英語の主語(S)とは|主語になれる要素、位置や見分け方まで例文・問題付きで解説

主語は、英語の文を構成する最も重要な要素です。

この記事では、主語とは何か、文中における主語の位置、主語になれるもの、無生物主語、形式主語などについて説明していきます。

主語(S)とは

主語とは、端的に「文の動作主、主人公」のことです。

日本語で言うところの、「私は」や「あなたが」などの 「~は」、「~が」 に当たる部分が主語です。

主語は人の場合が多いですが、物や事、概念なども主語になることができます。

主語は英語で「Subject」と呼ばれるので、省略して 「S」 と表記されることがよくあります。

(1) I play tennis.
私はテニスをします。

(2) The ball is big.
そのボールは大きいです。

(1)では、「I(私)」が主語です。(2)では、「The ball(そのボール)」が主語になります。

主語は省略不可

日本語と違い、英語の主語は基本的に省略できません。そのため、通常の英文にはすべて主語があります。

(例外については「主語の発展」のセクションで説明します。)

日本語では、「あなた」や「私」などの主語はしばしば省略されますが、これは文脈で動作主を判断しているためです。

例文を見て確認しましょう。

日本語
メアリー:何部に入っているの?

ボブ:サッカー部だよ。

英語
メアリー:What club are you in?

ボブ:I am in the soccer club.

上の例では、同じ内容が日本語と英語で書かれています。

日本語では主語が省略されていますが、英語では下線で示した you や I といった主語が必要となります

主語(S)以外の要素

英語の文には、主語のほかに次のような要素が存在します。

要素 説明
述語動詞
Verb(V)
単に動詞とも呼ばれ、主語(S)が行う動作・行為や主語の状態を表します。英語には一般動詞とbe動詞があります。
目的語
Object(O)
述語動詞(V)が表す動作・行為の対象を示します。日本語の「~に」や「~を」に当たります。
補語
Complement(C)
主語(S)や目的語(O)を補って、その性質や状態を説明します。動詞の後に置かれます。
修飾語
Modifier(M)
主語(S)、述語動詞(V)、目的語(O)、補語(C)の意味を詳しく説明します。

I painted the wall red yesterday.
私は昨日その壁を赤色に塗った。

上の例文を主語、述語動詞、目的語、補語、修飾語に分けてみましょう。

主語(S):I 私は
述語動詞(V):painted 塗った
目的語(O):the wall その壁を
補語(C):red 赤色に
修飾語(M):yesterday 昨日

なお、目的語補語については、こちらで詳しく説明しています。

主語の位置、語順

英語の文の語順は、基本的に「主語(S)→動詞(V)→その他」となります。

まず主語が文頭に来て、その直後に動詞(V)が、その後に目的語や補語などが来ます。修飾語はさまざまな位置で使われます。

日本語と英語とでは、語の順番が異なるので注意しましょう

以下の例で日本語と英語を比較してみます。

日本語私は(主語)朝食を(目的語)食べます(動詞)。

英語I (主語) eat (動詞) breakfast (目的語).

このように、日本語では主語→目的語→動詞の順ですが、英語では主語→動詞→目的語の順になります。

日本語では、主語と目的語の順番を入れ替えて、「朝食を私は食べる。」とすることも可能ですが、英語の語順を変えることはできません

主語になれるもの

英語の文で主語になれるものは、主に名詞、代名詞、名詞句、名詞節の4つです。これらについて、順番に見ていきましょう。

名詞

名詞は、人、動物、物、事、概念などを表す品詞です。

例としては、John, people, dog, pen, soccer, water, America, August, hobby, happiness, north などがあります。

