フィルター回路の原理と種類・用途

更新日時 2021/11/12

フィルター回路の原理・種類・用途について解説します。

目次
  • フィルター回路とは

  • "虚数抵抗"としてのインピーダンス

  • フィルター回路

  • フィルター回路の種類と用途

フィルター回路とは

フィルター回路(濾波器)とは,ある特定の周波数以上/以下の信号を遮断するような回路のことです。 大きく分けて,高周波を透過するハイパスフィルターと,低周波を透過するローパスフィルターの種類があります。 このような特性は,交流の概論で紹介されていた用途に利用され,必要な信号だけを取り出し他のノイズなどを取り除くことができるようになります。

"虚数抵抗"としてのインピーダンス

コイルを含む交流回路コンデンサーを含む交流回路などで見たように,これらは交流の位相を ±π/2\pm \pi/2 だけずらす働きがありました。一方で交流回路を表す微分方程式の解は eiωt \begin{aligned} e^{i\omega t} \end{aligned} のような虚数を用いて書くと便利なことがしばしばあるのでした。 そこでコイルやコンデンサーを以下のような"虚数抵抗"だと見なしてみましょう。 ZL=ωLeiπ/2=iωLZC=1ωCeiπ/2=1iωC \begin{aligned} &Z_{L} = \omega Le^{i\pi/2} = i\omega L \\ &Z_{C} = \frac{1}{\omega C}e^{-i\pi/2} = \frac{1}{i\omega C} \end{aligned} 実はこの記法を用いると,交流回路のインピーダンスが,通常の直列/並列抵抗の計算公式をそのまま用いて絶対値を計算するだけで求まってしまいます。 実際に,RLC回路で学んだRLC直列/並列回路のインピーダンスを計算してみましょう。 直列回路では Z直列=R+iωL+1iωC=R2+(ωL1ωC)2 \begin{aligned} Z_{\text{直列}} = \left| R + i\omega L + \frac{1}{i\omega C} \right| = \sqrt{R^2 + \left(\omega L - \frac{1}{\omega C} \right)^2} \end{aligned} 並列回路では Z並列=11/R+1/iωL+iωC=1(1/R)2+(1/Lω+Cω)2 \begin{aligned} Z_{\text{並列}} = \left| \frac{1}{1/R + 1/i\omega L + i\omega C} \right| =\frac{1}{\sqrt{(1/R)^2+(-1/L\omega+C\omega)^2}} \end{aligned} となって,確かに正しい答えが得られます。

フィルター回路

理想的な交流電源 VV と大きい抵抗 RR の間に,インピーダンスが Z1,Z2Z_1, Z_2 であるような回路素子を挟んだ,次のような回路を考えてみましょう。

filter

図のように電流を書くことにすると,キルヒホッフ則から次のような回路方程式が成り立ちます。 V=I1Z1+I2Z2I1=I2+II2Z2=IR \begin{aligned} &V = I_1Z_1 + I_2Z_2 \\ &I_1 = I_2 + I \\ &I_2Z_2 = IR \end{aligned} これらを用いると,抵抗 RR を流れる電流について I2=GVR2,G=Z2R(Z1+Z2)R+Z1Z22 \begin{aligned} |I|^2 = G \cdot \left| \frac{V}{R} \right|^2, \quad G = \left| \frac{Z_2R}{(Z_1+Z_2)R+Z_1Z_2} \right|^2 \end{aligned} だと分かります。

フィルター回路の種類と用途

では上で考えた回路を流れる電流 II の周波数特性を見ていきましょう。

まず始めに Z1=iωLZ2=1/iωC \begin{aligned} &Z_1=i\omega L \\ &Z_2=1/i\omega C \end{aligned} とした場合を考えてみましょう。 このとき G=R2ω2L2+(ω2LC1)2R2 \begin{aligned} G = \frac{R^2}{\omega^2L^2+(\omega^2LC-1)^2R^2} \end{aligned} となります。 これは ω\omega について少し複雑な関数になっていますが,低周波/高周波極限では G1(ω1/LC)G0(ω1/LC) \begin{aligned} &G\simeq1 \quad (\omega \ll 1/\sqrt{LC}) \\ &G\simeq0 \quad (\omega \gg 1/\sqrt{LC}) \end{aligned} のように振る舞うことが分かります。 つまりこの回路は低周波数を透過し高周波数を遮断する,ローパスフィルターとして機能するのです。

今度は逆に Z1= 1/iωCZ2= iωL \begin{aligned} &Z_1= 1/i\omega C \\ &Z_2= i\omega L \end{aligned} とした場合を考えてみましょう。このとき G=ω4L2C2R2ω2L2+(ω2LC1)2R2 \begin{aligned} G = \frac{\omega^4 L^2C^2R^2}{\omega^2L^2+(\omega^2LC-1)^2R^2} \end{aligned} となります。 これも ω\omega について少し複雑な関数になっていますが,低周波/高周波極限では G0(ω1/LC)G1(ω1/LC) \begin{aligned} &G\simeq0 \quad (\omega \ll 1/\sqrt{LC}) \\ &G\simeq1 \quad (\omega \gg 1/\sqrt{LC}) \end{aligned} のように振る舞うことが分かります。 つまりこの回路は高周波数を透過し低周波数を遮断する,ハイパスフィルターとして機能するのです。

以上の特性を利用すると,交流信号から必要な周波数の信号だけを取り出したり,ノイズを取り除いたりすることができるようになります。

なお,今回のようにインダクタとコンデンサを組み合わせた回路は総じてLCフィルタとも呼ばれます。 他にも,特定の周波数領域だけを透過するバンドパスフィルタや,振幅を変えずに位相だけをずらすオールパスフィルタなどが知られています。

コイルやコンデンサーの特性に注目して交流回路を作ってきた人々賢すぎません???

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