ifを使わない仮定法の使い方と例文・練習問題

この記事では「if を使わない仮定法」をテーマに、「ifの省略」と「if節に相当する語句」について解説します。試験に頻出の書き換えについても詳しく取り上げます。

仮定法の基本形

まず、仮定法の基本形を確認しておきましょう。

仮定法の文は基本的に「if節」と「主節」から構成されます。下の表は、それぞれの節における動詞・助動詞の形を示したものです。

if節の動詞 主節の助動詞 + 動詞
仮定法過去 過去形
(be動詞は were)
助動詞の過去形* + 動詞の原形
仮定法過去完了 過去完了形 助動詞の過去形 + have + 過去分詞
仮定法未来 were to + 動詞の原形 /
should + 動詞の原形
助動詞の過去形 + 動詞の原形 /
will + 動詞の原形 /
命令文

*「助動詞の過去形」は would, could, might を指します。(「仮定法過去」では should が使われることもあります。)

if の省略

仮定法の if節において if を省略すると倒置が起こり、節の中は疑問文と同じ語順になります。

(1)
If I were rich, I would travel all over the world.
もし私が金持ちなら、世界旅行をするのに。

(if の省略)

Were I rich, I would travel all over the world.

(2)
If he had tried harder, he might have succeeded.
もしもっと努力していたら、彼は成功していたかもしれないのに。

(if の省略)

Had he tried harder, he might have succeeded.

(3)
If I should fail, I will try again.
万一失敗しても、また挑戦するつもりだ。

(if の省略)

Should I fail, I will try again.

(1)は仮定法過去、(2)は仮定法過去完了、(3)は仮定法未来における if の省略の例になります。

なお、if の省略は(1)~(3)のように were, had, should が文頭に出る場合にのみ行うことができます

if節に相当する語句

if節に相当する語句を用いることで、if を使わずに仮定の意味を表すことができます。

without / but for

without ~” と “but for ~” は「~がなければ / ~がなかったら」という意味を表します。“but for ~” は主に書き言葉で使われます。

(4) Without [But for] dreams, life would be boring.
夢がなければ、人生はつまらないものになるだろう。

(5) Without [But for] your help, we would have failed.
あなたの助けがなかったら、私たちは失敗していただろう。

(4)は仮定法過去、(5)は仮定法過去完了の例になります。

(4)は “if it were not for ~”、(5)は “if it had not been for ~” を使って書き換えることができます。

(4’) If it were not for dreams, life would be boring.

(5’) If it had not been for your help, we would have failed.

with

with ~” は “without ~” の逆で、「~があれば / ~があったら」という意味を表します。

(6) With extra money, I would buy a new computer.
余分なお金があれば、新しいコンピューターを買うのに。

(7) With more effort, he would have passed the examination.
もっと努力していたら、彼は試験に合格していただろうに。

(6)は仮定法過去、(7)は仮定法過去完了の例になります。

(6)(7)の前半部分は、if を使って次のように書き換えることができます。

(6’) If I had extra money
(7’) If he had made more effort

otherwise

otherwise は「もしそうでなければ」という意味を表す副詞で、前の文を受けて接続詞的に使われます。

(8) I have to walk my dog every morning; otherwise I wouldn’t get up so early.
私は毎朝犬を散歩させなければならない。もしそうでなければ、それほど早くは起きないだろう。

(9) I was ill; otherwise I would have attended the meeting.
私は体調が悪かった。もしそうでなければ、会議に出席していただろう。

(8)は仮定法過去、(9)は仮定法過去完了の例になります。それぞれの otherwise の意味を、if を使って表すと、次のようになります。

(8’) if I didn’t have to walk my dog every morning
(9’) if I hadn’t been ill

このように、otherwise は1語のみで if節の内容を表すことができます。

不定詞 / 分詞

不定詞句や分詞構文が if節の働きをすることがあります。

(10) To hear him talk, you would take him for a genius.
彼が話すのを聞けば、あなたは彼を天才と思うだろう。

(11) The same thing, happening in Japan, would cause a major problem.
同じことがもし日本で起きたら、大きな問題になるだろう。

(12) Born in Ireland, she might have been elected President.
もしアイルランドで生まれていたら、彼女は大統領に選ばれていたかもしれない。

(10)~(12)の下線部は、if を使って次のように書き換えることができます。

(10’) If you heard him talk
(11’) If it happened in Japan
(12’) If she was born in Ireland

主語 / 副詞句

主語や副詞句に仮定の意味が含まれることがあります。

(13) Even a child would not do such a foolish thing.
たとえ子供でもそんな愚かなことはしないだろうに。

(14) A careful person could have avoided the trouble.
注意深い人であれば、そんなもめごとは避けられただろうに。

(15) A minute later, and I would have missed the train.
あと1分遅れていたら、私は列車に乗り遅れていただろう。

(16) What would you do in my place?
もしあなたが私の立場だったらどうしますか?

(13)~(16)では、太字で示した部分に「もし~ならば」という意味が含まれています。

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の英文を指示に従って書き換えなさい。

1.If I were you, I would wait. (If を省略して)

2.If she had been awake, she would have heard the noise. (If を省略して)

3.With your advice, he would have succeeded. (If を用いて)

4.It didn’t work; otherwise I wouldn’t have asked for your help. (otherwise 以下の文を if を用いて)

5.To see them sitting together, you would take them for twins. (if を用いて)

解答

1.Were I you, I would wait.

2.Had she been awake, she would have heard the noise.

3.If he had taken your advice, he would have succeeded.

4.If it had worked, I wouldn’t have asked for your help.

5.If you saw them sitting together, you would take them for twins.

今回紹介した「if節に相当する語句」が使われている文が、自動的に仮定法になるわけではありません。述べられている状況に現実味がない場合にのみ、仮定法が使われます。