA⋅BC=BA⋅(EP+PF)=BA⋅EP=(BE+EA)⋅EP=BE⋅EP=BE⋅(EF+FP)=BE⋅FP=BE⋅kFC=−EB⋅kEB=−k∣EB∣2<0(AB⊥PF)(∠AEP=90∘)(BE⊥EF)(EB=FC,EB//FC)
こうして BA⋅BC<0 が得られた。これにより
cos∠ABC=∣BA∣∣BC∣BA⋅BC<0
だとわかる。よって ∠ABC は鈍角であり,∠ABC と向かい合う辺 AC が三角形 ABC の最大辺である。
(2) の計算の途中に BE⋅FP が出ていたことを思い出しましょう。このことから BA⋅BC の計算をすれば良いことがわかると思います。
第2問 (3)
DA⋅FP=EB⋅FP=−BE⋅FP=−BA⋅BC(BE//AD)((2)の計算)
三角形 ABC について,余弦定理から
CA2=AB2+BC2−2AB⋅BC⋅cos∠ABC
である。(2) より CA=34 である。AB,BC のどちらが 2,5 となることによらず。AB2+BC2=22+52 である。
加えて AB⋅BC=∣AB∣∣BC∣cos∠ABC を代入すると次の式が得られる。
34=29−2AB⋅BC
こうして AB⋅BC=−25 となり,∣DA∣∣FP∣=25が従う。
三角形 AEP は直角二等辺三角形でした。そのため EA=EP を求められたら良いですね。計算の過程で (3) をうまく活用しましょう。
第2問 (4)
三角形 AEP は直角二等辺三角形である。EA=EP=x とおく。
∣DA∣∣FP∣=EA2−ED2EP2−EF2=x2−4x2−25=25
となる。
辺々を2乗して整理すると
(x2−4)(x2−25)=4254x4−116x2+375=0
であり,これを解くと
x2=458±582−4⋅375=458±2292−375=229±466
AE は DE,EF どちらよりも大きいため x≧5 すなわち x2≧25 であるため
x2=229+466 を得る。
三角形 AEP の面積を S とおく。
S=21EA⋅EP=21x2=429+466
となる。
解答の数値は複雑になりました。このように解答が複雑になったとき,計算ミスをしたのではないかと不安になると思います。日々の演習で計算ミスをしたとき,そのミスの理由を丁寧に考察してみましょう。こうすることで自分がどのようなところでミスをするか,どこを重点的にチェックするとよいのかがわかるようになりますよ。