制限用法・非制限用法|表現や意味の違い・コンマを用いた関係詞の訳し方を解説

関係代名詞関係副詞は「名詞」と「名詞を説明する節」を結びつける働きをします。この場合の「名詞」と「名詞を説明する節」はそれぞれ「先行詞」「関係詞節」と呼ばれます。

次の2つの文で、先行詞と関係詞節の関係を見てみましょう。

(1) He has two watches which his father gave him.

(2) He has two watches, which his father gave him.

(1)の文では、先行詞の two watches と関係詞節の which his father gave him が直接つながっていますが、(2)の文では、両者の間にコンマが置かれています。

(1)のように、関係詞節の前にコンマを置かない用法を「制限用法」(または「限定用法」)、(2)のように関係詞節の前にコンマを置く用法を「非制限用法」(または「非限定用法」)と呼びます。

この記事では、この2つの用法について詳しく解説していきます。

制限用法と非制限用法の違い

制限用法」は、関係詞節が先行詞を直接修飾することで、先行詞の対象を絞り込む用法です。

一方、「非制限用法」は、関係詞節が先行詞の対象を絞り込むのではなく、先行詞に対する補足説明をする用法です。

冒頭の例文を使って、2つの用法の意味の違いを見てみましょう。

制限用法と非制限用法

(制限用法)
He has two watches which his father gave him.
彼は父親からもらった2つの時計を持っている。

(非制限用法)
He has two watches, which his father gave him.
彼は2つの時計を持っていて、それらは父親からもらったものだ。

制限用法では、先行詞の two watches が関係詞節によって直接修飾され、「父親からもらった」という内容に限定されています。この場合、「彼」は父親からもらっていない別の時計も持っている可能性があります。

一方、非制限用法では、コンマの前で「彼は2つの時計を持っている」という内容が完結しています。(つまり時計はこの2つしか持っていないことになります。)関係詞節は先行詞の two watches を直接修飾するのではなく、先行詞について補足的に説明しています。

非制限用法の注意点

非制限用法では、目的格の関係代名詞でも省略できません。また、関係代名詞の that は使用できません。

× He has two watches, that his father gave him.

文中に挿入される関係詞節

非制限用法の関係詞節は、文中に挿入することができます。その場合、節の前後にコンマを打ちます。

(3) Mr. Smith, who is a lawyer, is a friend of mine.
スミスさんは弁護士で、私の友人だ。

(4) This coat, which I bought ten years ago, is now old-fashioned.
このコートは10年前に買ったもので、今ではスタイルが古い。

(5) Sabae, where I bought these glasses, is in Fukui Prefecture.
鯖江は私がこの眼鏡を買ったところで、福井県にあります。

制限用法に使えない先行詞

制限用法は先行詞の対象を絞り込む用法のため、my father や固有名詞 Mr. Smith のように対象が一つに限定されるものには使えません。

× Mr. Smith who is a lawyer is a friend of mine.

非制限用法の解釈

非制限用法の関係詞節が文末に置かれた場合、その表す意味は文脈から判断することになります。なお、文末で使用される非制限用法を「継続用法」と呼ぶこともあります。

and の意味で解釈する場合

ほとんどの非継続用法は、and の意味で解釈することができます。この場合、関係代名詞は〈and + 代名詞〉、関係副詞は〈and + 副詞〉で表すことができます。

(6) I have an older brother, who goes to college.
= I have an older brother, and he goes to college.
私には兄が一人いて、大学に通っている。

(7) I received a notice from school, which I showed to my mother.
= I received a notice from school, and I showed it to my mother.
私は学校から通知を受け取り、それを母に見せた。

(8) We arrived in Kyoto, where we stayed for a week.
We arrived in Kyoto, and we stayed there for a week.
私たちは京都に到着し、そこで1週間滞在した。

(9) I was cooking dinner at seven, when my phone rang.
= I was cooking dinner at seven, and then my phone rang.
私が7時に夕食を作っていると、その時電話が鳴った。

and 以外の意味で解釈する場合

文脈によっては、非制限用法を and 以外の意味(but, because など)で解釈することがあります。

(10) He made some proposals, which all the members rejected.
= He made some proposals, but all the members rejected them.
彼はいくつかの提案をしたが、委員たちは全員それを拒否した。

(11) Few people could follow the speaker, who spoke too fast.
= Few people could follow the speaker, because he spoke too fast.
講師の話が分かった人はわずかだった。それは彼があまりにも早口だったからだ。

非制限用法の which

直前の句・節・文を先行詞とする用法

非制限用法の which は、直前の文全体やその文中の句や節を先行詞とすることがあります。

(12) He tried to fix his car, which seemed impossible to me.
彼は車を修理しようとしたが、私にはそれは不可能と思われた。

(13) He said he liked her, which was not true.
彼は彼女のことが好きだと言ったが、それは本当ではなかった。

(14) He passed the exam, which is not surprising.
彼は試験に合格したが、それは驚くべきことではない。

(12)では to fix his car という不定詞句が、(13)では he liked her という節が、(14)では、直前の文 He passed the exam 全体が先行詞となっています。

直後に名詞を伴う用法

非制限用法の which には、直後に名詞を伴ってその名詞を修飾する用法があります。

(15) The teacher told Tom to study harder, which advice he didn’t follow.
先生はトムにもっと勉強するように言ったが、彼はそのアドバイスに従わなかった。

このような which は、直後の名詞を修飾する形容詞の働きと、その名詞を前の節に結びつける接続詞の働きを兼ねており、「関係形容詞」と呼ばれます。

関係形容詞の詳しい説明についてはこちらの記事をご覧ください。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の文を和訳しなさい。
1.He has two daughters who live in the U.S.
2.He has two daughters, who live in the U.S.
3.I couldn’t solve the problem, which was very difficult.
4.At last we got to the hotel, where we took a rest.
5.He was rather drunk, which he denied.

解答

1.彼にはアメリカに住んでいる2人の娘がいる。
(アメリカに住んでいない娘がほかにいる可能性がある。)

2.彼には娘が2人いて、彼女たちはアメリカに住んでいる。

3.私はその問題が解けなかった。それはその問題がとても難しかったからだ。
(非制限用法を because の意味で解釈する。)

4.私たちはようやくホテルにたどり着き、そこで一休みした。

5.彼はかなり酔っていたが、彼はそのことを否定した。

非制限用法の文を話す場合は、コンマの部分で間を置きます。関係詞節が文中に挿入されている場合は、節の前後で間を置くことになります。