英語の受動態とは|受け身の役割や使い方・作り方の全パターンを例文で丁寧に解説!

この記事では「英語の受動態」をテーマに、その基本的な形、be動詞の変化、否定文・疑問文の作り方、能動態から受動態への変換、注意すべき受動態の表現などについて、豊富な例文を交えながら詳しく解説していきます。

能動態と受動態の形の違い

まずは、能動態と受動態の形の違いを見てみましょう。

(1) He broke the window.
彼は窓を壊した。

(2) The window was broken by him.
その窓は彼によって壊された。

(1)は能動態の文です。ここでは、「動作をする側・作用を及ぼす側 (He)」が主語となり、その後に動詞 (broke) と目的語 (the window) が続いています。

一方、(2)の受動態の文では、「動作を受ける側・作用を及ぼされる側 (The window)」が主語となり、その後に be動詞 (was) と過去分詞 (broken) が続いています。「動作をする側・作用を及ぼす側 (him)」は by の後に置かれています。

受動態の作り方

受動態

能動態の文を受動態にする方法としては、以下のように段階に分けて考えると良いでしょう。

① はじめに、主語を設定します。受動態の主語になる要素は能動態の動詞の目的語、上の画像では the window がそれにあたります。

② 次に、〈be動詞 + 動詞の過去分詞〉の形を作ります。元の能動態が過去形の文なので、be動詞は過去形の was を使います。動詞 broke の過去分詞は broken です。

③ 最後に、byを用いて動作主を表します。能動態の主語 (He) を by の後に持ってきて by him とすることで動作主を表すことができます。

動作主を明示しない場合

受動態の文では、動作主を明示しない場合も少なくありません。

(3) French is spoken in Canada.
カナダではフランス語が話されている。

(4) This stadium was built in 2008.
このスタジアムは2008年に造られた。

(5) Mail is delivered every day.
郵便は毎日配達される。

(3)の場合、動作主は不特定多数の人々なので、明示は困難です

(4)は、実際の動作主がわからないため、明示できないケースです

(5)では、動作主が郵便の配達員であることは明らかなので、あえて明示する必要はありません

このように、実際の英語では「by + 動作主」を含まない受動態が頻繁に使われています。

過去分詞の作り方

受動態で使われる過去分詞の作り方も復習しておきましょう。

多くの動詞は、語尾にedをつけることで過去形や過去分詞にすることができます。このような動詞を規則動詞と言います。

ただし、規則動詞の語尾の形によって、edをそのままつけることができない場合があります。下の表で確認してください。

eで終わる規則動詞 子音字 + y で終わる規則動詞 短母音 + 子音字で終わる規則動詞
d をつける y を i に変えて ed をつける 子音字を重ねて ed をつける
[例] advise\toadvised [例] study\tostudied [例] stop\tostopped

また、規則動詞の他に、過去形や過去分詞になるときに特殊な変化をする不規則変化動詞もあります。下の表は変化のタイプを4つにまとめたものです。

A-A-A型 A-B-C型
例)
put-put-put
cut-cut-cut
hit-hit-hit
例)
break-broke-broken
go-went-gone
speak-spoke-spoken
A-B-B型 A-B-A型
例)
make-made-made
tell-told-told
hear-heard-heard
例)
come-came-come
become-became-become
run-ran-run

