関係代名詞which|主格・目的格の使い方から非制限用法の意味まで徹底解説
関係代名詞は「名詞」と「名詞を説明する節」を結びつける働きをします。この場合の「名詞」と「名詞を説明する節」はそれぞれ「先行詞」「関係詞節」と呼ばれます。
この記事では、「人以外」の名詞を先行詞とする関係代名詞 which について解説していきます。
先行詞とは何か
先行詞とは何か
which について学習する前に、まず先行詞について確認しておきましょう。
先行詞とは上で述べたように「関係詞節によって説明される名詞」のことです。
次の例文を見てください。
(1) This is the supermarket which opened last week.
これが先週開店したスーパーです。
(2) This is the book which I bought yesterday.
これは私が昨日買った本です。
(1)では、名詞の the supermarket が関係代名詞 which で始まる関係詞節 which opened last week によって後ろから修飾されています。
(2)でも同様に、名詞の the book が which で始まる関係詞節 which I bought yesterday によって修飾されています。
このように、英語では、名詞を修飾する節は名詞の後ろに置かれます。この場合の名詞と節をそれぞれ「先行詞」「関係詞節」と呼ぶのです。
先行詞と関係代名詞の組み合わせ
先行詞と関係代名詞の組み合わせ
関係代名詞は、「先行詞」と「関係詞節の中での働き(主格・所有格・目的格)」によって、次のように使い分けられます。
先行詞 | 主格 | 所有格 | 目的格 |
---|---|---|---|
人 | who | whose | whom, who |
人以外 | which | whose | which |
両方 | that | なし | that |
今回は、「人以外」を先行詞とする which について見ていきます。
主格
主格の which は、関係詞節の中で主語の働きをします。
例文で確認してみましょう。
(3) This is a book which explains English grammar well.
これが英文法についてうまく説明している本です。
(4) He lives in a house which was built by his father.
彼は父親によって建てられた家に住んでいる。
(3)では、which が先行詞の a book を修飾する関係詞節 which explains English grammar well の中で主語の働きをしています。
(4)でも同様に、which が関係詞節 which was built by his father の主語になっています。
なお、上の表にもある通り、主格の which は that で置き換えることができます。(that は which よりもカジュアルなニュアンスになります。)
主に that が使われる場合については、こちらの記事の中で説明しています。
目的格
目的格の which は、関係詞節の中で 動詞や前置詞の目的語として働きます。
例文で確認してみましょう。
(5) This is the book which I bought yesterday.
これは私が昨日買った本です。
(6) This is the house which he lived in last year.
これは彼が去年住んでいた家です。
(5)では、which が先行詞の the book を修飾する関係詞節 which I bought yesterday の中で、動詞 bought の目的語の働きをしています。
which は関係詞節の冒頭に置かれるので、which が動詞の目的語になる場合は、その動詞の後ろの目的語の位置には穴が開くことになります。(目的語が bought の後ろにないことを確認してください。)
(6)では、which が関係詞節 which he lived in last year の中で、前置詞 in の目的語の働きをしています。which が前置詞の目的語になる場合も、その前置詞の後ろの目的語の位置には穴が開きます。(目的語が in の後ろにないことを確認してください。)
なお、which が前置詞の目的語になる場合は、〈前置詞 + which〉を節の冒頭に置くこともできます。
(6’) This is the house in which he lived last year.
これは彼が去年住んでいた家です。
主格の場合と同じように、目的格の which も that で置き換えることができます。また、目的格の関係代名詞はしばしば省略されます。
以下の文は、下のものほどフォーマルな言い方になります。
- This is the book I spoke of yesterday.
- This is the book that I spoke of yesterday.
- This is the book which I spoke of yesterday.
- This is the book of which I spoke yesterday.
所有格
上の表にもある通り、所有格の関係代名詞は先行詞に関わらず whose のみになりますが、whose は先行詞が人以外の場合に of which を使って言い換えることができます。
(7) They live in a house whose roof is painted red.
彼らは屋根が赤く塗られた家に住んでいる。
(8) They live in a house the roof of which is painted red.
彼らは屋根が赤く塗られた家に住んでいる。
(7)と(8)の文はほぼ同じ意味ですが、(8)の方がフォーマルなニュアンスになります。
ただし、所有格は主に人を対象とするので、人以外が先行詞の場合に whose や of which が使われることはあまりありません。実際の英語では、前置詞の with を使って次のように表現するのが普通です。
(9) They live in a house with a red roof.
彼らは赤い屋根の家に住んでいる。
制限用法と非制限用法
制限用法と非制限用法
which の用法には、先行詞を限定する「制限用法」と、先行詞について補足的に説明する「非制限用法」があります。
非制限用法の場合、which の前にコンマが置かれます。
(制限用法)
He has two watches which his father gave him.
彼は父親からもらった2つの時計を持っている。
(非制限用法)
He has two watches, which his father gave him.
彼は2つの時計を持っていて、それらは父親からもらったものだ。
制限用法では、先行詞の two watches が関係詞節によって直接修飾され、「父親からもらった」という内容に限定されています。この場合、「彼」は父親からもらっていない別の時計も持っている可能性があります。
一方、非制限用法では、コンマの前で「彼は2つの時計を持っている」という内容が完結しています。(つまり時計はこの2つしか持っていないことになります。)関係詞節は先行詞の two watches を直接修飾するのではなく、先行詞について補足的に説明しています。
先行詞が名詞以外の場合
非制限用法の which は、名詞だけでなく、直前の文全体やその文中の句や節を先行詞とすることがあります。
(10) He tried to fix his car, which seemed impossible to me.
彼は車を修理しようとしたが、私にはそれは不可能と思われた。
(11) He said he liked her, which was not true.
彼は彼女のことが好きだと言ったが、それは本当ではなかった。
(12) He passed the exam, which is not surprising.
彼は試験に合格したが、それは驚くべきことではない。
(10)では to fix his car という不定詞句が、(11)では he liked her という節が、(12)では、直前の文 He passed the exam 全体が先行詞となっています。
なお、非制限用法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
この記事に関連するQ&A
関係形容詞の which
関係形容詞の which
関係形容詞とは、直後に名詞を伴ってその名詞を修飾する関係詞のことです。
(13) The teacher told Tom to study harder, which advice he didn’t follow.
先生はトムにもっと勉強するように言ったが、彼はそのアドバイスに従わなかった。
このように、関係形容詞は直後の名詞 (advice) を修飾する形容詞の働きと、その名詞を前の節に結びつける接続詞の働きを兼ねています。
関係形容詞の詳しい説明についてはこちらの記事をご覧ください。
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
問1 次の和文を4通りの英文に訳し、カジュアル → フォーマルの順に並べなさい。
- これは彼らが住んでいる家だ。
問2 次の英文を日本語に訳しなさい。
- He passed the exam, which I expected.
問1
- This is the house they live in.
- This is the house that they live in.
- This is the house which they live in.
- This is the house in which they live.
問2
- 彼は試験に合格したが、それは予想通りだった。
目的格の関係代名詞はしばしば省略されますが、“the book I bought” のように、名詞の後に「主語 + 動詞」が続いている文を見たら、関係代名詞が省略されていると考えてください。