英語の代名詞とは?種類と使い分けを一覧表で紹介

代名詞は、名詞の代わりに使うことができる品詞で、以下の7種類があります。

代名詞の種類 説明
人称代名詞 I, you, his, her, them など、人称・性・数の区別をもつ代名詞。
所有代名詞 mine, yours, hers, theirs など、日本語の「~のもの」に相当する代名詞。人称代名詞に含まれる。
再帰代名詞 myself, yourself, herself, themselves など、日本語の「~自身」に相当する代名詞。人称代名詞に含まれる。
指示代名詞 this, these, that, those など、特定の人やもの、文中の語・句・節などを指し示す代名詞。
不定代名詞 one, some, any など、不特定の人、もの、数量などを指す代名詞。
疑問代名詞 what, which, who など、疑問を表す代名詞。
関係代名詞 who, which, that など、直前の名詞(先行詞)を説明し、直後に来る節(関係詞節)とつなげる代名詞。

この記事では、人称代名詞、所有代名詞、再帰代名詞、指示代名詞、不定代名詞について解説します。

疑問代名詞と関係代名詞については、該当する記事をご覧ください。

人称代名詞・所有代名詞・再帰代名詞

下の表は、人称代名詞・所有代名詞・再帰代名詞をまとめたものです。(所有代名詞と再帰代名詞は人称代名詞に含まれます。) 人称代名詞

再帰代名詞

一人称は話し手、二人称は聞き手、三人称はそれ以外の「人」や「もの」を表します。

主格

人称代名詞が、文中で主語主格補語として用いられるときの形を「主格」と呼びます。(主格補語は、SVCC に当たる部分です。)

(1) I am a student.
私は学生だ。

(2) She can speak English.
彼女は英語が話せる。

(3) The next president of the company will be he.
この会社の次期社長は彼だ。

(1)の I と(2)の She は主語、(3)の he は主格補語の例です。

なお、話し言葉では、次のように、主格補語に目的格の人称代名詞を使うのが一般的です。

(3’) The next president of the company will be him.

所有格

人称代名詞が名詞の直前に置かれ、「~の」という所有の意味を表すときの形を「所有格」と呼びます。

(4) Is this your book?
これはあなたの本ですか?

(5) Mr. Yoshida is our math teacher.
吉田先生は私たちの数学の先生だ。

目的格

人称代名詞が、文中で動詞や前置詞の目的語として用いられるときの形を「目的格」と呼びます。

(6) Mr. Smith invited him and me to dinner.
スミス氏は彼と私を夕食に招待した。

(7) I haven’t heard from them for several years.
彼らからは数年間連絡がない。

(6)の himme は動詞の目的語、(7)の them は前置詞の目的語の例です。

漠然と「人々」を表す we, you, they

人称代名詞の複数形 we, you, they には、漠然と「人々」を表す用法があります。

この用法の人称代名詞は、必ずしも日本語に訳す必要はありません。

(8) We should obey traffic rules.
交通規則は守らなければならない。

(9) We had a lot of snow last year.
去年は雪がたくさん降った。

(10) You never know what may happen in the future.
将来何が起こるかは誰にも分からない。

(11) What language do you speak in Switzerland?
スイスでは何語が話されていますか?

(12) They say the prime minister has to resign.
首相は辞任せざるを得ないと言われている。

(13) In Australia they celebrate Christmas in summer.
オーストラリアでは夏にクリスマスを祝う。

上の例文における用法の違いは以下の通りです。

代名詞 「人々」の内容
we (8) 一般の人々(話し手・聞き手を含む)
(9) ある地域・場所・組織などにいる人々(話し手を含む)
you (10) 一般の人々(話し手・聞き手を含む)
(11) ある地域・場所・組織などにいる人々(聞き手を含む)
they (12) 一般の人々(話し手・聞き手は含まない)
(13) ある地域・場所・組織などにいる人々(話し手・聞き手は含まない)

it の用法

人称代名詞の it には、以下のような様々な用法があります。

先行する語・句・節・文を指す

(14) He picked up a stone and threw it.
彼は小石を拾ってそれを投げた。

(15) I tried to continue my research, but it wasn’t possible.
私は研究を続けようとしたが、それは不可能だった。

(16) He says that he will support me, but I doubt it.
彼は私を支持すると言っているが、私はそのことを疑っている。

(17) “I saw Tom this morning.” - “What about it?”
「今朝トムを見かけたよ。」-「それがどうしたの?」

上の例文における it は、(14)では先行する語(a stone)を、(15)では不定詞句(to continue my research)を、(16)では that節(that he will support me)を、(17)では文全体(I saw Tom this morning.)を指しています。

