自動詞・他動詞|違い・見分け方から、間違えやすい動詞や意外な意味まで徹底解説!

突然ですが以下の二つの文のうち、文法的に正しいのはどちらでしょうか?

  • We discuss about the plan.
  • We discuss the plan.

正解は二つ目の We discuss the plan. です。では、なぜ一つ目の We discuss about the plan. は誤りなのでしょうか?

この理由は、英語の自動詞・他動詞について理解すると明らかになります。この記事を読み終わる頃には皆さんも、なぜ二つ目の文が文法的に正しくないのかが説明できるようになっていると思います。

この記事では、英語の自動詞・他動詞をテーマに、その特徴や違い、見分け方、特殊な用法などについて例文とともに詳しく説明します。

自動詞・他動詞とは?

自動詞とは

自動詞とは、「分だけで動作が完結する動詞」のことで、後ろに目的語を伴わない動詞を指します。

自動詞は目的語を伴わないため、動詞の動作の対象を表したり行為の内容を説明したいときは、動詞の後ろに 「副詞」「前置詞+名詞」 などの修飾語を補います。

自動詞の例文

(1) I slept.
私は寝た

(2) I live in Tokyo.
私は東京に住んでいる

(3) Your little brother looks older than you.
君の弟は君より年上に見える

(1)の動詞は slept で、この動詞だけで「寝た」という動作が完結しています。slept の後には目的語が来ていません

(2)の動詞は live です。後に続く in Tokyo という部分は目的語ではなく、「前置詞+名詞」という形の修飾語です。したがって live は自動詞ということになります。

(3)の動詞は looks で、後に続く older は目的語ではなく補語です。したがって、この looks は自動詞です。

目的語と補語について詳しく理解したい方は、以下の記事をご覧ください。

他動詞とは

他動詞とは、「の何か・誰かに対して働きかける動詞」のことで、後ろに目的語を伴う動詞を指します。

他動詞は、動作の対象である目的語を動詞の直後にとるため、自動詞とは異なり前置詞は不要です。

他動詞の例文

(4) He likes baseball.
彼は野球が好きだ

(5) John gave Lisa the flowers.
ジョンはリサにその花をあげた

(6) My brother calls me Ryo.
私の兄(弟)は私リョウと呼ぶ

(4)の動詞は likes で、この動詞だけでは何が好きなのかが分からず不完全とみなされます。そのため、動詞の後に baseball という目的語が来ています

(5)の動詞は gave で、この動詞だけでは誰に何をあげたのかが分からず不完全です。そのため、動詞の後に「誰に」に当たる Lisa と、「何を」に当たる the flowers という目的語が来ています

なお、この gave(give)という動詞は目的語を二つとることができ、Lisa も the flowers も両方目的語です。このように、目的語を二つとる文型は第4文型と呼ばれます(詳しくは以下の記事で解説しています)。

(6)の動詞は calls で、この動詞だけでは誰を(何を)呼ぶのかが分からず不完全です。そのため、動詞の後に「誰を」に当たる me という目的語が来ています

なお、me の後の Ryo は補語に当たり、目的語ではありません。このように、目的語の後に補語が来る文型は第5文型と呼ばれます(詳しくは以下の記事で解説しています)。

英語の基本5文型と自動詞・他動詞

英語には基本5文型という文を構成する要素の並べ方のルールがあり、それぞれの文型で自動詞・他動詞のどちらを使うのかが異なります。目的語(O)を含む文型では他動詞含まない文型では自動詞を使います。

英語の基本5文型について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

文型 意味 動詞の種類
第1文型 
SV
SはVする 自動詞
第2文型 
SVC
SはCである 自動詞
第3文型 
SVO
SはOをVする 他動詞
第4文型 
SVO(人)O(物)
SはO(人)にO(物)をVする 他動詞
第5文型 
SVOC
SはOをCにVする 他動詞
  • 主語:S (Subject)
  • 動詞(述語動詞):V (Verb)
  • 目的語:O (Object)
  • 補語:C (Complement)

