英語の比較級・最上級|比較表現の基本的な作り方と違いを例文でわかりやすく解説!

英文法では、形容詞・副詞の程度を比べることを「比較」と呼びます。

2つのものを比べてその程度が同じ場合は、形容詞・副詞の「原級」が使われ、一方が他方より程度が上の場合は「比較級」が使われます。3つ以上のものを比べてその程度が最も高いものは「最上級」で表します。

この記事では、比較級最上級を使った比較表現について解説していきます。

原級を使った比較表現についてはこちらの記事をご覧ください。

比較級を用いた比較

A と B の程度を比較して A の方が上回る場合、程度を表す形容詞・副詞を〈 A … 比較級 than B 〉という構文で使用します。この構文は「A は B より~だ」という意味を表します。

(1) This watch is more expensive than that one (is).
この腕時計はあの腕時計より値段が高い。

(2) I can run faster than John (can).
私はジョンより速く走れる。

(1)は形容詞の比較級、(2)は副詞の比較級の例です。文末の is や can は、文の前半で1度使われたため、省略することができます。

than の後が代名詞1語になる場合

文末の動詞・助動詞の省略により、than の後が代名詞1語になる場合は、その語が主語であっても目的格を使うのが普通です。

  • He is taller than me.
    彼は私より背が高い。

否定文

比較級を用いた否定文は〈 A … not 比較級 than B 〉という形をとり、「A は B より~ではない(A ≦ B)」という意味を表します。

(3) This watch is not more expensive than that one (is).
この腕時計はあの腕時計より値段が高くはない。

(4) I cannot run faster than John (can).
私はジョンより速くは走れない。

(3)は「この腕時計はあの腕時計と同じくらいの値段かそれより安い」、(4)は「私はジョンと同じくらい速く走れるかそれより遅い」という意味になります。

less を用いた比較

「A は B ほど~でない(A < B)」という意味を表す場合は〈A … less 原級 than B〉という構文を使います。

なお、この表現は〈A … not as [so] 原級 as B〉とほぼ同じ意味を表します。

(5) This watch is less expensive than that one (is).
= This watch is not as [so] expensive as that one (is).
この腕時計はあの腕時計ほど値段が高くない。

比較対象に注意

比較級を用いた文では、比較可能な対象同士を比較する必要があります。そのため、次のような文は誤りとなります。

× The population of China is larger than Japan.
(中国の人口は日本よりも多い。)

この文の「日本」は「中国の人口」の比較対象としては不適切です。「中国の人口」と比較すべき対象は「日本の人口」なので、正しい文は次のようになります。

 The population of China is larger than that of Japan.
(中国の人口は日本の人口よりも多い。)

倍数表現〈 X times 比較級 than … 〉

形容詞・副詞の比較級に「倍数(X倍)」を表す “X times” を加えて〈X times 比較級 than …〉とすると、「…のX倍~だ」という意味を表すことができます。なお、「2倍」の場合は two times の代わりに twice を使います。

(6) This computer is twice [three times] faster than that one (is).
このコンピューターはあのコンピューターの2倍 [3倍] 速い。

差の程度を表す

比較級の前後に、副詞(句)や数的表現を置くことで、差の大小や具体的な差の大きさを表すことができます。

(7) He is much richer than me.
彼は私よりずっと金持ちだ。

(8) She can speak English a little better than me.
彼女は私より少しだけうまく英語が話せる。

(9) I am two years older than Ken (is).
私はケンより2歳年上だ。

(10) Mike is taller than me by 10cm.
マイクは私より10cm背が高い。

比較級を修飾する副詞(句)には以下のようなものがあります。

副詞(句) 意味
much はるかに(ずっと)
far はるかに(ずっと)
a lot はるかに(ずっと)
a great deal はるかに(ずっと)
even さらにいっそう
still さらにいっそう
rather かなり
considerably かなり
significantly 著しく
substantially 相当に
somewhat 幾分
a little 少し
a bit 少し

〈比較級 and 比較級〉

〈比較級 and 比較級〉「ますます~」という意味になり、形容詞・副詞の程度が次第に増加することを表します。more型の比較級の場合は〈more and more 原級〉という形になります。