天候・寒暖・明暗・時間・距離などを表す文の主語となる

天候・寒暖・明暗・時間・距離などを表す文では、特に意味を持たない it が主語の位置に置かれます

(18) It is raining.
雨が降っている。【天候

(19) It’s cold [warm] here, isn’t it?
ここは寒い[暖かい]ですね。【寒暖

(20) It was quite dark when I got there.
私がそこに着いた時はかなり暗くなっていた。【明暗

(21) What time is it?
今何時ですか?【時間

(22) It’s about 20 kilometers from here to Kyoto.
ここから京都までは約20キロある。【距離

漠然と状況・事情を指す

it が主語や目的語として、周囲の状況や事情を漠然と指すことがあります。この用法は決まり文句に多く、この場合の it は日本語には訳しません。

(23) How’s it going?
調子はどう?

(24) I made it.
間に合ったぞ。/ やったぞ。

形式主語の it

不定詞句、動名詞句、that節、間接疑問などが主語になる場合、主語の位置に「形式主語の it」を置き、真の主語を後ろに回すことがあります。

(25) It is easy for me to solve this problem.
この問題を解くことは私には簡単だ。【真の主語は不定詞句

(26) It is no use trying to persuade him.
彼を説得しようとしても無駄だ。【真の主語は動名詞句

(27) It is natural that he should think so.
彼がそう思うのも当然だ。【真の主語は that節

(28) It is not clear who wrote this story.
誰がこの話を書いたのか定かでない。【真の主語は間接疑問

形式主語の文と強調構文の見分け方

It is ~ that …〉という形をした文が形式主語の文なのか強調構文なのかを見分ける場合は、次の2点に注目します。

① It is に続く部分が形容詞であれば形式主語の文。副詞(句)や節であれば強調構文。
② It is に続く部分が名詞の場合、that 以下の部分が完全な文の形をしていれば形式主語の文。(強調構文では、強調される名詞が that の前に移動するため、that 以下の部分では名詞が1つ欠けることになります。)

形式主語の文

(a) It is natural that he should get angry.
彼が怒るのも当然だ。

(b) It is a pity that you can’t come.
あなたが来られないのは残念だ。

(a)は、It is の後に形容詞の natural が来ているので形式主語の文になります。

It is の後が名詞である(b)は、that に続く部分が完全な文の形をしているので形式主語の文になります。

形式目的語の it

第5文型 (SVOC) の文で目的語 (O) が不定詞句、動名詞句、that節、間接疑問などの場合、本来の目的語の位置に「形式目的語の it」置き、真の目的語を補語(C)の後ろに置くことがあります。

(29) I found it difficult to ride a horse.
馬に乗るのは難しいことが分かった。【真の目的語は不定詞句

(30) We think it a pity that he should not work harder.
彼がもっと熱心に仕事をしないのは残念に思う。【真の目的語は that節

所有代名詞

「~のもの」という所有の意味を表し、〈所有格+名詞〉の働きをする代名詞を「所有代名詞」と呼びます。

(31) Is this book yours?
この本はあなたのものですか?

(32) This is Ms. White, a friend of mine.
こちらが私の友人のホワイトさんです。

(31)の yours は “your book” を表しています。

なお、人称代名詞の所有格は a, an, this, that, no などと併用できないので、これらの語を伴う名詞についての所有を表す場合は、(32)のように〈a [an, this, that , no] + 名詞 + of + 所有代名詞〉という構文を使います。(“a my friend” や “my a friend” は不可。)

再帰代名詞

再帰代名詞」は、人称代名詞の所有格または目的格に -self (-selves) をつけた形の代名詞で、「~自身」という意味を表します。

再帰代名詞には目的語になる「再帰用法」と、名詞や代名詞を強調する「強調用法」があります。

再帰用法

主語と同じ「人」や「もの」が動詞や前置詞の目的語になる場合、目的語には再帰代名詞を用います。

(33) I don’t like myself.
私は自分のことが好きではない。

(34) Everything will take care of itself.
すべてはおのずと解決するだろう。

(33)の myself は動詞の目的語、(34)の itself は前置詞の目的語の例です。

強調用法

再帰代名詞には、名詞や代名詞を強調する用法もあります。

(35) She said so herself.
= She herself said so.
彼女自身がそう言ったのだ。

(36) I talked with the President himself.
私は大統領自身と話をした。

(35)の herself は主語の She を、(36)の himself は目的語の the President を強調しています。

再帰代名詞を使った慣用表現

下の表は、再帰代名詞を使った主な慣用表現をまとめたものです。

慣用表現 意味
beside oneself 我を忘れて
between ourselves ここだけの話だが
by oneself 一人きりで・独力で
despite oneself 意に反して
for oneself 独力で・自分のために
in itself [themselves] それ[それら]自体は・本来は

指示代名詞

this, these, that, those など、特定の人やもの、文中の語・句・節などを指し示す代名詞を「指示代名詞」と呼びます。

指示代名詞には、以下のような用法があります。

特定の人やものを指す

下の表のように、話し手から見て空間的・心理的距離が近い人やものを指す場合は this(複数の場合は these)を、空間的・心理的距離が遠い人やものを指す場合は that(複数の場合は those)を使います。

指示代名詞

この用法の指示代名詞は、例文(39)のように、後ろに名詞や代名詞を伴って形容詞的に使われることもあります。

(37) Which do you like, this or that?
これとあれのどちらが好きですか?