(1) Mike likes apples.
マイクはリンゴが好きです。

(2) America is a big country.
アメリカは大きな国です。

代名詞

代名詞は、名詞の代わりに使うことができる品詞で、以下の7種類があります。単体で主語になれるのは、人称、所有、指示、不定、疑問代名詞の5つです。

代名詞の種類 説明
人称代名詞 人や物の代わりになる代名詞。「I, you, she, he, they, it」など。
所有代名詞 誰のものかを示す代名詞。「mine, yours, his, hers」など。なお、所有代名詞と人称代名詞の所有格は別物です。
再帰代名詞 「誰々自身」という意味を表す代名詞。「myself, yourself, himself, herself」など。単体では主語になれません。
指示代名詞 物や場所を指し示す代名詞。「this, these, that, those」など。
不定代名詞 特定のものを指さず、漠然と不定の人や事物、数量などを表す代名詞。「one, other, another, some, any, all, both, each」など。
疑問代名詞 疑問を表す代名詞。「what, which, who」など。
関係代名詞 直前の名詞(先行詞)を説明し、直後に来る節(関係詞節)とつなげる代名詞。「who, which, that」など。単体では主語になれません。

(3) Mine is on the desk.
私のものは机の上にあります。

(4) Who ate this cake?
このケーキを食べたのは誰?

なお、代名詞については、こちらで詳しく説明しています。

名詞句

句とは、「主語+動詞」の形を含まない2語以上からなる単語のまとまりのことです。句には、名詞句、形容詞句、副詞句の3つがあります。

については、こちらで詳しく説明しています。

主語になれるのは名詞句のみです。名詞句には、修飾語+名詞、to不定詞句、動名詞句などがあります。to不定詞句と動名詞句は単数扱いになります。

修飾語+名詞

(5) This dress is very beautiful.
このドレスはとても美しい。

(6) A white dog is chasing a black cat.
白い犬が黒猫を追いかけている。

to不定詞句

(7) To study English is fun.
英語を勉強することは楽しい。

(8) To be a kind person is important.
親切な人間になることは重要だ。

なお、to不定詞が主語になる場合、形式主語の構文がよく使われます。

形式主語については後述の見出し 「主語の発展:形式主語」 をご覧ください。

動名詞句

(9) Studying English is fun.
英語を勉強することは楽しい。

(10) Being a kind person is important.
親切な人間であることは重要だ。

名詞節

節とは、「主語+動詞」の形を含む2語以上からなる単語のまとまりのことです。節には、名詞節、形容詞節、副詞節の3つがあります。

については、こちらで詳しく説明しています。

主語になれるのは名詞節のみです。名詞節には、that節、whether節、関係詞節などがあり、それぞれ単数扱いになります。

that節

(11) That he is 40 years old is a secret.
彼が40歳であることは秘密だ。

(12) That she lost her passport is a big problem.
彼女がパスポートをなくしたことは大きな問題だ。

whether節

(13) Whether John did it is not important.
ジョンがそれをしたかどうかは重要ではない。

(14) Whether it is true or not doesn’t matter to me.
それが真実かどうかは私には関係ない。

関係詞節

関係詞の中で、関係詞節内で代名詞として扱われるものを関係代名詞、副詞として扱われるものを関係副詞と言います。

関係詞については、こちらの記事などで詳しく説明しています。

関係代名詞節の中で主語になるのは、主にwhat節です。

(15) What you ate is called “Nabe” in Japanese.
あなたが食べたものは、日本語で「鍋」と呼ばれています。

(16) What is needed is love.
必要とされているのは愛です。

関係副詞には、

  • where
  • when
  • why
  • how

があります。

関係副詞の先行詞が省略された場合、関係副詞節は主語になることができます(howは先行詞を伴わないので、how節はそのまま主語になれます)。

(17) Where you went yesterday is one of the most beautiful places in Japan.
あなたが昨日訪れたところは日本で最も美しい場所の一つだ。

(18) Why the teacher is angry is incomprehensible.
なぜ先生が起こっているのかは理解できない。

(19) How you apologize to Bob will change the future.
あなたがどのようにボブに謝るかが未来を変えるだろう。

主語の発展

ここでは、主語に関連した発展的な内容を紹介します。

命令文では主語を省略

英語では日本語と違って、基本的に主語を省略できませんが、例外として命令文では主語を省略することができます

(20) Shut up!
だまれ!