be動詞の変化

受動態の文には基本的に〈be動詞 + 過去分詞〉という形が含まれます。このbe動詞は、主語や時制、助動詞などによって様々に変化します。

この項では、be動詞の変化のパターンについて見ていきます。

現在時制の場合

(6) He is loved by his kids.
彼は子供たちに愛されている。

(7) These dogs are kept by Mr. Hayashi.
これらの犬はハヤシさんに飼われている。

現在時制の場合、動詞部分は〈is [are] + 過去分詞〉となります。be動詞の形は主語の単複に合わせます。

過去時制の場合

(8) This song was composed by the famous musician.
この曲はその有名な音楽家によって作曲された。

(9) These pictures were taken by my son last month.
これらの写真は先月息子によって撮られた。

過去時制の場合、動詞部分は〈was [were] + 過去分詞〉となります。

助動詞を使う場合

(10) This homework must be finished by tomorrow.
この宿題は明日までに仕上げなければならない。

(11) Mt. Fuji can be seen from my house.
私の家からは富士山が見える。

mustcan などの助動詞を含む受動態の動詞部分は〈助動詞 + be + 過去分詞〉となります。

未来を表す場合

(12) Her new song will be released in June.
彼女の新しい歌は6月にリリースされるだろう。

(13) A new hotel is going to be built in two years.
新しいホテルが2年以内に建設される予定だ。

~されるだろう」のように未来のことを受動態で表す場合は、will を使って〈will be + 過去分詞〉という形にします。

(13)のように be going to を使う場合は〈be動詞 + going to be + 過去分詞〉とします。

進行形の場合

(14) A new shopping mall is being built now.
新しいショッピングモールが現在建設中だ。

(15) His movie was being made at that time.
その時、彼の映画は制作中だった。

~されているところだ」「~されていたところだ」のように、主語が何らかの動作を受けている最中であることを表す場合は、受動態を進行形にします。

この場合、動詞部分は〈be動詞 + being + 過去分詞〉となります。

完了形の場合

(16) The wall has just been painted.
その壁はちょうどペンキが塗られたところだ。

(17) The car had already been repaired when I came home.
私が家に帰った時には、車はすでに修理されていた。

(18) The goods will have been sold out by the time you get there.
あなたがそこにつくまでに、その商品は売り切れているだろう。

現在完了形の受動態は、(16)のように〈have [has] + been + 過去分詞〉とします。

過去完了形の受動態は、(17)のように〈had been + 過去分詞〉とします。

未来完了形の受動態は、(18)のように〈will have been + 過去分詞〉とします。

否定文の場合

(19) We were not invited to the party.
私たちはそのパーティーに招待されなかった。

(20) Mobile phones must not be used while driving.
運転中に携帯電話を使用してはならない。

受動態の否定文は、(19)のように〈be動詞 + not + 過去分詞〉という形になります。

(20)のように助動詞を使った受動態の否定文の場合は、〈助動詞 + not be + 過去分詞〉となります。

疑問文の場合

Yes / No 疑問文

(21) Were you invited to the party?
あなたはそのパーティーに招待されましたか。

(22) Must this homework be finished by tomorrow?
この宿題は明日までに仕上げなければなりませんか?

(23) Has the wall already been painted?
壁にはもうペンキが塗られましたか?

受動態の Yes / No 疑問文は、(21)のように be動詞文頭に出します。また、助動詞を使う場合は(22)のように助動詞を、完了形の場合は(23)のように has [have / had]文頭に出します。

疑問詞を使った疑問文

(24) Who was invited to the party?
誰がそのパーティーに招待されましたか?

(25) Where was the party held?
そのパーティーはどこで開かれましたか。

(24)のように、疑問詞主語の場合は、疑問詞の後〈be動詞 + 過去分詞〉 を続けます。

(25)のように、where のような疑問副詞を使って、「どこ」「いつ」「なぜ」のように尋ねる場合は、疑問詞の後〈be動詞 + 主語 + 過去分詞〉 を続けます。

第4文型・第5文型の受動態

この項では、第4文型と第5文型の文を受動態にする方法について見ていきます。

なお、これらの文型について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

第4文型(SVOO)の場合

give型の動詞の受動態

Jim gave Mary a present. のようにgive型の動詞を使った第4文型 (SVOO) の文を受動態にする場合は、2つの目的語の「人 (Mary)」 と 「もの (a present)」 を主語にした2種類の文を作ることができます。