(38) These are my books, and those are Ken’s.
これらは私の本で、あれらはケンのだ。

(39) This chair is more comfortable than that one over there.
この椅子は向こうにあるあの椅子より快適だ。

先行する語・句・節・文を指す

指示代名詞の thisthat は、人称代名詞の it と同じように、先行する文やその一部の内容を指すことができます。

この3語のうち、it は単に先行の内容を引き継ぐだけですが、this や that には、それらが指す内容に焦点を当てる働きがあります。

this と that はほぼ同じように使われますが、this の方が直接的なニュアンスになります。

(40) He told me to call Mr. Smith. I did this the next day.

(41) She became a famous actress, but before that she was just a dresser.
彼女は有名な女優になったが、その前はただの衣装係だった。

(40)の this は先行する不定詞句(to call Mr. Smith)を、(41)の that は先行する文全体(She became a famous actress)を指しています。

this には、「これから述べること」を指す用法もあります。

(42) You might not believe this, but he doesn’t drink at all.
(これは)信じられないかもしれないが、彼はお酒を全然飲まないんだ。

名詞のくり返しを避ける

一度使われた名詞に再び言及する場合、〈the + 名詞〉の代わりに that(複数の場合は those)が使われることがあります。

この用法の that / those は通常、後ろに〈of + 名詞〉を伴います。

(43) His behavior is not that (= the behavior) of a gentleman.
彼の振る舞いは紳士の振る舞いではない。

(44) Her eyes are as gentle as those (= the eyes) of a cow.
彼女の目は牛の目のように優しい。

「人々」を表す those

those には〈those who ~〉という形で「~する人々」という意味を表す用法があります。

(45) Good things come to those who wait.
待つ人には良いことが起こる。

(46) I have a list of those (who are) injured.
私はけが人のリストを持っている。

(46)のように、those who に続く動詞が be動詞の場合、who と be動詞が省略されることがあります。

不定代名詞

不特定の人、もの、数量などを指す代名詞を「不定代名詞」と呼びます。その種類は30以上に上りますが、以下ではその中の主なものについて説明します。

one

不定代名詞の one は、先行する不特定の「数えられる名詞」を受けて、〈a / an + 名詞〉の代わりに使われます。

(47) I want a watch, but I have no money to buy one (= a watch).
私は時計が欲しいが、買うお金がない。

(48) My family is a large one (= family).
私の家族は大家族だ。

(49) This book is more interesting than the ones (= books) I read last week.
この本は私が先週読んだ本より面白い。

