前置詞+関係代名詞|使い方・訳し方、in whichの書き換えまで例文で詳しく解説

関係代名詞の whomwhich は、関係詞節の中で to whomin which のように〈前置詞 + 関係代名詞〉という形をとることがあります。

この記事では、この〈前置詞 + 関係代名詞〉という表現について解説していきます。

前置詞 + 関係代名詞

関係代名詞が前置詞の目的語になる場合、その前置詞を関係代名詞の直前に置くことができます

(1) Do you know the man whom [who, that] Mary spoke to?
→ Do you know the man to whom Mary spoke?
あなたはメアリーが話しかけた男性を知っていますか?

(2) This is the book which [that] I spoke of.
→ This is the book of which I spoke.
これは私が話していた本です。

(1)は、文末の前置詞 to を関係代名詞の直前に移動させた例です。

先行詞が「人」を表す場合、目的格の関係代名詞は whom, who, that の3種類が使えますが、〈前置詞 + 関係代名詞〉の形で使えるものは whom のみになります。

以下の文では、下のものほど格式ばった言い方になります。

関係詞節の格式度(1)
  • Do you know the man Mary spoke to?
  • Do you know the man that Mary spoke to?
  • Do you know the man who Mary spoke to?
  • Do you know the man whom Mary spoke to?
  • Do you know the man to whom Mary spoke?

(2)は、文末の前置詞 of を関係代名詞の直前に移動させた例です。

先行詞が「人以外」を表す場合、目的格の関係代名詞は which と that の2種類が使えますが、〈前置詞 + 関係代名詞〉の形で使えるものは which のみになります。

以下の文では、下のものほど格式ばった言い方になります。

関係詞節の格式度(2)
  • This is the book I spoke of.
  • This is the book that I spoke of.
  • This is the book which I spoke of.
  • This is the book of which I spoke.

前置詞を前に出さない場合

〈動詞 + 前置詞〉や〈形容詞 + 前置詞〉が成句 (熟語) になっている場合、前置詞を切り離して関係代名詞の前に出すことはできません。

(3)
 Is this the girl whom [who, that] you are looking for?
この子はあなたが探している女の子ですか?
× Is this the girl for whom you are looking?

(4)
 I know a few things which [that] he is good at.
私は彼が得意なことをいくつか知っている。
× I know a few things at which he is good.

(3)は look for (~を探す)、(4)は be good at (~が得意だ) という成句の例です。

前置詞を前に出す場合

前置詞と名詞の結びつきが強い表現の影響で、〈前置詞 + 関係代名詞〉の形が好まれることがあります。

(5)
 That is exactly the purpose for which he came here.
それこそが彼がここへ来た目的です。
 That is exactly the purpose which [that] he came here for.

for the purpose は「(〜という)目的で」という意味の定型表現です。forthe purpose の結びつきが強いことから、forwhich の直前に置く形が好まれることになります。

注意すべき〈前置詞 + 関係代名詞〉

この項では、〈前置詞 + 関係代名詞〉を用いた注意すべき表現について見ていきます。

of which による whose の言い換え

所有格の関係代名詞 whose は、先行詞が「人以外」を表す場合に of which を使って言い換えることができます。

(6) They live in a house whose roof is painted red.
彼らは屋根が赤く塗られた家に住んでいる。

(7) They live in a house the roof of which is painted red.
彼らは屋根が赤く塗られた家に住んでいる。

(6)と(7)の文はほぼ同じ意味ですが、(7)の方がフォーマルなニュアンスになります。

ただし、所有格は主に人を対象とするので、人以外が先行詞の場合に whose や of which が使われることはあまりありません。実際の英語では、前置詞の with を使って次のように表現するのが普通です。

(8) They live in a house with a red roof.
彼らは赤い屋根の家に住んでいる。

〈数量を表す表現 / 最上級 + of which [whom]〉

most, all, some, many, both のような「数量を表す表現」や the best, the greatest のような「最上級」に of whichof whom が続いて「そのうちの~」という意味を表す用法があります。

(9) There are many good restaurants in this town, some [most] of which are very expensive.
この町にはおいしいレストランがたくさんあるが、そのうちのいくつか [ほとんど] はとても値段が高い。

(10) I have two brothers, both of whom like baseball.
私には兄が2人いて、どちらも野球が好きです。

(11) I have watched many movies, the best of which is Star Wars.
私は多くの映画を観ましたが、その中ではスターウォーズが一番です。

(12) I have three sons, the tallest of whom is John.
私には息子が3人いて、一番背が高いのがジョンです。

〈前置詞 + whose〉

〈前置詞 + 関係代名詞〉の形で which や whom だけでなく、whose が使われる場合もあります。

(13) I have an uncle living in Kyoto, at whose house I first met Ken.
私には京都に住んでいる叔父がいて、彼の家で初めてケンに会った。

〈前置詞 + 関係代名詞〉による関係副詞の言い換え

関係副詞の wherewhen は〈前置詞 + 関係代名詞〉で言い換えることができます。

(14) This is the house where I lived for ten years.
→ This is the house in which I lived for ten years.
これは私が10年間住んでいた家です。

(15) Monday is the day when I am very busy.
→ Monday is the day on which I am very busy.
月曜日は私がとても忙しい日だ。

なお、関係副詞についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

問1 次の和文を5通りの英文に訳し、カジュアル → フォーマルの順に並べなさい。

  • 彼は私が一緒にテニスをした男性だ。

問2 次の和文を〈前置詞 + 関係代名詞〉を使って英訳しなさい。

  • 私は多くの山に登ったが、そのうちの最高峰が富士山だ。

問3 次の和文を〈前置詞 + 関係代名詞〉を使って英訳しなさい。

  • これは彼が昨日の夜に宿泊した部屋だ。
解答

問1
He is the man I played tennis with.
He is the man that I played tennis with.
He is the man who I played tennis with.
He is the man whom I played tennis with.
He is the man with whom I played tennis.

問2
I have climbed many mountains, the highest of which is Mt. Fuji.

問3
This is the room in which he stayed last night.

目的格の関係代名詞は多くの場合省略されるので、実際の英語で〈前置詞 + 関係代名詞〉の形を目にする機会はあまりありません。