先行詞とは|見つけ方からwhich・thatなど関係代名詞の選び方まで解説

関係代名詞は「名詞」と「名詞を説明する節」を結びつける働きをします。この場合の「名詞」と「名詞を説明する節」はそれぞれ「先行詞」「関係詞節」と呼ばれます。

この記事では、関係代名詞を理解する上で欠かせない先行詞について、例文を交えながら解説していきます。

なお、関係副詞の先行詞に関してはこちらの記事をご覧ください。

先行詞とは何か

先行詞とは上で述べたように「関係詞節によって説明される名詞」のことです。

例文で確認してみましょう。

(1) I have a friend who lives in Kyoto.
私には京都に住んでいる友人がいる。

(2) This is the book which I bought yesterday.
これは私が昨日買ったです。

(1)では、名詞の a friend が関係代名詞 who で始まる関係詞節 who lives in Kyoto によって後ろから修飾されています。

(2)でも同様に、名詞の the book が which で始まる関係詞節 which I bought yesterday によって修飾されています。

このように、英語では、名詞を修飾する節は名詞の後ろに置かれます。この場合の名詞と節をそれぞれ「先行詞」「関係詞節」と呼ぶのです。

先行詞の見つけ方

次に、先行詞の見つけ方について見ていきます。

(2) This is the book which I bought yesterday.

(2’) This is the book I bought yesterday.

(2") This is the book about Japanese history I bought yesterday.

例文(2)のように関係代名詞の前に名詞が1つしかない場合は、その名詞(この場合は the book)が先行詞となります。

例文(2’)では関係代名詞の which が省略されています。この文の “the book I bought” のように、名詞の後に「主語 + 動詞」が続いている文を見たら、関係代名詞が省略されていると考えてください。そこに気がつけば、先行詞は「主語 + 動詞」の前にある名詞であると判断できます。

例文(2")でも “history I bought” のように名詞の後に「主語 + 動詞」が続いているので、関係代名詞が省略されていることが分かります。ただし、“I bought” の先行詞は直前の名詞の history ではなく、更に前にある名詞の the book となります。(「私が昨日買った」ものは「本」であり「歴史」ではありません。)

このように、「先行詞は必ずしも関係詞節の直前にあるとは限らない」ということを頭に入れておきましょう。

先行詞と関係代名詞の組み合わせ

関係代名詞は、「先行詞」と「関係詞節の中での働き(主格・所有格・目的格)」によって、次のように使い分けられます。なお、目的格の関係代名詞はしばしば省略されます

先行詞 主格 所有格 目的格
who whose whom, who
人以外 which whose which
両方 that なし that

先行詞が人

(3) I have a friend who [that] loves tennis.
私にはテニスが大好きな友人がいる。

(4) This is the girl whose mother visited our school yesterday.
こちらが昨日母親が私たちの学校を訪問した少女です。

(5) This is the man whom [who, that] I met yesterday.
こちらが私が昨日会った男性です。

(3)~(5)のように先行詞が人の場合、関係代名詞は who [that](主格)、whose(所有格)、whom [who, that](目的格)が用いられます。

that は who や whom よりもカジュアルなニュアンスになります。

なお、目的格の関係代名詞は次のように使い分けます。

目的格の関係代名詞の使い分け

以下の文は、下のものほどフォーマルな言い方になります。

  • This is the man I met yesterday.
  • This is the man that I met yesterday.
  • This is the man who I met yesterday.
  • This is the man whom I met yesterday.

先行詞が人以外

(6) This is the supermarket which [that] opened last week.
これが先週開店したスーパーです。

(7) This is a computer whose speed is faster than mine.
これは私のよりスピードが速いコンピューターです。

(8) This is the watch which [that] my father gave me.
これは父が私にくれた時計です。

(6)~(8)のように先行詞が人以外の場合、関係代名詞は which [that](主格)、whose(所有格)、which [that](目的格)が用いられます。

that は which よりもカジュアルなニュアンスになります。

関係代名詞 that が選ばれる場合

関係代名詞の that は、先行詞が人の場合・人以外の場合の両方で使うことができますが、特に以下のような場合に選ばれます。

1.先行詞が the only、the first [second, third, …]、the same、〈the + 最上級〉などによって限定される場合

(9) This is the only watch that I have.
これは私が持っている唯一の時計です。

(10) This is the first accident that has occurred in this plant.
これはこの工場で発生した最初の事故です。

(11) This is the best movie that I have ever seen.
これは私が今までに見た最高の映画です。

2.先行詞が all、some、any、every、no などを伴う場合

(12) All the books that are listed can be borrowed.
リストに載っているすべての本は借りることができる。

(13) There are some things that are impossible.
不可能なことがいくつかある。

(14) There is no medicine that cures this disease.
この病気を治す薬はない。

3.先行詞が「人 + 人以外」の場合

(15) He talked about people and things that are important to him.
彼は自分にとって大切な人々と物事について話した。

4.先行詞が疑問詞の who の場合

(16) Who that knows him will trust him?
彼を知っている人の中で誰が彼を信用するだろうか?

5.関係代名詞が関係詞節の中で補語になる場合

(17) Mary is no longer a noisy child (that) she used to be.
メアリーはもう以前のような騒がしい子ではない。

この文において、関係代名詞の that は関係詞節の中で be の補語になっています。なお、このように補語になる that は省略されるのが普通です。

先行詞が名詞以外の場合

関係代名詞の which は、名詞だけでなく、直前の文を先行詞とすることがあります。

(18) He passed the exam, which is not surprising.
彼は試験に合格したが、それは驚くべきことではない。

(19) He said he liked her, which was not true.
彼は彼女のことが好きだと言ったが、それは本当ではなかった。

(18)(19)では、which の直前の文全体が先行詞となっています。このような用法は「非制限用法」と呼ばれます。

「非制限用法」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

問題

以下の文の空所に適切な関係代名詞を入れなさい。

(1) Newton was one of the greatest man (  ) ever lived.

(2) The man and his dog (  ) had disappeared were found later.

(3) He is not the man (  ) he was 10 years ago.

(4) He said he was ill, (  ) was a lie.

解答

(1) that
先行詞の man が最上級の greatest で修飾されている。

(2) that
先行詞が「人 (the man) + 人以外 (his dog)」となっている。

(3) that
関係代名詞の that は関係詞節の中で was の補語になっている。

(3) which
関係代名詞の直前の文全体が先行詞になっている。

「先行詞」については「関係副詞」の記事でも取り上げていますので、そちらも参照して理解を深めてください