(26) Mary was given a present by Jim.
メアリーはジムからプレゼントをもらった。

(27) A present was given to Mary by Jim.
プレゼントがジムによってメアリーに与えられた。

(26)のように「人 (Mary)」を主語にした受動態は、be動詞 + 過去分詞 +「もの」という語順になります。

(27)のように「もの (a present)」を主語にした受動態は、be動詞 + 過去分詞 + to +「人」という形になり、前置詞の to が必要になります。(to の後に人称代名詞が続く場合は to を省略することができます。)

give型の動詞には、他に hand (手渡す)、lend (貸す)、offer (提供する)、pass (手渡す)、pay (支払う)、sell (売る)、send (送る)、show (見せる)、teach (教える)、tell (告げる) などがあります。

buy型の動詞の受動態

Jim bought Mary a present. のようにbuy型の動詞を使った第4文型 (SVOO) の文を受動態にする場合は、基本的に「もの (a present)」を主語にします。「人 (Mary)」を主語にした文はスタイルが悪いとされ、ほとんど目にすることはありません。

(28) A present was bought for Mary by Jim.
プレゼントがジムによってメアリーのために買われた。

× Mary was bought a present by Jim.

(28)のように「もの (a present)」を主語にした受動態は、be動詞 + 過去分詞 + for +「人」という形になり、前置詞の for が必要になります

buy型の動詞には、他に choose (選ぶ)、cook (料理する)、find (見つける)、get (手に入れる)、leave (残す)、make (作る)、play (演奏する)、sing (歌う) などがあります。

第5文型(SVOC)の場合

Tom named the baby Jill. のような第5文型 (SVOC) の文を受動態にする場合は、目的語(O:the baby)主語にして、補語(C:Jill)〈be動詞 + 過去分詞〉の後に続けます。なお、補語を主語にした受動態を作ることはできません。

(29) The baby was named Jill by Tom.
その赤ちゃんはトムによってジルと名付けられた。

受動態の様々な形態

不定詞

受動態を使った不定詞は〈to be + 過去分詞〉という形になります。

(30) The filter needs to be replaced every year.
フィルターは毎年交換される必要がある。

動名詞

受動態を動名詞にすると〈being + 過去分詞〉という形になります。

(31) I don’t like being treated like this.
私はこのように扱われるのが嫌だ。

この例では、being treated が like の目的語になっています。

get / become を使った受動態

「~になる / ~になった」のような変化を表す場合は、be動詞の代わりに getbecome を使います。

(32) The street gradually got [became] crowded.
その通りは徐々に混雑してきた。

remain を使った受動態

「~のままである」を意味する remain がbe動詞の代わりに使われることがあります。

(33) Please remain seated until the bus stops.
バスが止まるまで座ったままでいてください。

have + 目的語 + 過去分詞

〈have + 目的語 + 過去分詞〉という形は、目的語と過去分詞の間の「受け身の関係」を表します。

(34) She had the roof repaired yesterday.
彼女は昨日屋根を修理してもらった。

(35) I had my wallet stolen on my way home.
私は帰り道で財布を盗まれた。

(34)では「屋根が修理された」、(35)では「財布が盗まれた」という受け身の関係が示されています。

「say [believe / know] + that節」の受動態

They say [believe / know] that seven is a lucky number. のように、「言う」「信じる」「知る」などを意味する動詞にthat節が続く文は、次のように2通りの受動態を作ることができます。

(36) It is said [believed / known] that seven is a lucky number.
7は幸運な数字だと言われている [信じられている / 知られている]。

(37) Seven is said [believed / known] to be a lucky number.
7は幸運な数字だと言われている [信じられている / 知られている]。

(36)は仮主語の It を使った受動態、(37)はthat節内の主語である seven を文全体の主語にした受動態です。

群動詞の受動態

群動詞は、まとめて1つの動詞と見なして受動態にします。

(38) I was spoken to by an American today.
今日、私はアメリカ人に話しかけられた。

(39) The cat was taken care of by Jane.
その猫はジェーンに世話をされた。

(38)は speak to (~に話しかける)、(39)は take care of (~の世話をする) という群動詞を使った受動態の例です。以下のような例にも注意してください。