第1、2文型は自動詞

第1文型と第2文型は目的語(O)を含まない文型です。そのため、使われる動詞は目的語を必要としない自動詞になります。

(7) She swims.:第1文型 SV
彼女は泳ぐ。

(8) She looks happy.:第2文型 SVC
彼女は幸せそうに見える。

(7)は第1文型で、主語 She と動詞 swims のみで構成されています。swim のように、目的語(O)も補語(C)もとらない動詞を完全自動詞と呼びます。

(8)は第2文型で、主語 She、動詞 looks、補語 happy から構成されています。look のように、目的語(O)をとらずに補語(C)をとる動詞を不完全自動詞と呼びます。

第3、4、5文型は他動詞

第3文型~第5文型は目的語(O)を含む文型です。そのため、使われる動詞は目的語を必要とする他動詞になります。

(9) Misa likes cats.:第3文型 SVO
ミサは猫が好きだ。

(10) Bob gave me a present.:第4文型 SVOO
ボブは私にプレゼントをくれた。

(11) I kept my room clean.:第5文型 SVOC
私は部屋を綺麗にしておいた。

(9)は第3文型で、動詞 likes の目的語が cats です。like のように、補語(C)をとらずに目的語(O)をとる動詞を完全他動詞と呼びます。

(10)は第4文型で、目的語を二つとります。me と a present はともに gave の目的語です。第4文型で使われる動詞も完全他動詞です。

(11)は第5文型で、my room が動詞 kept の目的語、clean が 目的語 my room の補語です。keep のように、目的語(O)と補語(C)の両方をとる動詞を不完全他動詞と呼びます。

自動詞と他動詞の違いと見分け方

上で述べたように、自動詞と他動詞には次のような違いがあります。

  • 自動詞の後には何も来ない場合と、修飾語(副詞、前置詞+名詞)や補語が来る場合がある
  • 他動詞の後には必ず目的語が来る

自動詞・他動詞を見分ける必要性

自動詞と他動詞は見分ける必要がないと思う方もいるかもしれません。しかし、自動詞と他動詞の区別をあいまいにしていると、英会話や英作文の際に困ることになります

例えば、「行く」という意味を持つ動詞には go と visit の二つがあります。意味はほぼ同じですが、go は自動詞で visit は他動詞です。

英会話や英作文で I want to visit to Kyoto. のような誤り(visit は他動詞なので前置詞の to は不要)を避けるためには、日頃から自動詞と他動詞の区別を意識することが大切です。

間違えやすい自動詞・他動詞

自動詞・他動詞の中には、区別を間違えやすいものがいくつかあります。ここでは他動詞に間違えやすい自動詞と、自動詞に間違えやすい他動詞を紹介します。

他動詞に間違えやすい自動詞

他動詞に間違えやすい自動詞とは、前置詞のつけ忘れが起こりやすい自動詞です。

これらの動詞には、動作の対象を表すときに前置詞が必要となります

自動詞の正しい使い方 意味 誤用例
agree with you あなたに賛成する × agree you
apologize to you あなたに謝る × apologize you
complain of[about] it それについて不満を言う × complain it
graduate from high school 高校を卒業する × graduate high school
look at you あなたを見る × look you
listen to the music 音楽を聴く × listen the music
object to it それに反対する × object it
wait for her 彼女を待つ × wait her

自動詞に間違えやすい他動詞

自動詞に間違えやすい他動詞とは、必要のない前置詞の使用が起こりやすい他動詞のことです。

これらの動詞には前置詞を用いません

自動詞に間違えやすい他動詞の正しい使い方 意味 誤用例
approach the city その都市に近づく × approach to the city
attend a meeting ミーティングに参加する × attend to a meeting
discuss the matter その問題について議論する × discuss about the matter
enter the room 部屋に入る × enter into the room
leave this town この町を去る × leave from this town
marry him 彼と結婚する × marry with him
mention it それについて話す × mention about it
reach the school 学校に着く × reach to the school
resemble Daniel ダニエルに似ている × resemble to Daniel
Tips 【enterの使い方】

enter の目的語が the room のような具体的な場所ではなく、議論などの抽象的なものの場合は、enter into a discussion(議論に入る) のように前置詞を使います。

