補語とは|目的語との違い・見分け方や補語の種類を受験向け練習問題とともに解説

英語の文の要素に、補語と呼ばれるものがあります。

この記事では、英語学習の初期につまずきやすい項目である「補語」をテーマに、他の要素との違いや見分け方について解説していきます。

補語(complement)とは

補語とは、端的に言うと「主語や目的語を補って、その性質や状態を説明する語」のことです。

第2文型と第5文型における補語(C)

補語は、英語の5文型のうち第2文型(SVC)と第5文型(SVOC)に登場します。

英語の5文型についてまだ学習していない方は、以下の記事を先に読んで頂くことをお勧めします。

第2文型(SVC)の例文

主語の性質・状態を説明する補語は、第2文型(SVC)で登場します。以下の例文の太字部分が補語(C)になります。

(1) My sister is a college student.
私の姉は大学生だ。

(2) This song is popular.
この歌は人気がある。

(3) David became a teacher.
デイビッドは教師になった。

(4) You look happy.
君は嬉しそうだ。

第2文型は、S(主語)・V(動詞)・C(補語)で構成され、CがSの性質や状態を表しています。この関係を「S = C」いう式で表すことにします。

例えば(1)の例文であれば「My sister = a college student」となっています。

第2文型(SVC)の補語(C)は、主語を説明する補語なので「主格補語」と呼ばれます。

第5文型(SVOC)の例文

目的語の性質・状態を説明する補語は、第5文型(SVOC)で登場します。以下の例文の下線部が目的語(O)、太字部分が補語(C)になります。

(5) He made Mary angry.
彼はメアリーを怒らせた。

(6) They call me Jack.
彼らは私をジャックと呼ぶ。

(7) We elected Tom president.
私たちはトムを大統領に選んだ。

(8) You’ll find it true.
あなたはそれが真実だと分かるだろう。

第5文型は、S(主語)・V(述語)・O(目的語)・C(補語)で構成され、「SがOをCの状態にVする」といった意味になります。ここでは「O = C」となっており、CがOの性質・状態を表しています。

例えば(5)の例文では、「Mary = angry」となっています。

第5文型(SVOC)の補語(C)は、目的語を説明する補語なので「目的格補語」と呼ばれます。

形容詞が補語となる場合

補語になるのは(広義の)形容詞・名詞です。

ここでは形容詞が補語となる場合について説明します。

限定用法と叙述用法

形容詞には主に以下の2種類の用法があります。

  1. 限定用法…前から名詞を修飾する
    例)This is a big egg. これは大きな卵です。
  2. 叙述用法…後ろから名詞を修飾する
    例)This egg is big. この卵は大きい。