群動詞の受動態の主な例

群動詞 和訳
be brought up 育てられる
be called off 中止される
be carried out 実行される
be laughed at 笑われる
be looked forward to 楽しみにされる
be looked up to 尊敬される
be put off 延期される
be run over 車にひかれる

by以外の前置詞が使われる受動態

受動態に by 以外の前置詞が使われる場合、前置詞の後には「原因・理由・手段・道具・材料・適用範囲」などを表す語が来ます。

(40) The road is covered with snow.
道路は雪で覆われている。

(41) He was killed in the accident.
彼は事故で亡くなった。

他の例としては、be known to everybody (皆に知られている)、be filled with water (水で満たされている)、be made from flour (小麦粉から作られている)、be injured in the accident (事故でけがをする) などがあります。

感情を表す受動態

感情を表す動詞の多くは目的語に「人」をとります。したがって、目的語の「人」が主語になる場合は受動態が使われます。

(42)
The news surprised us.(能動態)
その知らせは私たちを驚かせた。

We were surprised at [by] the news.(受動態)
私たちはその知らせに驚いた。

この場合、前置詞の atby よりも強い驚きを表します

(43)
His work satisfied Mr. White.(能動態)
彼の仕事はホワイト氏を満足させた。

Mr. White was satisfied with his work.(受動態)
ホワイト氏は彼の仕事に満足していた。

感情を表す受動態には、他にも be excited at [about] (~に興奮している)、be confused with [at / about] (~に混乱している)、be shocked at [about] (~にショックを受ける)、be disappointed at [about / in / with] (~にがっかりする) などがあります。

このように、感情を表す受動態の場合、その原因を表す部分では by 以外の前置詞が主に使われます。

日本語では受け身と感じない表現

上でも見たように、英語の受動態には日本語では受け身と感じない表現が多くあります。以下のような例にも注意してください。

表現 和訳
be married to her 彼女と結婚している
be born in Japan 日本で生まれる
be crowded with people 人で混んでいる
be raised in Tokyo 東京で育つ
be dressed in red 赤い服を着ている
be seated 座る
Tips 【受け身の意味を表す能動態】

「~される側」が主語になっていながら、受動態ではなく能動態を使う動詞があります。解釈を間違えないようにしましょう。

  • The book sold well this week.
    その本は今週よく売れた。
  • This meat cuts easily.
    この肉は簡単に切れる。
  • This stain doesn’t wash out easily.
    このシミは洗っても簡単には落ちない。
  • This paper reads well.
    この論文はよく書けている。

動作を表す受動態 / 状態を表す受動態

受動態が表す意味は、「~される」という「動作」と「~されている / ~された状態にある」という「状態」の2つに分けることができます。

(44) This novel was written in 1999.
この小説は1999年に書かれた。

(45) This novel is written in plain Japanese.
この小説は簡単な日本語で書かれている。

(44)は「書かれた」という動作を、(45)は「書かれている」という状態を表しています。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

問1 次の英文を2種類の受動態に書き換えなさい。
Taro sent Hanako a postcard.

問2 次の英文を受動態に書き換えなさい。
My classmates call me Kei.

問3 次の英文を2種類の受動態に書き換えなさい。
They know that he is a great magician.

問4 次の英文を受動態に書き換えなさい。
Everybody looked forward to the game.

解答

問1
Hanako was sent a postcard by Taro. / A postcard was sent to Hanako by Taro.

問2
I am called Kei by my classmates.

問3
It is known that he is a great magician. / He is known to be a great magician.

問4
The game was looked forward to by everybody.

日本語の「れる/られる」と英語の受動態は必ずしも一致しません。日本語の表現を英語に当てはめるのではなく、多くの例文を読んで受動態の感覚を身につけるようにしましょう。