one に形容詞がつく場合は、(48)の “a large one” のように冠詞が必要となります。

複数形の ones は単独では使われず、(49)のように修飾語句とともに使用されます。

some / any

不定代名詞の some は「数えられる名詞の複数形」または「数えられない名詞」の代わりに使われ、ある程度の数や量を漠然と表します

some は主に肯定文で使われ、疑問文・否定文・if節などでは any が使われます。

some と any には、後ろに名詞を伴う形容詞としての用法もあります。

(50) Some say yes, and some say no.
賛成する人も反対する人もいる。【代名詞・複数扱い

(51) There is some wine in the bottle.
そのボトルにはワインがある程度入っている。【形容詞・単数扱い

(52) Are any of those rumors true?
そのうわさのうち本当の話はあるの?【代名詞・複数扱い・疑問文

(53) There is hardly any coffee left.
コーヒーはほとんど残っていない。【形容詞・単数扱い・否定文

(54) Let me know if you have any problems.
何か問題があったら知らせてください。【形容詞・複数扱い・if節

any が肯定文で使われると「どれでも」「誰でも」という意味になります。形容詞として使われる場合は、主に単数形の名詞を修飾します。

(55) Choose any of these pens.
このペンのうちどれでも選んでください。【代名詞

(56) Any club member can use the room
クラブの会員なら誰でもその部屋を使える。【形容詞

another / others / the other / the others

another, others, the other, the others はすべて「ほかの人 / もの」を意味する不定代名詞で、以下のように使い分けます。

another:「ほかの人 / もの」が複数ある場合、その中のどれか1人 / 1つを指す。

others:「ほかの人 / もの」が複数ある場合、その中の何人か / いくつかを指す。

the other:「ほかの人 / もの」が1人 / 1つしかない場合、その1人 / 1つを指す。

the others:「ほかの人 / もの」が複数ある場合、そのすべてを指す。

これらのうち、another と the other には、形容詞としての用法もあります(another book, the other book など )。

なお、単体の other は形容詞として「数えられる名詞の複数形」や「数えられない名詞」を修飾します。

(57) I don’t like this shirt. Show me another.
このシャツは好きではありません。ほかのを1つ見せてください。

(58) I don’t like this shirt. Show me others.
このシャツは好きではありません。ほかのをいくつか見せてください。

(59) One took a taxi and the other walked home.
1人はタクシーに乗り、もう1人は歩いて家に帰った。

(60) One took a taxi and the others walked home.
1人はタクシーに乗り、ほかは全員歩いて家に帰った。

(61) There are other ways to solve this problem.
この問題を解決するほかの方法がいくつかある。【形容詞

both / either / neither

both, either, neither はすべて2つのものについて使われる不定代名詞で、both は「両方とも」、either は「どちらか一方 / どちらでも」、neither は「どちらも~ない」という意味を表します。

both は複数扱い、either と neither は単数扱いになります。また、この3語は形容詞としても使われます(both hands, either hand, neither hand など )。

(62) Both of my parents have to attend the meeting.
私の両親は2人ともその会議に出なければならない。

(63) Either of my parents has to attend the meeting.
私の両親のどちらかがその会議に出なければならない。

(64) Neither of my parents has to attend the meeting.
私の両親はどちらもその会議に出る必要はない。

二者の部分否定

「両方とも」を意味する both を否定文で用いると、「両方が~というわけではない」という部分否定の意味になります。

(65) I don’t want both (the) shirts.
私は両方のシャツが欲しいわけではない。

(66) I haven’t read both of these books.
私はこの本を両方とも読んだわけではない。

(65)は「一方のシャツは欲しい」、(66)は「一方の本は読んだ」という意味になります。

二者の全否定

二つのものを同時に否定する場合は、not … either または neither を使います。

例文(65)(66)を全否定の文に書き換えると、次のようになります。

(65’) I don’t want either shirt.
= I want neither shirt.
どちらのシャツもいりません。

(66’) I haven’t read either of these books.
= I have read neither of these books.
私はこの本をどちらも読んでいない。

all / none / each

all は「すべて」、none は「どれも~ない」「少しも~ない」、each は「それぞれ」を意味する不定代名詞です。

all と none は、数えられる名詞の代わりに使われる場合は複数扱い、数えられない名詞の代わりに使われる場合は単数扱い、each は常に単数扱いです。また、all と each は形容詞としても使われます。

(67) All of us like baseball. / None of us like baseball.
私たちは全員野球が好きだ。/ 私たちは誰も野球が好きではない。【複数扱い

(68) All (of) the information was useful. / None of the information was useful.
その情報はすべて役に立った。/ その情報はどれも役に立たなかった。【単数扱い

(69) Each of the students is responsible for the accident.【代名詞
Each student is responsible for the accident.【形容詞
それぞれの学生に事故の責任がある。

(68)の “All of the information” は代名詞、“All the information” は形容詞としての用法です。

その他の不定代名詞

上で紹介したもの以外に、次のような語が不定代名詞として使われます。

anybody, anyone, anything, each other, enough, everybody, everyone, everything, few, least, less, little, many, more, most, much, nobody, no one, nothing, one another, same, several, somebody, someone, something, such

練習問題

最後に練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の文の空所に当てはまる語を下の語群から選びなさい。なお、各語は1度のみ使用できる。

1.I have lost my pen. I must buy (  ).

2.There are trees on (  ) sides of the street.

3.You have enough money and I have (  ).

4.This is (  ) I can do for you.

5.Some boys like baseball and (  ) like soccer.

6.If that coat doesn’t fit, try (  ) on.

7.There was a lamp at (  ) end of the street.

8.The question is very easy. (  ) student can answer it.

9.(  ) of the students has a locker.

10.We passed two gas stations, but (  ) of them was open.

11.Do you have any friends in Kyoto? - Yes, I have (   ).

12.He has two dogs; one is white and the (  ) is black.

語群
all, another, any, both, each, either, neither, one, one, other, others, some

解答

1.one
2.both
3.none
4.all
5.others
6.another
7.either
8.Any
9.Each
10.neither
11.some
12.other

この記事で紹介した代名詞のうち、「不定代名詞」は日本人には分かりにくい概念です。この記事で基本を押さえたら、練習問題を多くこなして応用力を鍛えるようにしましょう。