(21) Get ready in 3 minutes!
3分で準備しなさい!

(22) Don’t be afraid!
怖がらないで!

無生物主語

英語の主語はかなり自由度が高く、人や動物などの生物に限らず、物や事、概念なども主語になることができます。

生物以外の主語を「無生物主語」と呼びます

無生物主語については、こちらで詳しく説明しています。

(23) The News surprised me a lot.
そのニュースは私をとても驚かせた。

(24) The homework prevented me from hanging out.
宿題が私が遊びに行くのを妨げた。

(25) Playing soccer makes me happy.
サッカーをすることは私を幸せにする。

日本語では、「物事が人に~する」という表現はあまり使われません。そのため、無生物主語の英文を日本語に直訳すると、不自然な文になることがあります。

無生物主語の英文を和訳するときは、自然な日本語にする工夫が必要となります。上の例文を自然な日本語に訳してみましょう。

和訳

(1) そのニュースは私をとても驚かせた。
→私はそのニュースにとても驚いた。

(2) 宿題が私が遊びに行くのを妨げた。
→宿題のせいで遊びに行けなかった。

(3) サッカーをすることは私を幸せにする。
→私はサッカーをすると嬉しくなる。

形式主語「It」

形式主語とは、to不定詞などの句や節が主語になるときに、主語が長くなるのを防ぐために「It」を形式的な主語とし、本来の主語である句や節を文の後ろに置く用法です。

(26) To study English is fun.
It is fun to stydy English.

(27) That he is 40 years old is a secret.
It is a secret that he is 40 years old.

(28) Whether John did it is not important.
It is not important whether John did it.

形式主語の文には、結論を先に述べることができるという利点があります。

(26)では「fun(楽しい)」、(27)では「secret(秘密だ)」、(28)では「important(重要だ) 」が結論に当たります。

また、英語では主語が長い文はバランスが悪いとされ、このことも形式主語が使われる理由の一つとなっています。

練習問題

練習問題を解いて定着度を確認しましょう。

練習問題

問1 次の文の主語に当たる部分を示しなさい。

(1) Bob and I are both students of this university.

(2) What you have to do is to be patient.

(3) Whether he will forgive you or not depends on your behavior.

(4)When she spoke to me, I was sleeping.

問2 主語を意識しながら次の文を和訳しなさい。

(1) The first thing you have to do is to call the police.

(2) The information made me sad.

(3) All you need is love.

解答

問1

主語は下線部です。主語を判断するときは、述語動詞(be動詞や一般動詞)の直前を探しましょう。

(1) Bob and I are both students of this university.

(2) What you have to do is to be patient.

(3) Whether he will forgive you or not depends on your behavior.

(4) When she spoke to me, I was sleeping.
※When~me, までは副詞節なので、文全体の主語(主節の主語)は I になります。

問2

(1) The first thing you have to do is to call the police.
和訳:あなたがまず初めにしなければいけないことは、警察を呼ぶことです。

(2) The information made me sad.
その情報は私を悲しませた。(直訳)
私はその情報を知って悲しかった。(無生物主語を意識して意訳)

(3) All you need is love.
あなたが必要なものの全ては愛だ。(直訳)
あなたに必要なものは愛だけだ。(自然な日本語に和訳)

主語は英文を構成する要素のうち、述語(一般動詞やbe動詞)と並ぶ最も重要な要素です。主語が分かればその英文の主体が分かります。長文の中で長く複雑な文が出てきたときに、主語が分かれば文章の流れや大まかな意味の理解が容易になります。是非、何が主語になれるのか、主語は述語動詞の直前にある、ということを意識して英語学習に取り組んでください!