(11) It is getting colder and colder.
ますます寒くなっている。

(12) The world is becoming more and more complex.
世界はますます複雑になっている。

(11)は er型、(12)は more型の比較級の例です。

なお、程度が次第に減少する場合は〈less and less 原級〉という形で表します。

(13) This TV program is becoming less and less popular.
この番組はますます人気がなくなっている。

〈the 比較級 ~, the 比較級 …〉

〈the 比較級 ~, the 比較級 …〉「~すればするほどますます…」という意味を表します。

(14) The older we get, the wiser we become.
私たちは年をとればとるほどますます賢くなる。

(15) The more products they sell, the more money they make.
多くの製品を売れば売るほど彼らにはますます多くのお金が入る。

(15)は形容詞の比較級が直後に名詞を伴う例です。このような場合、次のように名詞と形容詞を離すことはできません。

× The more they sell products, …

同一対象内の比較

同一対象の異なった性質を比べて「A よりはむしろ B だ」という意味を表す場合、〈more B than A〉〈less A than B〉という形を使います。

(16) She is more shy than cold.
= She is less cold than shy.
彼女は冷たいというよりはむしろ内気だ。

この more shy の例のように、同一対象内の比較の場合は、通常は語尾が er となる比較級でも〈more + 原級〉の形にします

no を使った比較表現

この項では、否定語の no と比較級を組み合わせた表現を紹介します。

〈no 比較級 than ~〉

〈no 比較級 than ~〉は、比較級を no で否定することにより「~と同じ程度にしか…でない」という意味を表します。

(17) His office is no larger than our bedroom.
彼の事務所は私たちの寝室と同じ程度の広さしかない。

一般に、〈no 比較級 than〉は〈as + 反意語の原級 + as〉と同じ意味合いになります。

・no larger than = as small as
・no better than = as bad as
・no less than = as many [much] as

〈no more A than B〉/〈no less A than B〉

〈no more A than B〉「B でないと同様に A でない」という意味を表し、A と B の両方を否定します。多くの場合、B の部分には自明な事柄が入ります。なお、この表現は〈not A any more than B〉のように表すこともできます。

(18) I am no more angry than you are.
= I am not angry any more than you are.
あなたが怒っていないのと同様に私も怒っていない。

(19) I can no more play the piano than speak Latin.
= I cannot play the piano any more than speak Latin.
私はラテン語が話せないのと同様にピアノが弾けない。

〈no less A than B〉「B に劣らず A」という意味を表し、A と B の両方を肯定します

(20) Bill is no less smart than Kate is.
ビルはケイトに劣らず賢い。

(21) I can no less speak French than you can speak German.
あなたがドイツ語を話せるのと同じように私もフランス語が話せる。

〈no more than + 数詞〉 / 〈not more than + 数詞〉

〈no more than + 数詞〉「わずか~だけ」〈not more than + 数詞〉「~より多くない」「多くて~」という意味を表します。nonot より強い否定を表すので、前者では「少ない」という意味が強調されることになります。

(22) It’s no more than five minutes from here by car.
そこまでここから車でわずか5分です。

(23) There were not more than ten passengers on the boat.
船には10人以上の乗客はいなかった。

〈no less than + 数詞〉 / 〈not less than + 数詞〉

〈no less than + 数詞〉「~ほども多く」〈not less than + 数詞〉「少なくとも~」という意味を表します。nonot より強い否定を表すので、前者では「多い」という意味が強調されることになります。

(24) She has no less than eight children.
彼女には子どもが8人もいる。

(25) The loss will be not less than $1,000.
損失は少なくとも千ドルになるだろう。

〈all the 比較級 for ~〉/〈none the 比較級 for ~〉

〈all the 比較級 for ~〉「~なのでそれだけますます」〈none the 比較級 for ~〉「(~だからといって)それだけ…というわけではない」という意味を表します。

理由を示す “for ~” の部分は because を使って表すこともできます。

(26) She got all the angrier for my silence.
= She got all the angrier because I kept silent.
私が黙っていたので彼女はますます腹を立てた。

(27) He is none the happier for his wealth.
= He is none the happier because he is wealthy.
彼はお金があるからといってそれだけ幸せというわけではない。

none the less for ~

〈none the 比較級 for ~〉という表現の一種である〈none the less for ~〉は、「(~ではあるが)それでもなお」という意味になります。

