関係代名詞の目的格とは|whom・whichの選び方や主格との違いまで例文で解説

関係代名詞は「名詞」と「名詞を説明する節」を結びつける働きをします。この場合の「名詞」と「名詞を説明する節」はそれぞれ「先行詞」「関係詞節」と呼ばれます。

この記事では、関係詞節の中で目的語として働く「目的格の関係代名詞」について解説していきます。

目的格の関係代名詞とは

目的格の関係代名詞は、関係詞節の中で 動詞前置詞目的語として働きます

例文で確認してみましょう。

(1) This is the book which I bought yesterday.
これは私が昨日買った本です。

(2) This is the house which he lived in last year.
これは彼が去年住んでいた家です。

(1)では、関係代名詞の which が、先行詞の the book を修飾する関係詞節 which I bought yesterday の中で、動詞 bought の目的語の働きをしています。

関係代名詞は関係詞節の冒頭に置かれるので、関係代名詞が動詞の目的語になる場合は、その動詞の後ろの目的語の位置には穴が開くことになります。(目的語が bought の後ろにないことを確認してください。)

(2)では、関係代名詞の which が、関係詞節 which he lived in last year の中で、前置詞 in の目的語の働きをしています。関係代名詞が前置詞の目的語になる場合も、その前置詞の後ろの目的語の位置には穴が開きます。(目的語が in の後ろにないことを確認してください。)

なお、関係代名詞が前置詞の目的語になる場合は、〈前置詞 + 関係代名詞〉を節の冒頭に置くこともできます。

(2’) This is the house in which he lived last year.
これは彼が去年住んでいた家です。

主格の関係代名詞との違い

ここで目的格と主格の関係代名詞を比べてみましょう。

目的格 vs. 主格

(目的格)
This is the book which I bought yesterday.
これは私が昨日買った本です。

(主格)
This is a book which explains computers well.
これがコンピューターについてうまく説明している本です。

目的格の which は関係詞節内の動詞 bought の目的語の働きをしていますが、主格の which は関係詞節内の動詞 explains の主語になっています。

主格の関係代名詞については、こちらの記事で詳しく説明しています。

先行詞と関係代名詞の組み合わせ

関係代名詞は、「先行詞」と「関係詞節の中での働き(主格・所有格・目的格)」によって、次のように使い分けられます。

先行詞 主格 所有格 目的格
who whose whom, who
人以外 which whose which
両方 that なし that

今回は、この中の「目的格」について見ていきます。なお、目的格の関係代名詞はしばしば省略されます

先行詞が人

(3) This is the man whom [who, that] I met yesterday.
こちらが私が昨日会った男性です。

(4) Do you know the man whom [who, that] Mary spoke to?
あなたはメアリーが話しかけた男性を知っていますか?

(4’) Do you know the man to whom Mary spoke?
あなたはメアリーが話しかけた男性を知っていますか?

(3)(4)のように先行詞が人の場合、目的格の関係代名詞は whom / who / that のいずれかが用いられます。

(4’)のように〈前置詞 + 関係代名詞〉を節の冒頭に置く場合は whom のみが使われます。

目的格の関係代名詞の使い分け(1)

以下の文は、下のものほどフォーマルな言い方になります。

  • This is the man I met yesterday.
  • This is the man that I met yesterday.
  • This is the man who I met yesterday.
  • This is the man whom I met yesterday.
目的格の関係代名詞の使い分け(2)

以下の文は、下のものほどフォーマルな言い方になります。

  • Do you know the man Mary spoke to?
  • Do you know the man that Mary spoke to?
  • Do you know the man who Mary spoke to?
  • Do you know the man whom Mary spoke to?
  • Do you know the man to whom Mary spoke?

先行詞が人以外

(5) This is the watch which [that] my father gave me.
これは父が私にくれた時計です。

(6) This is the book which [that] I spoke of yesterday.
これが私が昨日お話しした本です。

(6’) This is the book of which I spoke yesterday.
これが私が昨日お話しした本です。

(5)(6)のように先行詞が人以外の場合、目的格の関係代名詞は which / that のいずれかが用いられます。

(6’)のように〈前置詞 + 関係代名詞〉を節の冒頭に置く場合は which のみが使われます。

目的格の関係代名詞の使い分け(3)

以下の文は、下のものほどフォーマルな言い方になります。

  • This is the book I spoke of yesterday.
  • This is the book that I spoke of yesterday.
  • This is the book which I spoke of yesterday.
  • This is the book of which I spoke yesterday.

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の和文を5通りの英文に訳し、カジュアル → フォーマルの順に並べなさい。

  • 彼女は私が一緒に映画を観た女性です。
解答
  • She is the woman I saw a movie with.
  • She is the woman that I saw a movie with.
  • She is the woman who I saw a movie with.
  • She is the woman whom I saw a movie with.
  • She is the woman with whom I saw a movie.

目的格の関係代名詞はしばしば省略されますが、whom, who, which, that のニュアンスの違いはしっかり押さえておきましょう。