無生物主語
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“A few minutes’ walk brought him to the park.” のように、「人以外のもの」が主語となり「人」が目的語となる構文を「無生物主語構文」と呼びます。
この記事では、無生物主語構文に使われる動詞、日本語に訳す際の注意点、人を主語にした文への書き換えなどについて詳しく見ていきます。
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無生物主語構文とは
無生物主語構文とは
まずは、次の例文を見てください。
(1) He walked for a few minutes and came to the park.
(2) A few minutes’ walk brought him to the park.
この2つの文は同じ内容を表していますが、(1)では「人」が主語になっているのに対し、(2)では「人以外のもの(無生物)」が主語になり、「人」は目的語の位置に置かれています。
(1)のような「人」を主語とした文に対し、(2)のように「無生物」を主語とし「人」を目的語とする構文を「無生物主語構文」と呼びます。
無生物主語構文を訳す場合、無生物を主語としたまま直訳すると日本語として不自然になるので、基本的には「人」を主語として意訳するようにします。(2)の文は、「彼は2~3分歩いて公園に着いた」のように訳すのが良いでしょう。
無生物主語構文に使われる動詞
無生物主語構文に使われる動詞
この項では、無生物主語構文に使われる主な動詞を取り上げます。それぞれの動詞について、例文と2種類の日本語訳(意訳と直訳)を用いて解説します。
make
無生物主語構文において、make は〈make + 人 + 動詞の原形〉という形で「人に~させる」という意味を表します。また、〈make + 人 + 補語〉という形では「人を~(の状態)にする」という意味になります。
(3) This medicine will make him feel better.
この薬を飲めば彼は気分が良くなるだろう。
(直訳:この薬は彼に気分を良くさせるだろう。)
(4) The news made us happy.
私たちはその知らせに喜んだ。
(直訳:その知らせは私たちを幸福にした。)
(3)(4)の文を「人」を主語として書き換えると、次のようになります。
(3’) If he takes this medicine, he will feel better.
(4’) We were happy to hear the news.
cause / allow / enable
無生物主語構文において、cause は「(人に)~させる」、allow は「(人が)~することを許す」、enable は「(人が)~できるようにする」という意味を表します。
これらの動詞はどれも〈SV + 人 + 不定詞〉という形で使われます。
(5) What caused you to change your mind?
あなたはなぜ考えを変えたのですか?
(直訳:何があなたに考えを変えさせたのですか?)
(6) His pride didn’t allow him to accept the money.
彼はプライドがあったので金を受け取らなかった。
(直訳:彼のプライドは彼が金を受け取ることを許さなかった。)
(7) The scholarship enabled her to go to college.
奨学金のおかげで彼女は大学に行くことができた。
(直訳:奨学金が彼女が大学に行けるようにした。)
(5)~(7)の文を「人」を主語として書き換えると、次のようになります。
(5’) Why did you change your mind?
(6’) He was too proud to accept the money.
(7’) Thanks to the scholarship, she was able to go to college.
keep / prevent
keep と prevent は〈keep [prevent] + 人 + from ~ing〉という形で「人が~するのを妨げる」という意味を表します。
(8) The typhoon kept [prevented] us from going out.
台風のせいで私たちは外出できなかった。
(直訳:台風は私たちが外出するのを妨げた。)
(8)の文を「人」を主語として書き換えると、次のようになります。
(8’) We couldn’t go out because of the typhoon.
keep / leave
keep と leave は〈keep [leave] + 人 + 補語〉という形で「人を~(の状態)にする」という意味を表します。
(9) The noise kept me awake all night.
私は騒音のせいで一晩中眠れなかった。
(直訳:騒音は私を一晩中起こしていた。)
(10) His words left me uneasy.
彼の言葉を聞いて私は不安になった。
(直訳:彼の言葉は私を不安にした。)
(9)(10)の文を「人」を主語として書き換えると、次のようになります。
(9’) I was awake all night because of the noise.
(10’) I felt uneasy because of his words.
remind / rob / deprive
remind は〈remind + 人 + of ~〉という形で「人に~を思い出させる」という意味を表します。
rob と deprive は〈rob [deprive] + 人 + of ~〉という形で「人から~を奪う」という意味を表します。
(11) This song reminds me of my hometown.
私はこの歌を聞くと故郷を思い出す。
(直訳:この歌は私に故郷を思い出させる。)
(12) The shock robbed [deprived] her of speech.
彼女はショックのあまり口がきけなかった。
(直訳:ショックが彼女から話す力を奪った。)
(11)(12)の文を「人」を主語として書き換えると、次のようになります。
(11’) Whenever I hear this song, I remember my hometown.
(12’) She was so shocked that she couldn’t speak.
save / cost
save は〈SV + 人 + O〉という形で「人の(時間・労力など)を省く」という意味を表します。
cost は〈SV + 人 + O〉という形で「人に~を払わせる / 人に~を失わせる」という意味を表します。
(13) Computers save us a lot of time and energy.
コンピューターのおかげで私たちは多くの時間と労力を節約できる。
(直訳:コンピューターは私たちの多くの時間と労力を省いてくれる。)
(14) His error cost us the game.
彼のエラーのせいで私たちは試合に負けた。
(直訳:彼のエラーは私たちに試合を失わせた。)
(13)(14)の文を「人」を主語として書き換えると、次のようになります。
(13’) Thanks to computers, we can save a lot of time and energy.
(14’) We lost the game because of his error.
take
「連れていく」を意味する take は、「道」や「乗り物」を主語とする無生物主語構文で使われることがあります。
(15) This road [bus] will take you to the station.
この道を行けば [このバスに乗れば] あなたは駅に着けるでしょう。
(直訳:この道 [バス] はあなたを駅まで連れて行くでしょう。)
(15)の文を「人」を主語として書き換えると、次のようになります。
(15’) If you take this road [bus], you can get to the station.
練習問題
練習問題
最後に練習問題を解いてみましょう。
次の文の空所に当てはまる語を下の語群から選びなさい。なお、各語は1度のみ使用できる。
1.The injury ( ) her of the chance to play in the game.
2.The hard work ( ) him his health.
3.Business ( ) Father to Tokyo.
4.The accident ( ) many people injured.
5.Money from his father ( ) Tom to buy the car.
6.That accident ( ) us of the limits of technology.
7.Her jokes ( ) us all laugh.
8.The new museum has ( ) a lot of tourists to Nagoya.
9.The new washing machine has ( ) us a lot of water.
10.A storm ( ) the plane from taking off.
語群
brought, cost, deprived, enabled, kept, left, made, reminded, saved, took
1.deprived
2.cost
3.took
4.left
5.enabled
6.reminded
7.made
8.brought
9.saved
10.kept
無生物主語構文は、「英訳」「和訳」「書き換え」などの形で出題されます。使われる動詞の種類は限られているので、早めに攻略しておきましょう。