自動詞と他動詞で意味が異なる動詞

英語のすべての動詞が自動詞と他動詞に二分割されるわけではなく、自動詞・他動詞両方の使い方をする動詞が数多く存在します。

ここでは、自動詞と他動詞で意味が大きく異なる動詞を二つ紹介します。

動詞 自動詞の意味 他動詞の意味
leave 出発する ~を置き忘れる
stop 立ち止まる ~をやめる

(12) I’ll leave for London tomorrow.(自動詞) 
私は明日ロンドンに向けて出発する

(13) I left my key at home.(他動詞)
私は家に鍵を忘れた

(14) I stopped to look at my smartphone.(自動詞)
私はスマホを見るために立ち止まった

(15) I stopped smoking last year.(他動詞)
私は去年煙草を吸うのをやめた

意外な意味を持つ自動詞・他動詞

意外な意味を持つ自動詞

主に他動詞として使われる動詞の自動詞としての「意外な」意味を紹介します。

動詞 自動詞としての意外な意味
read (~と)読める、(上手・下手に)書いてある
sell (商品などが)売れる
cut (はさみなどが)切れる
hold (天気や状況などが)持ちこたえる
drink 酒を飲む
do 十分である、役に立つ
pay 割に合う
attend (~に)注意する

意外な意味を持つ他動詞

主に自動詞として使われる動詞の他動詞としての「意外な」意味を紹介します。

動詞 他動詞としての意外な意味
run ~を経営する
stand ~を我慢する

意味と活用が紛らわしい自動詞・他動詞

意味と活用が紛らわしい動詞として「lie と lay」「rise と raise」があります。(試験で頻出です!)それぞれについて以下の表にまとめてみました。

原形 過去形 過去分詞形 現在分詞形(-ing形)
lie(嘘をつく):自動詞 lie lied lied lying
lie(横たわる):自動詞 lie lay lain lying
lay(~を横たえる):他動詞 lay laid laid laying
原形 過去形 過去分詞形 現在分詞形(-ing形)
rise(上がる):自動詞 rise rose risen rising
raise(~を上げる):他動詞 raise raised raised raising

(16) I lied to my mom.
私は母に嘘をついた。

(17) I lay on the floor.
私は床に横たわった。

(18) I lay my cat on the bed every night.
私は毎晩猫をベッド上に横たえる。

(19) The sun is rising.
太陽が昇っている。

(20) He is raising his hand.
彼は手を挙げている。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

問1 次の2つの文のうちの正しい方を選べ。

(1)
a. Don’t mention it.
b. Don’t mention about it.

(2)
a. Please marry me.
b. Please marry with me.

(3)
a. You should apologize.
b. You should apologize him.

問2 次のかっこの中に入る選択肢を選べ。

Some students ( ) on the ground.

lies / laid / lay / laying / lain

問3 次の文章を日本語に訳せ。

This knife cuts well, so sells well.

解答

問1

(1) 正解 a
mention は他動詞です。

(2) 正解 a
marry は他動詞です。

(3) 正解 a
apologize は自動詞です。

問2

正解 lay
訳:数人の学生が地面に横になった。
この文には目的語がないので、他動詞の laid は除外。主語が三人称複数形なので、動詞に s がつく lies は除外。文中に have や are がないので、過去分詞の lain と ing形の laying は除外。

問3

このナイフはよく切れる、だからよく売れる。

cut には「切れる」、sell には「売れる」という自動詞の意味があります。

自動詞と他動詞の理解は、動詞の正しい使い方の基礎になります。