(28) I like her none the less for her faults.
彼女には欠点があるが、それでもなお私は彼女が好きだ。

絶対比較級

具体的な比較対象を持たない比較級を「絶対比較級」と呼びます。絶対比較級は、直後に置かれた名詞を分類する働きをします。

絶対比較級
  • upper body (上半身), upper floor (上の階), upper class (上流階級)
  • higher animals (高等動物), higher education (高等教育), higher court (高等裁判所)
  • lower lip (下唇), lower Nile (ナイル川下流), Lower House (下院)

ラテン語に由来する比較級

以下に示すラテン語に由来する形容詞は、比較対象を示すのに than ではなく to を使用します。

ラテン語に由来する比較級
  • superior to ~(~より優れた)
  • inferior to ~(~より劣った)
  • senior to ~(~より年上の / ~より地位が上の)
  • junior to ~(~より年下の / ~より地位が下の)

最上級を用いた比較

3つ以上のものを比較してその程度が最も高いものは、形容詞・副詞の「最上級」で表します。

(29) Pete is the tallest boy in the class.
ピートはクラスの中で最も背が高い男の子だ。

(30) Tim can jump (the) highest of the three.
その3人の中でティムが最も高く跳べる。

(29)は形容詞の最上級、(30)は副詞の最上級の例です。

(29)のように、形容詞の最上級の前には the が置かれます。副詞の最上級の場合は、(30)の “of the three” のような「範囲」を意味する語句を伴う場合に、the を用いることがあります。

2者の比較の場合

最上級は「(3つ以上の中で)最も~」という意味を表しますが、2者の比較の場合には〈the 比較級 of the two ~〉という表現を使います。

(31) Pete is the taller of the two boys.
ピートは2人の男の子のうちで背が高い方だ。

「~の中で」を意味する in と of

最上級の文では、比較の対象となる範囲を「~の中で」を意味する inof で表します。

in は「場所」や「集団」を意味する語を伴い、of は「期間」や「複数」を意味する語を伴います。

「~の中で」を意味する in と of

(場所)
in the school; in the town; in Japan

(集団)
in the class; in one’s family; in the team

(期間)
of the day; of the year; of one’s life

(複数)
of us; of the three; of the ten people

最上級の意味を強める副詞(句)

最上級の前に muchby farvery などの副詞(句)を置くことで、最上級の意味を強めることができます。

much と by far は「断然」「はるかに」を意味し、the の前に置かれます。very は「本当に」という意味で、the の後に置かれます。

(32) This is much [by far] the most interesting story I’ve ever read.
これは今まで読んだ中で断然一番面白い物語だ。

(33) We only sell the very best wine.
私たちは本当に最高のワインのみを販売している。

least を用いた表現

比較級の項で紹介した less の最上級である least を使って「最も~でない」という意味を表すことができます。least の後には、形容詞・副詞の原級が置かれます。

(34) This is the least important matter.
これは最も重要でない問題だ。

〈序数詞 + 最上級〉

second, third などの序数詞を最上級の前に置くことで、「上から何番目」という意味を表すことができます。

(35) He is the second [third] youngest governor in Japan.
彼は日本で2番目 [3番目] に若い知事だ。

同一対象内の比較

(36) This pool is deepest here.
このプールはここが一番深い。

(37) She feels happiest when she is cooking.
彼女は料理をしている時が一番幸せだ。

(36)の This pool や (37)の She は、他のプールや人物を比較対象とはしていません。このような同一対象内の比較の場合、補語として働く形容詞の最上級には the をつけません。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の文を英訳しなさい。

1.英語はフランス語ほど難しくない。(2通りに)

2.日本の気候はロシアの気候よりはるかに温暖だ。(The climate of Japan を主語として)

3.彼は無礼というよりはむしろ愚かだ。(2通りに)

4.あなたが興奮していないのと同様に私も興奮していない。(2通りに)

5.彼は正直なので私はますます彼のことが好きだ。(2通りに)

6.これがこの店で値段が最も高くない腕時計だ。

解答

1.
English is less difficult than French.
English is not as [so] difficult as French.

2.
The climate of Japan is much milder than that of Russia.

3.
He is more foolish than rude.
He is less rude than foolish.

4.
I am no more excited than you are.
I am not excited any more than you are.

5.
I like him all the more for his honesty.
I like him all the more because he is honest.

5.
This is the least expensive watch in this store.

この記事では、比較級・最上級を用いた様々な表現を紹介しましたが、重要な表現は他にも数多くあります。比較は入試の頻出項目なので、なるべく多くの表現を覚えるようにしましょう。