限定用法は名詞を直接修飾する用法で、日本語では「〜い◯◯」「〜な◯◯」のようになります。

叙述用法は述語として名詞の性質・状態を説明する用法で、日本語では「◯◯は〜だ。」のようになります。

動詞の観点からの説明

第2文型で形容詞が補語となる場合、それは常に叙述用法となります。

(9) He is tall.
彼は背が高い。

(10) She became famous.
彼女は有名になった。

第2文型の文から補語を取り除くと、(9)は “He is.”、 (10)は “She became.” となり意味が通りません。

つまり動詞の観点から見ると、単独では不完全な動詞が、「補う語」つまり補語の力を借りて述語を作り、主語の名詞を修飾しているということになります。

広義の形容詞

分詞や前置詞句も、広義の形容詞として補語になります。

(11) I kept him waiting for a while.
私は彼をしばらく待たせた。

(12) I heard my name called.
私は自分の名前が呼ばれるのが聞こえた。

(13) The website is in preparation.
ウェブサイトは準備中だ。

(11)は第5文型の文です。waiting は現在分詞で、him を説明する補語になっています。

(12)も第5文型の文です。called は過去分詞で、my name を説明する補語になっています。

(13)は第2文型の文です。in preparation は前置詞句(前置詞+名詞)で、The website を説明する補語になっています。

名詞が補語となる場合

次に、名詞が補語となる場合について説明します。

広義の名詞

動名詞(句)や to不定詞(句)、節なども広義の名詞として補語になります。

(14) My hobby is watching movies.
私の趣味は映画をみることです。

(15) The important thing is to get results.
大事なのは結果を出すことだ。

(16) His strength is that he is a good talker.
彼の長所は話が上手いところだ。

(14)は、動名詞句(動名詞+目的語)の watching movies が My hobby を説明している第2文型の文です。

(15)は、to不定詞句(to不定詞+目的語)の to get results が The important thing を説明している第2文型の文です。

(16)は、that節の that he is a good talker が His strengthを説明している第2文型の文です。

補語と目的語の違い・見分け方

補語と目的語には以下の2つの違いがあるので、これらをもとに見分けましょう。

①主語や目的語を説明しているか

上述のように、補語は主語や目的語を説明しますが、目的語はそれらを説明しません。

(17) He became a singer.
彼は歌手になった。

(18) He likes the singer.
彼はその歌手が好きだ。

(17)では「He = a singer」なので、a singer は補語です。

(18)では「He = the singer」が成り立たないので、the singer は目的語です。

②品詞の違い

補語になるのは広義の形容詞か名詞ですが、目的語になるのは広義の名詞のみです。

見分けたい部分が広義の形容詞であった場合、それは補語ということになります。

【発展】準補語(擬似補語)とは

補語がなくても文が成立する場合に、主語や目的語の説明を補強するために補語のような役割の語が加えられることがあります。これを「準補語(または擬似補語)」と呼びます。

準補語にも、主語を説明するものと目的語を説明するものが存在します。

準主格補語

準主格補語は、主語についての説明を補強する準補語です。

(19) She died young.
彼女は若くして亡くなった。

(20) The sun shines bright.
太陽は明るく輝く。

これらは一見、第2文型(SVC)の文に見えますが、そうではありません。

die や shine は第1文型(SV)をとる動詞なので、young や bright などの語がなくても文として成立します。

このように、準主格補語は、第1文型の意味を補強する修飾語の役割を果たします。

準目的格補語

準目的格補語は、目的語についての説明を補強する準補語です。

(21) He drinks his coffee black.
彼はコーヒーをブラックで飲む。

(22) I ate the meat raw.
私は生の肉を食べた。

これらは一見、第5文型(SVOC)の文に見えますが、そうではありません。

drink や eat は第3文型(SVO)をとる動詞なので、black や raw などの語がなくても文として成立します。

このように、準目的格補語は、第3文型の意味を補強する修飾語の役割を果たします。

練習問題

練習問題で定着度を確認しましょう。

練習問題

問1 補語が用いられている文を選び、その部分を指摘しなさい。
a. You should stay at the hotel.
b. Please stay happy.

問2 補語が用いられている文を選び、その部分を指摘しなさい。
a. I made her sad.
b. I made her a cake.

問3 補語が用いられている文を選び、その部分を指摘しなさい。
a. I found the cat easily.
b. I found the cat a place to live.
c. I found the cat friendly.

解答

問1
b.
Please stay happy.
(解説)
“You stay happy.”(SVC) の命令文で、主語(S)の You が省略されている。「You = happy」である。
a.の文は第1文型(SV)。

問2 
a.
I made her sad.
(解説)
「her = sad」の第5文型。
b.の文は第4文型(SVOO)。

問3 
c.
I found the cat friendly.(私はその猫が人懐っこいと分かった。)
(解説)
「cat = friendly」の第5文型。
a.の文は第3文型(SVO)で、b.の文は第4文型(SVOO)。

この記事では、英文法書にしたがって、補語は「主語や目的語とイコールの関係」と説明しました。しかし、A is B では「AならばB」は成り立っても「BならばA」が成り立たないのでイコールではないよなあ…と筆者は思っています。